伊藤岳の発言 (本会議)
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○伊藤岳君 日本共産党の伊藤岳です。
会派を代表して、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案について質問いたします。
まず、マイナンバーの利用範囲の拡大について、デジタル担当大臣にお聞きします。
個人情報保護委員会の直近の年次報告は、二〇一七年度から二一年度の五年間で、少なくとも約三万五千人分のマイナンバーに関連する情報の紛失、漏えいがあったことを明らかにしています。この年次報告について、政府は、誤送付も含めれば合計で約五万六千人分になるとしています。
政府は、マイナンバー制度の利用範囲を税、社会保障、災害の三分野に限定し、利用できる事務や情報連携は法律で規定している、だから個人情報は安全なんだとこれまで繰り返し喧伝をしてきました。しかし、個人情報の紛失、漏えいは既に深刻な事態なのではありませんか。
本法案は、基本理念の中で、マイナンバー利用を三分野に限定せず、その他の行政分野を加えるとしています。今でさえ深刻な個人情報の紛失、漏えいが続いているのに、全ての行政分野の中でマイナンバー利用を推進すれば、更に個人情報の紛失、漏えいが広がり、プライバシー侵害の危険が増大するのは明らかではありませんか。答弁を求めます。
日弁連は、会長声明で、法改正に対する事前のプライバシー影響評価、PIA手続すら行われないまま、利便性や効率性のみを追求して法改正を急げば、自己情報コントロール権の保障が実現されていないこととも相まって、プライバシー保障上の危険性が極めて高まると厳しく指摘をしています。どう受け止めますか。
本法案は、マイナンバーによる情報連携についても大きく拡大し、制度の大転換を行うものです。情報連携の対象を法規定から外し、法律の改正なしに、下位法令で規定するとしています。政府の一存でマイナンバーの情報連携を可能とするのはなぜですか。プライバシー侵害の危険性が広がるという認識はないのですか。
以上、デジタル担当大臣の答弁を求めます。
次に、マイナンバーカードと健康保険証の一体化の問題です。
本法案は、健康保険証を廃止し、マイナンバーカードに置き換えるものです。国民の大きな不安、強い批判があるにもかかわらず、なぜ現行の健康保険証を廃止するのですか。
私の地元埼玉県の開業医を会員とする埼玉県保険医協会では、会員開業医にアンケートを実施して、その結果を公表しています。それによると、保険証が廃止され、マイナンバーカードと一体化となれば、オンライン資格確認システムの導入により、維持管理経費の負担などから、埼玉県下の約八千の開業医のうち一割に当たる開業医が廃業することになるとしています。肝腎の医療機関が廃業に追い込まれるのでは、何のための一体化なのですか。本末転倒ではありませんか。
以上二点、デジタル担当大臣の答弁を求めます。
本法案は、短期被保険者証、被保険者資格証明書の仕組みを廃止し、国民皆保険制度の根幹を壊します。さらに、マイナ保険証にしろ、創設する資格確認書にせよ、本人からの申請に応じた交付とします。まさに制度の一大転換です。
厚労大臣にお聞きします。
健康保険証は保険診療を受ける資格があることを示すもので、この保険証を被保険者に届けることは、国、保険者の責務です。健康保険証の交付を申請方式に変える根拠は何ですか。被保険者に保険証を届けるという国、保険者の責任放棄ではありませんか。
申請方式とすれば、保険料を支払っていても、申請漏れ等により無資格、無保険となる国民が大量に続出することが避けられないのではありませんか。そんなことにならないというのであれば、その具体的な根拠は何ですか。はっきりとお答えください。
申請の対象となる方には、案内、周知はされるのですか。病院などの医療機関が案内、周知の役割を担わされることになるのですか。申請漏れによって資格確認ができなくなった方にはどう対応するのですか。
資格確認書の発行の対象であるマイナンバーカードによるオンライン資格確認が受けられない状況にある者とはどういう方を指すのですか。任意だから自分は取得しないという方、高齢者施設の利用者、入所者でマイナ保険証の代理申請が難しい高齢者の方、DV被害や虐待から避難されている方は対象になるのですか。保険証の廃止後、資格確認書は更新申請ができるのですか。こうした方々に医療費窓口負担の上乗せをどうして課すのですか。
建設職人で構成される埼玉土建国保組合の取組についてお話を伺いました。私たち国保組合では、年度初め、組合の分会ごとに健康保険証の渡し会を開催しています。その場で国保制度について説明し、健康診断を受けることなどをお話をしています。組合員の健康増進にとってとても重要な機会ですというお話でした。
国民皆保険制度は、こうした健康保険組合の取組や努力などに支えられています。申請方式は、国民皆保険制度の根幹を揺るがすのではありませんか。
以上、厚労大臣の答弁を求めます。
次に、公金受取口座の登録における特例制度について、デジタル担当大臣にお聞きします。
本法案では、行政機関が把握している口座を公金受取口座として、受給者等に通知し、一定期間内に同意しないとの回答がなければ公金受取口座として自動的に登録可能としています。本人が知らないうちにひも付けされてしまう方法を取るべきではありません。明示的な同意、オプトインではなく、オプトアウトとしたのはなぜですか。
EUデジタルサービス法では、利用者が自由かつ十分な情報に基づいた意思決定を行う能力を欺いたり、操作したり、あるいは実質的にゆがめたり、損なったりすることをダークパターンとして禁止をしています。本人が不同意の回答をしなければ同意したとみなすのは、ダークパターンに当たるのではないですか。
以上、お答えください。
最後に、戸籍や住民記載台帳に振り仮名を追加する問題です。
本法案は、戸籍に記載されている人の氏名の振り仮名について、施行日から起算して一年以内に限り届出をすることができるとしています。しかし、一年を経過した後には、本籍地の市町村長が、管轄法務局長等の許可を得て、一般的な読み方で戸籍に振り仮名を記載するとしています。例えば、私の氏名は伊藤岳(がく)ですが、「がく」ではなく「たけし」が一般的な読み方だとされて、知らない間に望まない振り仮名が戸籍に記載されるということがあり得るということです。それは嫌です。
今後生まれてくる子の名については、本籍地の市町村長が一般的な読み方であるかどうか審査を行い得ることになるとしていますが、一体どのような審査が行われるのですか。命名権、人格権への侵害に当たるのではありませんか。命名に行政が介入するのですか。法務大臣の答弁を求めます。
個人情報保護の対策は後回しにしたまま、保険証を人質に取ってマイナンバーカードの取得を強制することはやめるべきです。
以上を述べて、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕