岩渕友の発言 (本会議)
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○岩渕友君 私は、日本共産党を代表して、議題の法律案を構成する原子力基本法、電気事業法、原子炉等規制法、再処理法、再エネ特措法の改正案について質問します。
本法案は、脱炭素やロシアのウクライナ侵略によるエネルギー危機を口実に、東京電力福島第一原発事故の反省も教訓も投げ捨て、原発回帰へと大転換するものです。
原発事故から十二年余りたった今も、原子力緊急事態宣言はいまだ解除されず、ふるさとに戻ることができない方々は八万人を超えると言われています。
今も大部分が避難地域である浪江町津島地区の方から、私たちが奪われ、失ったものは、家族、住民、民俗、芸能、歴史、伝統、自然、風土、地域社会、そして、これら一切に対する誇り、矜持です。地域の過去、現在、未来、人生そのものを奪われ、失った。こんなことが許されていいのかと訴えられました。築き上げてきたものが一瞬にして奪われ、苦しみが生涯続く。それが原発事故です。
半世紀にわたり反原発の活動を続けてきた楢葉町宝鏡寺の住職である早川篤雄さんは、昨年末、亡くなる直前に、政府の原発回帰方針に、また安全神話だ、許せないと怒りをあらわにしました。福島県内はもちろん、全国で事故をもう忘れたのかという声が上がっており、断じて許されません。総理は、また安全神話に陥り、再び事故を起こしたら責任を取れるのですか。
この深刻な事故を受けて、原子力規制委員会が設置され、リスク低減のための安全規制として、運転期間は原則四十年、例外的に一度に限り二十年延長できると、原子炉等規制法、炉規制法が改正されました。事故原発の運転期間が四十年目であり、原子炉が四十年使用を目安に設計されていたからです。
ところが、本法案は、運転期間を制限する条文を炉規制法から削除し、推進側である経済産業省所管の電気事業法に移すとしています。しかも、安全規制を行うべき山中原子力規制委員長は、運転期間の規定は安全規制ではないという誤った答弁を繰り返しています。これは規制委員会の独立性に重大な疑念を抱かせるものであり、炉規制法改正時の解釈を根本的にねじ曲げるものではありませんか。
さらに、本法案では、運転期間は四十年とするものの、経産大臣の認可で二十年プラスアルファの延長を可能とし、延長回数の限度はありません。新規制基準への適合性審査期間や行政指導、仮処分命令による停止期間などを運転期間に含まないとしています。
規制委員会で行われた議論では、石渡委員が、この改変は、科学的、技術的な新知見に基づくものではない、安全側への改変とも言えない、審査を厳格に行えば行うほど、より高経年化した炉を運転することになるとして反対したのは当然です。
政府は、規制委員会が運転開始三十年から十年ごとに設備の劣化に関する技術的評価を行うから大丈夫だと言いますが、これまでも行われているものにすぎません。運転延長した老朽原発の事故の危険性を減らすことにならず、これで安全性が高まると言えるのですか。
山中規制委員長は、運転期間から停止期間を除く法改正の根拠として、令和二年七月二十九日の運転期間延長と老朽化に関する規制委員会の見解を繰り返していますが、この見解について、当時の更田規制委員長は、電力会社と原発業界で構成するATENAからの運転期間から停止期間を除くべきという要求をきっぱりはねつけたものだと述べています。本法案はこの見解と真逆のものではありませんか。
以上、総理の答弁を求めます。
原子力基本法の改悪は極めて重大です。法案では、安全神話に陥り、事故を防止することができなかったことを真摯に反省するとしています。そうであるならば、国は原発事故の法的責任を認めるべきではありませんか。それすら認めず、一方で、原発を電源の選択肢として活用し続けることを国の責務として新設し、原発の推進を事実上規定しています。
さらに、国が取るべき基本的施策を新設し、原発技術の維持と開発の促進、原子力産業基盤の維持強化、原子力産業の安定的な事業環境の整備なども行うべきとしています。基本法を所管する高市大臣は、四月十四日の本会議で、原子力を支援することを国の責務とするものではないと答弁しましたが、支援そのものではありませんか。本法案と高市大臣の答弁は矛盾するのではありませんか。総理と高市大臣の答弁を求めます。
本法案は原子力基本法の姿も性格も大きく変質させるものであり、原子力産業を政策的に保護し、将来にわたって原発を活用するための法的な枠組みをつくることになるのではありませんか。高市大臣、お答えください。
国会事故調が指摘するとおり、原発事故の最大の教訓は、原発を推進する経済産業省の中に規制する役割を持った当時の原子力安全・保安院があったこと、規制する側が電力会社に取り込まれる規制のとりこの構造に陥っていたことにあります。
ところが、衆議院の審議を通じて、原発の運転期間をめぐり資源エネルギー庁と原子力規制庁が非公式に面談を重ねていたことが明らかになりました。七月二十八日にエネ庁から規制庁に示された資料には、炉規制法と電気事業法の改正イメージに加え、安全規制が緩んだように見えないことも大事などといったコメントが付けられていました。これは、推進による規制への介入にほかならないのではありませんか。
これまで政府は、原発の依存度は低減する、新増設など想定していないと述べてきました。ところが、国会と国民にまともな説明もないまま、GX基本方針案に対するパブリックコメントでの多数の反対意見も、説明会での意見も方針には反映されませんでした。
この三月に発表された日本世論調査会の全国調査では、原発の最大限活用の方針を評価しない、原発の建て替えなどの開発、建設推進に反対が六割を超え、六十年を超える運転期間の延長に反対は七割を超えています。内容を見ても立法過程を見ても、原発事故の反省と教訓をないがしろにするものではありませんか。
本法案では、地域と共生した再エネの最大限の導入拡大支援を掲げていますが、稼働していない、完成もしていない原発を優先する送電網の利用ルールになっており、これが九州電力始め大手電力による再エネの出力抑制につながり、再エネの導入を阻み続けています。原発を最優先とするルールこそ抜本的に変えるべきではありませんか。
国連IPCCの最新の報告書が、今のペースで温室効果ガスを排出し続ければ二〇三〇年に排出限度に達すると警告する下で、もはや一刻の猶予もありません。世界全体で二〇三五年までに六〇%削減が必要とされており、G7議長国として、二〇三〇年度の削減目標を六〇%まで引き上げるとともに、世界の流れとなっている原発からの撤退、石炭火力発電の全廃と徹底した省エネ、再エネの大量導入でこそ脱炭素を実現するべきです。
以上、総理の答弁を求めます。
ドイツは、チェルノブイリ原発と福島第一原発の事故を受けて脱原発を決断し、一時は発電量が全体の三割を占めていた原発が、四月十五日に全て停止しました。一方、事故を起こした日本の政府が原発回帰へと突き進むことは、新たな安全神話をつくり、世界の本流に逆行するものにほかなりません。
本法案の撤回を求め、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕