礒崎哲史の発言 (本会議)
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○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎哲史です。
ただいま議題となりました脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案、通称GX脱炭素電源法案につきまして、会派を代表して質問いたします。
まず冒頭、日本が脱炭素化とともに、エネルギー安全保障や産業競争力の強化を経済合理性も考慮しながら同時に達成していく上で、大変重要な事項を規定する局面にあるにもかかわらず、多くの重要法案を束ねて提出されたことは遺憾です。国民の理解を深めようとするのであれば、それぞれの法律案についてより徹底した審議を行う機会をつくるべきであったと考えます。政府には、参議院の審議において改めて真摯な答弁を求めます。
GXに向けた近年のエネルギー政策を振り返ってみると、残念ながら十分な成果を上げてきたとは言い難い状況です。電源の脱炭素化については、第六次エネルギー基本計画に対して進捗は思わしくなく、G7各国と比較しても後れを取っています。また、大前提であるエネルギーの安定供給が揺らいでいます。二月十日に閣議決定されたGX実現に向けた基本方針においても、電力自由化の下での事業環境整備や系統整備、原子力発電所の再稼働などが十分に進まなかったことなどにより、昨年三月には電力需給の逼迫警報が発出される事態となるなど、オイルショック以来のエネルギー危機とも言える状況に直面していることが示されており、真摯に反省する必要があります。
政府として、このような事態を生じさせ、多くの国民の生活にも影響が及ぶこととなった原因についてどのように分析しておられるのでしょうか。あわせて、その反省を踏まえた上で、本法律案を措置することにより、現下のエネルギー危機をどのように克服されるお考えでしょうか。岸田総理の答弁を求めます。
本法律案では、原子力発電所の運転期間を最長六十年とする規定を原子炉等規制法から電気事業法に移すこととしています。
しかし、そもそも原子力発電所の運転期間に係る定めについて科学的根拠がないことは指摘しなくてはなりません。原子力発電所の運転期間について、原子力規制委員会の山中委員長は、国会において、原子力規制委員会としては、四十年や六十年に運転期間を限ることは科学的、技術的な根拠があるわけではないと答弁され、あくまで利用の在り方に関する政策判断であるとの見解を示しています。また、衆議院の審議において、西村GX担当大臣も、世界の主要国では原子力発電所の運転期間に上限はなく、本法律案の上限規定に特定の科学的根拠がないことはお認めになっております。
しかし、客観的な根拠がない規制は好ましくありません。原子力発電所の安全性を高めるとともに、事業者の予見可能性を確保し、国民の理解を得るためにも、政府として科学的、技術的根拠を見出すべきです。具体的な対応方針を含め、総理の答弁を求めます。
本法律案では、運転期間に関する規定の見直しに合わせて、新たに高経年化した原子力発電所に対する安全規制を法定化しています。これまでの省令相当の規制で三十年目から十年置きの評価としていたものを、法律に引き上げ、三十年目以降から十年以内ごとに認可するとした改正内容は、安易な再稼働の歯止めになるという観点から評価をしたいと思います。
ただし、この安全規制においては、なおさら科学的、技術的根拠に基づく合理的な審査が必要不可欠であり、劣化評価の方法や審査基準など規制の仕組みを、国内外の科学的知見、経験を基に構築し、国民に対して分かりやすく示し、理解を得ていくことが重要です。高経年化した原子力発電所に関する安全規制の在り方について、山中原子力規制委員長の見解を求めます。
また、原子力発電所の安全性を確実に確保するためには、規制側だけでなく、事業者による自主的かつ継続的な安全性向上の取組をより一層強化していくことが求められます。さらには、規制側と事業者側、そして運転延長を判断する政府当局が緊張関係を保ち、透明性と国民への積極的な情報公開を担保しつつ、各者の知見、経験をより効果的に共有する仕組みを構築することも重要であると考えますが、西村経済産業大臣及び原子力規制委員長の見解を求めます。
国民民主党は、現下の非連続なエネルギー情勢の変化を踏まえ、当面の間、安全性の確認された原子力発電所の再稼働や次世代炉へのリプレース等を通じて、エネルギー安全保障の確保とカーボンニュートラルの両立を図ること、そのためにも、原子力を安全かつ安定的に利用するための環境を整備する上で原子力関連技術、国内サプライチェーンの維持向上、人材育成等に取り組むことが重要と考えます。また、原子力発電所の高経年化を考えれば、踏まえれば、廃炉に関する人材の育成確保も同様です。
しかしながら、東日本大震災福島第一原発事故以降、建設プロジェクト等を経験した方の高齢化や後継人材の不足から、知識や技術の継承が困難な状況となっています。また、原子力分野への進学を希望する学生の減少や、試験研究炉の減少に伴う実験、実習の機会の減少も進んでおり、原子力の利用と安全管理の双方に支障を来す状況に陥っています。
そこで、原子力産業や人材の現状と課題について、西村経済産業大臣の見解を求めます。
あわせて、原子力発電に係る事業環境整備や人材の育成確保、技術の維持開発について今後どのように取り組んでいく方針か、具体的に御説明ください。
今回、原子力基本法を改正し、新たに国の責務及び原子力事業者の責務について規定されました。しかしながら、いわゆるバックエンドの問題の解決については、いまだ国及び原子力事業者の責務の項目として明確に規定されていません。
二〇二三年二月に改定された原子力利用に関する基本的考え方においては、処分場確保に向けて国としても関与していくべきとの趣旨の記載があります。さらに、欧州のEUタクソノミーでは、グリーン認定要件として処分施設の計画策定を求めており、我が国としてもこうした動きに注意を払う必要が生じています。
国民の原子力への信頼を確保していくためにも、最終処分の着実な実施を国の責務として明確にし、実効性ある取組を推進していくべきと考えますが、総理の答弁を求めます。
G7気候・エネルギー・環境大臣会合についてお伺いします。
同共同声明では、原子力エネルギーのパラグラフにおいて、今後十年以内の小型モジュール炉を含む革新的な原子力技術の開発及び展開を促進する趣旨の記載があります。国民民主党としても、安全性向上と経済安全保障、脱炭素化を両立させる小型モジュール炉等へのリプレースを訴えていますが、日本政府としての具体的な工程表を早期に示すべきです。総理の見解を求めます。
一方、同共同声明の再生可能エネルギーのパラグラフにおいては、地熱の利用について、地熱の文字が一度出てくるだけで、方針さえ記載がありません。日本は世界三位の資源量を持つと言われているにもかかわらずです。今後、地熱エネルギーに対してどれだけの投資や規制緩和を予定しているのか、西村GX担当大臣の見解を求めます。
最後に、同共同声明の道路部門のパラグラフにおいて、国ごとのカーボンニュートラルに向けた多様な道筋という大前提とともに、ストック、いわゆる保有台数、車の保有台数全体でCO2排出削減を進めていく重要性についても認識され、あわせて、燃料電池自動車やプラグインハイブリッド車、合成燃料などのカーボンニュートラル燃料に関する技術開発も評価されたと承知しています。
こうした合意の内容はこれまでの日本の主張とも方向性を同じくするものであると考えていますが、日本政府として、今回の結果をどう受け止め、カーボンニュートラルに向けた取組をどのように進めていくのか、総理の見解を求めます。
以上、質問といたします。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕