岸真紀子の発言 (本会議)

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○岸真紀子君 立憲民主・社民の岸真紀子です。
 会派を代表し、ただいま議題となりました行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案について、河野デジタル大臣、加藤厚生労働大臣、齋藤法務大臣、後藤全世代型社会保障改革担当大臣に対し、質問します。
 まず、束ね法案の問題について伺います。
 本法律案の概要は、国民の利便性の向上及び行政運営の効率化を図るため、マイナンバーの利用範囲の拡大、マイナンバーの利用及び情報連携に係る規定の見直し、マイナンバーカードと健康保険証の一体化、いわゆる健康保険証の廃止、在外公館におけるマイナンバーカードの交付等に係る手続の整備、戸籍等の記載事項への氏名の振り仮名の追加、行政機関の長等からの預貯金口座情報等の提供による登録の特例の創設と、大変幅が広く、かつ、人々の暮らしに関わり、今後の日常生活に影響を及ぼすものであります。
 我が会派は束ね法案の問題提起を再三してまいりましたが、本法律案についても複数の法改正を束ねての国会審議とされました。先ほど述べたとおり、内容的にも国民の理解が必要であるにもかかわらず、何の法律が改正されるのか分かりづらく、国民への情報提供という観点からも問題です。
 最初に、なぜ束ねたのか、このように複数の法改正を束ねて審議が深まるとお考えなのか、国民への情報提供という観点を踏まえ、河野デジタル大臣にお伺いします。
 次に、マイナンバーカードと保険証との一体化によって保険証を廃止する理由について伺います。
 マイナンバーカードの申請状況は、本年四月二十三日時点で約九千六百五十万件、人口比で約七六・六%と公表されています。本法律案により健康保険証を廃止し、マイナカードで代替するとなれば、誰しもが早く作らなければならないと切迫感すら覚えると推察します。実際にマイナンバーカードの申請、交付を担う市町村の担当者、さらには国民健康保険の担当者からも、政府が二〇二四年秋に現行の健康保険証を廃止し、マイナ保険証に切り替えると発表した直後から、住民からの問合せや不安の声が殺到した、国からの情報がない中で大変混乱したなどの声をお聞きしました。また、住民の皆さんからも、保険証廃止によって医療が受けられなくなるのではないかといった不安の声をお聞きしています。
 例えば、昨年改正された道路交通法では、希望すればマイナンバーカードを運転免許証代わりとすることができることになりましたが、健康保険証のように廃止とはしていません。なぜ健康保険証は廃止されなければならないのか理解できません。加藤厚生労働大臣に納得できる説明を求めます。
 我が国は、全ての国民が公的医療保険に加入することにより、病気や事故に遭ったときの高額な医療費の負担を軽減する医療保険制度を構築しています。日本医師会の公式サイトには、国民皆保険の成立により、新生児や乳児、高齢者の受診が増え、現役世代も安心して働くことができるようになりました、そのおかげで日本は経済成長を成し遂げ、世界有数の経済大国になりましたとの記述があるように、国民皆保険により我が国で暮らす人々の生活基盤が安定していると言っても過言ではありません。
 しかし、二〇二二年十月十三日に河野デジタル大臣が記者会見において、二〇二四年秋に健康保険証の廃止を目指す旨の発言を行い、これを受け、本法律案は、マイナンバーカードによりオンライン資格確認を受けることができない状況にある者に対して健康保険証に代わり資格確認書を交付するとしています。保険加入者がマイナンバーカードを取得し、かつ健康保険証として利用しているか、そうでない場合には健康保険、そうでない場合には資格確認書を申請しなければ保険診療を受けられないというのは、国民皆保険制度の趣旨から外れるのではないでしょうか。加藤大臣の見解を伺います。
 また、健康保険証の廃止はマイナンバーカードの取得を事実上義務化するものであるとの指摘があります。例えば、介護老人保健施設等からは、マイナンバーカードの管理が困難であるなど、既に混乱の声が上がっています。
 加藤大臣は、介護等現場の声を聞いているのか、聞いているならどう対応するのか、事実上の義務化との指摘にどう説明するのか、併せて伺います。
 政府は、健康保険証の廃止に当たり、本法律案の成立後は新規の被保険者証は交付しないこととしているため、施行規則を改正し、被保険者証の交付に係る規定の削除等を行うことが想定されます。政府は、医療機関、薬局においてオンライン資格確認の導入を促進してはいますが、現段階では医科診療所の普及はまだ七割に達していません。整備が整わない中、マイナ保険証では確認できない事態が起きないのか伺うとともに、単に導入を進めるという意気込みではなく、医療機関等からの要望を踏まえた対応を求めますが、加藤大臣の答弁をお願いします。
 国民健康保険料は、毎月の給与から天引きされる健康保険料とは異なり、自主的な納付が必要であり、保険料の滞納が生じやすいことから、滞納者に対する短期被保険者証、被保険者資格証明書の交付といった仕組みがあります。本法律案では、健康保険証の廃止に伴い、保険料滞納者に対して交付される短期被保険者証の仕組みも廃止されることになりますが、医療を必要とするときに利用できなくなる事象は起きないのか、命や健康が守られるのか、対応策を加藤大臣に伺います。
 公金受取口座の登録促進について伺います。
 政府は、例えば二〇二〇年四月実施の新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の特別定額給付金のように、緊急時の給付金等を迅速かつ確実に進める方法として、マイナンバーとともに事前に国に登録する公金受取口座登録制度を促進しています。
 本法律案は、国民がより簡易に登録できるよう、行政機関等経由登録の特例制度を設けることとしています。この特例制度は、既存の給付受給者、具体的には年金受給者を想定し、日本年金機構から書留郵便により一定事項を通知した上で、同意を得た場合又は一定期間内に回答がなかった場合でも同意したものとして、内閣総理大臣が当該口座を公金受取口座として登録することを可能とするものです。同意した場合は問題ありませんが、一定期間に回答がない場合を同意したものとして扱うというのは余りにも乱暴であり、問題と指摘します。なぜ明示的な同意ではなくオプトアウトとしているのでしょうか。これまでどおり対象者に丁寧な説明を尽くすことこそがマイナンバーへの信頼を醸成するものであり、このような乱暴なことはすべきではないと考えますが、河野大臣の答弁をお願いします。
 勝手に同意とみなされることになりますので、さすがに通知くらいは必要と政府も考えているのか、本法律案では登録結果を当該預貯金者に通知するとしています。この一連の郵送料や日本年金機構の事務に係る人員強化が必要と考えますが、費用見込み総額もお答えください。また、この特例制度は年金受給者を想定しているため、対象は高齢者です。口座番号にも関連することを踏まえれば、特例制度に便乗した特殊詐欺への懸念もあります。年金受給者を始め家族を含めた周知が重要と考えますが、広報などの周知方法を河野大臣に伺います。
 次に、本法律案では、戸籍及び住民票等の記載事項並びに署名用電子証明書の記録事項に氏名の振り仮名を追加し、マイナンバーカードに氏名の振り仮名を記載することとしています。このことによって、いわゆるきらきらネームが付された出生届が提出された場合、市区町村によって認められるか否かに差が出ることはないのでしょうか。これまで振り仮名が適切ではないことを理由として出生届が不受理となった事例はあるのでしょうか。齋藤法務大臣に伺います。
 また、今後、市区町村の窓口で住民とのトラブルが起きるのではないかという強い懸念があります。戸籍等の記載事項への氏名の振り仮名の追加に関する具体的な基準を定める必要があると考えますが、齋藤大臣の見解を伺います。
 本法律案では、既に戸籍に記載されている者については、改正法の施行後一年以内に氏名の読み方を届け出ることとされています。その際、書面又はマイナポータルによる振り仮名の届出をした場合はその読み方が記載されることになりますが、届出がない者は、施行の一年後に本籍地の市区町村長が住民票情報を基に職権で振り仮名表記を戸籍に記載するとしています。しかし、住民票情報の振り仮名も任意や便宜的なものであって正確ではないと考えますが、こういった行政側の一方的なやり方でトラブルとならないのか、齋藤大臣の見解を伺います。
 また、届出期間が一年間というのは、市区町村の準備、さらには国民への周知広報も含めると短過ぎるのではないでしょうか。市区町村の窓口が混雑したり、読み方に関する問合せや対応など、過度な事務負担が生じると考えますが、期間の妥当性、市区町村の負担軽減策について齋藤大臣に伺います。
 そもそも、マイナンバー制度は税と社会保障の一体改革が原点であって、社会保障・税番号大綱の低所得で資産も乏しい等、真に手を差し伸べるべき者に対して、給付を充実させるなど、社会保障をよりきめ細やかに、かつ、的確に行うことが重要であり、そのためにも受益、負担の公平性、透明性を高めようとするものであるとの文言を踏まえたものです。
 マイナンバー制度は、当時の民主党政権が、国民のより正確な所得、資産の把握に基づく柔軟できめ細やかな社会保障制度として、税額控除制度を導入するために必要であることから設計されたものです。しかし、本法律案を見ても、そうした観点は見失われ、健康保険証の廃止など、政府が強引に何が何でもカードを普及させようという姿勢は、本来の目的からそれているのではないかと指摘せざるを得ません。
 政府は、本来の目的であった、マイナンバーによって給付付き税額控除の導入に向けた検討は行っているのか、また、導入に向けた課題があるのであればそれは何か、全世代型社会保障改革担当の後藤大臣にお伺いします。
 最後に、立憲民主党は、国民のための行政と社会のデジタル化につながるマイナンバーの利用拡大などは推進しており、希望する人がマイナ保険証を利用すること自体は否定しません。しかし、国民皆保険の下、誰もが必要なときに必要な医療が受けられる体制を堅持するためにも、健康保険証を存続させるべきであると強く抗議し、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 121115254X01920230428_007

発言者: 岸真紀子

speaker_id: 13507

日付: 2023-04-28

院: 参議院

会議名: 本会議