田島麻衣子の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○田島麻衣子君 立憲民主・社民の田島麻衣子です。
 ただいま議題となりました脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案について、会派を代表して質問をいたします。
 我が国が宣言した二〇五〇年カーボンニュートラルの目標達成に向け、我が国としても、公正な移行という前提の下で、脱炭素社会への移行に着実に、そして確実に取り組む必要があることは論をまちません。
 だからこそ、私たちは、今危惧をしています。GX、すなわちグリーントランスフォーメーションを理由に、政府による原子力政策の見直しが、余りに急に始まり、そして余りに急に終わりに近づこうとしているからです。
 また、私たちは、危惧をしています。それは、ウクライナ侵略を発端としたエネルギー危機への対応のために、目先の利点のみがクローズアップされ、国の長期的なエネルギー安全保障に関するビジョンや、具体的な安全性についての議論が置き去りにされているのではないかという懸念です。
 また、私たちは、危惧をしています。それは、本法律案の準備に当たっては、エネルギーの安定的な供給を推進する立場にある資源エネルギー庁が、原子力を規制する立場にある原子力規制委員会に対して、規制側の議論を誘導した可能性が指摘されており、規制と推進の分離という福島第一原子力発電所の事故からの大きな教訓が忘れ去られているのではないかと懸念されるからです。
 こうした問題意識に基づき、以下、代表質問に入らせていただきます。
 六十年を超える原子力発電所の運転延長に向けた新たな規制制度案を原子力規制委員会が決定したのは、今年の二月十三日でした。多数決のうち四名が賛成し、一名が反対の意見を表明しています。経年化した原発への規制の在り方を大転換させる重要な案件が、委員の意見を一致しないまま決められる異例の事態となりました。反対した委員はもちろんのこと、賛成した委員は口々にこう述べました。説明が圧倒的に足りない、外から定められた締切りを守らなければいけないとせかされて議論をしてきた、六十年超えをどうするのだというのが後ろ回しになってしまって、そこがふわっとしたまま、こういう形で決めなければいけなくなったと。総理、これは反対した専門家の発言ではありません。賛成した専門家の、しかも公の会議中の発言であります。
 まず、総理に伺います。
 本法案は、今後の日本の原子力エネルギー政策において大きな転換点の一つともなり得る重大なものです。昨年七月に総理が原子力政策で政治決断が必要な項目の検討を指示してから僅か九か月間という極めて拙速な展開について、政治家による、専門家による原発運転延長に関する安全性の科学的、技術的な議論は量、質共に十分なものであったとお考えになりますか。上の専門家の言葉に耳を傾けた上で、総理の御見解を理由とともにお答えください。
 また、このように拙速に原子力規制委員会が新たな規制制度を決定した理由として、原子力規制委員会委員長は、法案のデッドラインがあるので仕方がないと記者会見で釈明しています。賛成した専門家もせかされたと感じた本法律案の締切りをそこまで急いで区切ったのはなぜでしょうか。それによって得たもの、また失ったものは何か、総理の御認識を伺います。
 本法律案は、再生可能エネルギーの最大限の導入拡大に向けた施策、原子力の運転期間の規律の整備、高経年化した原子炉に対する規制の厳格化、円滑かつ着実な廃炉の推進、そして原子力基本法の見直しなど、五本の法律を対象に改正を行う束ね法案です。重要かつ多岐にわたる内容が一つの法律案にまとめられてしまっています。
 政府は、束ね法案について、法律案に盛られた政策が統一的なものであり、その結果として法律案の趣旨、目的が一つであると認められるとき、あるいは内容的に法律案の条項が相互に関連していて一つの体系を形作っていると認められるときは、一つの改正法案として提案することができるとしています。
 本法律案は、再エネと原発という全く異なるエネルギー源に関する施策を一つの法案としてまとめたものであり、政策の統一性も条項の関連性もほとんど見られない内容となっています。そもそも束ね法案は、国会における個別の論点に関する十分な審議を困難にし、よって、国民の深い理解を妨げ、国会審議を形骸化するおそれがあるものです。国会議員の表決権を侵害し、立法府の空洞化も招きかねないものです。
 少なくとも、再エネに関わる政策と原子力に関わる政策とは、個別の法律案として提出し直すべきではなかったですか。総理の御見解を求めます。
 原子力発電所は、発電所の建屋も含め、時がたつごとにコンクリートや電気ケーブルの特性の劣化が進みます。これは運転期間中も、そして運転停止期間中も同じです。
 岸田総理は、これまでの国会答弁で、高経年化した原子炉については規制委員会が厳格な審査を行い、規制基準への適合性が確認できなければ運転は一切認められないと繰り返してこられました。
 そこで、原子力規制委員会委員長に伺います。
 規制委員会は、どのような基準で厳格な審査を行い、整合性をどのように確認するのでしょうか。今、具体的な基準は今後検討するとした場合、こうした重要な事項が国民に事前に明らかにされなくても国会では法案審議が可能であると考える理由を明確にお答えください。
 続いて、原子力規制委員会委員長に伺います。
 総理によると、規制基準への適合性が確認できなければ運転が一切認められないとのことですが、これまで原子力発電所で経年による劣化が見逃されたトラブルとしてはどのような事例があったでしょうか。過去にわたり網羅的な説明を求めます。
 そして、上記について、これまで経年劣化が見逃された理由はどのような点だったのでしょうか。それを踏まえた上で、今後は規制基準への適合性を漏れなく確認できると規制委員会が自信を持つ根拠をお聞かせください。
 新制度では、原子力発電所の運転期間について、再稼働審査や行政指導などによる停止期間を運転年数から除外し、その期間分について六十年を超えて運転ができることになります。運転期間の除外対象とされるのは、安全規制への対応や行政指導、後に取り消された裁判所の仮処分命令など、電力会社にとって他律的要因での停止で、経済産業大臣が認可するものです。
 岸田総理に伺います。
 これまで規制委員会の審査が長期中断したケースとしては、断層の資料を置き換えた場合など、事業者側の不手際や準備不足があった場合などが散見されます。こうした不手際があった場合も、最長の六十年に上乗せする形で運転期間の延長は認められるのでしょうか。具体的な上乗せ基準については今後検討するとした場合、こうした重要事項が事前に国民に明らかにされなくても、法案審議が国会で可能であると総理が考える理由をお聞かせください。
 福島第一原発事故の反省から、原子力の推進側と規制側を厳格に分離する形で原子力規制委員会と原子力規制庁が発足されたはずです。にもかかわらず、本法律案の策定プロセスが正式に開始される前の段階において、経済産業省の職員と原子力規制庁の職員とが不適切な形で会合を持っていたことが明らかになりました。そして、その事実は、原子力規制委員会に直ちに報告されていませんでした。この件について、政府は、省庁間の情報交換、頭の体操などと言い、法律案を策定する上では行政機関として必要な活動であったという答弁を繰り返しています。
 西村大臣に伺います。
 真に必要な活動としてなされたのであるならば、当該会合に関わる資料等の情報開示にも直ちに応じられたはずではないでしょうか。
 また、総理に伺います。
 政府にとって、今も生きる福島第一原発事故への反省、教訓は何であるとお考えですか。そして、それらの教訓は今日どのように生かされているのでしょうか。
 法律案は、その内容の適切さが担保されていることはもとより、適切なプロセスを経て国会に提出される必要があります。規制側が被規制側に取り込まれ、実質的にコントロールされてしまうような状況は規制のとりこと表現されています。本法律案は、まさに規制のとりこが危惧される中で策定されたものと言わざるを得ません。情報交換や頭の体操という名目で推進側と規制側が事前に話をすり合わせるような会合を持つことを許してしまうならば、今後もそうした行動が繰り返されるであろうことは明らかです。
 本法律案では、原子力基本法に、原子力に対する国民の信頼を確保することを国の責務として規定する内容が盛り込まれていますが、既に審議を行う前から信頼が損なわれている状況となっていることを総理はどのようにお考えでしょうか。公の場において幅広い国民の意見を聞いた上で、改めて慎重な議論を行うべきと考えますが、総理の答弁を求めます。
 岸田総理は、原子力政策で政治決断が必要な項目の検討を指示した昨年七月、同時期の記者会見で、資源が乏しい我が国には単一の完璧なエネルギー源がない、このため、エネルギーの安価かつ安定的な供給及び脱炭素化に対応するため、原子力を含め、多様なエネルギー源をバランスよく活用していく方針と答えています。
 何に幾ら予算を配分するかは、政治家が公の場で何を語るかよりも正直かつ雄弁に優先順位を教えてくれるものです。
 西村経済産業大臣に伺います。
 令和五年度に計上された次世代革新炉も含む原子力発電所に関する予算、太陽光発電に関する予算、風力発電に関する予算、メタンハイドレートに関する予算をそれぞれお答えください。
 その上で、今の政府の予算配分の在り方は、岸田総理の言う多様なエネルギー源をバランスよく活用するものであるか、お答えください。また、第六次エネルギー基本計画で記載されている原発依存度を可能な限り低減することに本当に資するのか、お答えください。
 本法律案で明らかになった岸田総理の原発政策の見直しについて、はっきりと、やるべきことをやっていない、非常に残念だと発言する人物がいます。元自民党総裁でもある小泉純一郎元総理です。同じ自民党出身かつ総理を務めた人物の声を、今、岸田総理はどのように聞かれていますか。
 地震災害から逃れることのできない日本で、原子力政策に関する考え方は、保守、リベラルなどの政治的なスタンスを超えて、過去の事故をどのように捉え、人間の理性をどのように評価するか、そのために我々は今何を準備しておくか、懸かっていると思います。そのための新しい技術への投資であり、正直でオープンな議論であり、実行であると考えます。
 右でも左でもなく、前へ。立憲民主党は、人と地域を大事にしながら、グリーンな雇用を生み出し、真のグリーントランスフォーメーションを着実に実現していく所存であることを申し上げ、私の代表質問を終わりにさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 121115254X02020230510_009

発言者: 田島麻衣子

speaker_id: 32158

日付: 2023-05-10

院: 参議院

会議名: 本会議