伊藤孝恵の発言 (本会議)

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○伊藤孝恵君 国民民主党・新緑風会の伊藤孝恵です。
 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました法律案について質問いたします。
 冒頭、河野大臣に、デジタル時代における人権保障規定の認識について伺います。
 欧州連合は、EU基本権憲章第八条で、何人も自らに関する個人データを保護する権利を持つと定め、一般データ保護規則で権利の内容を具体化しています。
 国民民主党は、デジタル改革の前提として、データ基本権の保障が重要だと考えています。単に個人情報が保護されるだけでなく、情報の自己決定権を憲法で保障し、全ての国民はサイバー空間を含め個人として尊重される旨を、デジタル人権たるものを新たな人権保障の枠組みとして備えることを提案いたします。河野大臣の見解を伺います。
 日本国内に住民票を持つ全住民に付番される十二桁の番号であるマイナンバーの交付を私たちは拒むことができない一方で、マイナンバーに加え、氏名や住所ほか、住民票に記載されている基本四情報など、本人確認情報が書かれたマイナンバーカードを持つか否かは自由です。このマイナンバーとマイナンバーカードの違いがよく分からないといった声とともに、個人情報の流出や悪用、用途拡大への不安が多く拡散されている現状では、カード普及に寄与しているのは、河野大臣が邪道と批判するマイナポイント一択です。
 まさに正道は、個人情報の流出や悪用を防ぐセキュリティーの信頼性を高め、きちんとしたプロセスで政策決定や投資がなされ、濫用を防ぐ実効的なガバナンスの仕組みを法律で定めた上で、マイナンバーやマイナンバーカードによって政府はどのような社会を実現しようとしているのか、今は一体どのフェーズなのか、青写真を国民と共有し、各種手続における効率化や利用範囲の拡大、利便性を高めていくことで支持をされることです。
 現在の近視眼的な誘導施策がマイナンバー制度の理解や利用拡大を妨げています。このような課題から、以下、関係大臣に質問します。
 昨年十月十三日、河野大臣は記者会見において、二〇二四年度秋までに現在の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードに置き換える、つまりマイナ保険証の実質義務化を表明されました。交付申請は任意であると規定するマイナンバー法第十六条の二との整合性を河野大臣に伺います。
 記者会見から遡ること四か月前の六月七日に閣議決定されたデジタル社会の実現に向けた重点計画では、二〇二四年度中を目途にマイナ保険証の選択制導入を目指すとし、加入者から申請があれば従来の健康保険証も交付されると明記されています。
 国民皆保険制度の下、全ての国民の利用が想定される基盤的サービスでは、従来の健康保険証の維持は必要との政府の判断だったと理解をしています。その閣議決定からの大きな方針転換の経緯と理由を、河野大臣及び加藤厚労大臣に伺います。
 マイナ保険証を希望しない場合には、健康保険証に代わって、新たに有効期間一年の資格確認書を発行するとのことですが、事務の効率化に逆行するばかりか、記載内容が従来の健康保険証とほぼ同じです。健康保険証を廃止することの合理性を、加藤厚労大臣、御説明ください。
 公金受取口座登録の特例制度のみなし同意についても疑問です。口座登録制度については、コロナ禍の一律十万円給付の著しい混乱を鑑みれば、その必要性は十二分に理解できますが、同意、不同意の確認方法が乱暴過ぎます。一定期間内に回答しない場合は同意したものとみなすという規定は、全てにおいて申請主義のいつもの行政サービスとは真逆のアプローチです。ここだけなぜみなし同意とすることになったのか。積極的な同意を得るための説明や接点こそが、マイナンバー制度への理解を深め、支援につながるべき人を見付け出す貴重な機会になるのではないでしょうか。河野大臣の見解を伺います。
 ここまで多額の予算を投じてマイナンバーカードを持ってくださいと広く呼びかけてきましたが、実質義務化するのであれば、一体あの一人最大二万円のポイント付与や有名タレントを起用したプロモーションの数々は何だったのか。これは御説明いただかなければなりません。戦略もないままポイントを乱発し続けたことをどのように総括されるのか。マイナポイント事業の費用対効果の評価及びこれまでの事業予算総額、事務局コスト、ポイント付与予算額と執行額も併せて、松本総務大臣、お答えください。
 御高齢の方々から、ポイントを受け取る作業が難し過ぎて自分にはできないとの声が多く寄せられています。御担当課に聞いたところ、そのような声は一つも寄せられていないとのことでした。本当でしょうか。デジタルの恩恵を受けられない、いわゆるデジタルデバイド問題への対応と併せて、松本総務大臣及び河野大臣、御答弁ください。
 令和二年に実施されたマイナポイント事業の中間検査について伺います。
 政府からの行政事業委託における広告代理店等の中抜き問題が、コロナ禍の給付金や五輪談合事件等によって明らかになりました。当該検査は総務省職員六名による自主点検で、早々に問題なしと結論付けられましたが、第三者による検査をしなかった理由及び一般管理費率を一〇%と見積もることの妥当性について、松本総務大臣に伺います。
 マイナンバーカードは既に一億枚以上、総額三百五十二億円が発注されており、特に二〇一九年以降に発注されたおよそ七千万枚は、一般競争入札ではなく、随意契約で二社に発注をされています。落札率は九九・九%です。国や国に準ずる機関の入札は一般競争入札が原則であり、こんなにきれいに二社に分かれている上、入札時の説明会も行われていないとなると、談合を疑われても仕方ありません。今後も更新分などで新たにカードを発注されると思いますが、公平公正かつ透明性ある入札環境をどのように整えていくか、松本総務大臣、お答えください。
 二〇〇六年に財務大臣から各府省庁に対して、随意契約の適正化についての通知があり、随意契約を行った場合は重点的に内部監査を実施することになっています。昨年十二月一日の予算委員会において、岸田総理は、マイナンバーカードに係る随意契約について、点検することは重要とお答えになりました。その後、内部監査は実施されたのでしょうか。松本総務大臣、お答えください。
 ガバナンスの課題でいえば、公正取引委員会も調査に乗り出し、財務省も問題提起しているマイナンバー関連システムについても触れておかねばなりません。
 岸田総理は、同予算委員会で、平成二十七年の制度導入以来、相当期間が経過し、システムも技術の進展に対応する必要があることから、抜本的な見直しを検討すると御答弁されました。
 三点伺います。これまでのマイナンバー関連システムの投資総額と使用率、及び今後のシステム投資の具体的な計画、その際、スマートフォンを前提として再設計すれば圧倒的にコストは下がるとの指摘がありますが、河野大臣の見解を伺います。
 情報連携に係る見直しは、個人情報保護委員会等の監視だけでは足りず、国会の関与は不可欠です。マイナンバーの利用範囲の公開や、準ずる事務と称されるものの判断基準の公表、国会への定期報告、国会又は第三者からの是正要請を可能にする仕組みが必要です。それによって、国民の情報を管理する側への信頼は確実に高まります。河野大臣、御検討ください。
 週末、小さな新聞記事に目が留まりました。ウクライナ侵攻で兵員を確保したいロシア政府が、召集令状の電子化を決めたという内容です。従来の紙の令状は手渡しの必要があるため、受取を避けようと行方をくらましたり、国外に脱出する人が相次いだため、多くの国民が各種行政サービスを受けるために登録をしていたインターネット上の統一システムを使って、令状を個人アカウントに送り付け、受信した者は、その瞬間から出国ができなくなり、一定期間内に徴兵当局に出頭しなければ自動車の運転や不動産等の取引も禁じられるそうです。
 個人情報やプライバシー権は、言わずもがな、権力者でなく私たち一人一人の手の中にあるべきで、それを担保する仕組みがどうしても必要です。説明なき政府の裁量拡大や、強引なカード取得促進を図れば、かえってマイナンバー制度への拒否感が生まれます。マイナンバー制度は行政デジタル化の核となるものだからこそ、政府が信頼を獲得していく努力を今怠らずに取り組んでいただくことを切に願うとともに、最後に、ブラック霞が関についても付言をいたします。
 本法案が衆議院から付託されたのは昨日の午後です。今朝の参議院本会議に向けて、何人ものスタッフが夜通し作業しています。日本の頭脳が今、壊れかけています。霞が関の理不尽な働き方が原因です。
 私たちの振る舞いが、官僚の、そして官僚のみならず、霞が関を取引先とする方々の働き方に直結していることを、自戒も含め、自戒を込めて申し上げ、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 伊藤孝恵

speaker_id: 17711

日付: 2023-04-28

院: 参議院

会議名: 本会議