牧山ひろえの発言 (本会議)
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○牧山ひろえ君 立憲民主・社民の牧山ひろえです。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案について質問いたします。
なお、去る五月九日、私たち立憲民主・社民は、共産党、れいわ、沖縄の風とともに、四会派による野党共同提案で、閣法への対案として議員立法難民等保護法案及び入管法改正案を提出いたしました。
本日の本会議代表質問でも閣法と並べての審議を要求しましたが、与党に拒否され、実現しなかったことは極めて遺憾です。熟議の府たる参議院でより議論を深め、それぞれの法案の違いや優劣を国民の皆さんに分かりやすく伝えるチャンスを否定した与党の判断は強く批判されるべきと考えます。
さて、令和三年二月に提出された入管法案は、三回目以降は難民認定申請中でも本国への強制送還を可能とする送還停止効の例外を設け、また罰則付きの退去命令制度を設けるなど、到底認めることができない内容を多く含んでいました。そして、翌三月にウィシュマ・サンダマリさんが名古屋入管で亡くなられたことで、同法案に対して国内外からの批判が高まり、結局、同法案は廃案に追い込まれました。
ウィシュマさんのように、入管収容施設内で人がお亡くなりになるような悲劇は決して繰り返してはなりません。そのためには、ウィシュマさんが亡くなった原因を究明し、入管収容施設内における処遇はもちろん、日本の入管難民制度全体の問題点を解明し、徹底的に見直すことが不可欠です。しかしながら、政府は、今回、その反省も教訓もなく、二年前に廃案となった法案とほぼ骨格が変わらない法案を国会に再提出してきました。
政府が今回改めて法案を提出したということは、ウィシュマさんの事件に関し、真相を究明し、それに基づき抜本的な改善を行ったことが当然前提となるはずですが、法務大臣、そういう認識でよろしいでしょうか。そうでなければ、なぜ廃案になった法案と根本の問題が変わらない法案を出してきたのでしょうか。
また、事件後に政府が行った総括で、そして今回の法案で、今後ウィシュマさんのような悲劇を二度と起こさないと法務大臣は果たして言えるのでしょうか。
我が国の難民認定についての問題の根幹にあるのは、外国人の出入国の管理を行う組織である出入国在留管理庁が同時に難民認定も行ってしまっていることです。法務省設置法には、入管庁の任務は出入国及び外国人の在留の公正な管理を図ることであり、その任務を達成するために難民の認定に関する事務をつかさどると規定されています。つまり、入管庁は難民認定も外国人管理という観点から行っているわけであって、これでは難民として保護すべき人を正しく保護できるとは到底思えず、事実、難民認定率は先進国最低レベルで、極めて恥ずかしい水準にとどまり、国連人権理事会等からも、本来保護すべき方々が適切に保護されていないとの強い批判を受け続けています。
我が党提出の対案では、難民認定の中立性、公平性、透明性、専門性を確保するため、入管庁から独立した第三者機関が難民認定を行うこととしておりますが、この方針に対する法務大臣の見解をお伺いいたします。
衆議院での審議では、入管行政と難民行政が密接に関連しているからだという答弁が政府よりありました。仮に相互の関連により利便性のメリットがあるにしても、独立した難民行政がないことによって、保護よりも管理の視点が優先されてしまっていることによるデメリットの方がはるかに大きいのではないでしょうか。これは人の命や人生を左右するほど深刻で重大な問題です。このデメリットへの対応について、法務大臣の御見解をお示しください。
これに関連して、難民認定の最終決定を行う法務大臣として、難民等を間違って難民と認定しないことと、難民等でない人を間違って難民と認定すること、どちらを優先しますか。端的にお答えください。
十人の真犯人を逃すとも一人の無辜を罰するなかれという箴言が私たちの取る立場です。難民認定は刑事事件ではないですが、本国に帰すことによって、迫害や拷問に遭ったり殺されたりする危険にさらすことになるのです。衆議院の参考人質疑で登壇した一橋大学院の橋本直子准教授も、同じ趣旨から、このまま法案を通すのは無辜の人に間接的に死刑執行ボタンを押すことに等しいと警告しています。
現在の全件収容主義は、収容の長期化の主要な一因となっています。本法律案では、収容の代わりとなる監理措置の創設が提案されています。
まず、この監理措置の導入は、これまでの入管庁の全件原則収容主義を撤廃し、原則収容しないという方針を確立するものなのか、明確にお答えください。また、実際にどれぐらい監理措置に付されることになるのか、想定とその根拠について法務大臣に伺います。
届出義務や報告義務等の重い義務や罰則がある監理人のなり手が果たして十分確保されるのでしょうか。確保の見通しと手段、そして、なり手が不十分な場合の対応について、法務大臣の見解を求めます。
被収容者については三か月ごとに監理措置の要否を検討することとされていますが、どのような場合に今まで収容されていた外国人を監理措置に付することが適当と認められるのでしょうか。法務大臣は、個々の事情という答弁に逃げるのではなく、措置の公平を保つためにも具体的な基準をお示しください。
我が党が提出した法案のように、収容の長期化に対しては、監理措置ではなく、全件収容主義を撤廃し、収容の開始又は継続時における司法審査を導入して、さらに、収容期間に上限を設けるべきであると考えますが、法務大臣の見解を伺います。
衆議院での修正協議に際して、修正項目の一つに、在留特別許可を判断する際に子供の利益を考慮すべきことを条文上明記するという内容がありました。我が党が最終的に修正協議に合意できなかったことにより、この項目も含め合意項目は全て白紙とされていたのですが、ということは、在留特別許可の考慮事情に児童の利益を考慮すべきことを条文上明記することに政府・与党は反対ということでしょうか。法務大臣の御見解をお示しください。
反対しようがない内容で、かつ一旦修正に応じたにもかかわらず削除したということは、党利党略で子供の利益を人質に取ったと同じことだと思います。
衆議院法務委員会で齋藤大臣は、日本で生まれ育ったものの在留資格のない二百一人の十八歳未満の子供に対し、できることを真剣に検討していきたいと繰り返し御答弁されました。何の罪もないこの二百一人の子供たちに対する在留特別許可等の措置を前向きに御検討いただけると考えてよろしいですね。
法務省や入管は、在留資格を持たない外国人の一部を送還忌避者と呼び、罰すべきもの、一刻も早く日本から追い出すべき者として扱います。ですが、送還忌避者には、日本で生まれた子供、あるいは日本で育った子供、日本の学校に在籍していたり、日本で教育を受けた子供、日本に家族がいる人等もおります。これらのほとんどが保護すべき人たちなのではないでしょうか。法務大臣の認識をお伺いします。
では、罪を犯したとされる者ならば、政府が想定するような排除の対象でいいのでしょうか。送還忌避者が犯したと入管庁が公表する罪責の多くが入管法違反です。送還忌避者は退去強制事由に該当しているのですから、言わば当然です。
法務大臣は、入管法違反のみをもって保護すべき対象から除外する理由となるとお考えでしょうか。
そもそも、国連犯罪防止刑事司法会議で採択された京都宣言では、加害者の社会復帰を促進するためにコミュニティーにおける更生環境を推進すると述べられています。
この方向性からすると、前科者は送還してしまえばよいという政策は政府の方針に反すると思われますが、法務大臣の御認識はいかがでしょうか。
入管施設への収容をめぐっては、死亡事件や自殺未遂等、数多くの不祥事が相次いでおり、入管の責任を認める判決も相次いでいます。
また、先ほど述べましたとおり、難民、収容、送還問題に関しては、これまでも再三、国連人権理事会を始めとする国際機関から勧告や批判を受けてきました。直近では、二〇二三年四月に、国連人権理事会の特別報告者らが、この度の入管法改正案に対する共同書簡で、国際人権基準を満たしていないとして、日本政府に国際人権法の下での義務に沿うために徹底した内容の見直しを求めています。
衆議院の質疑でこの書簡について見解を問われた齋藤法相は、特別報告者個人の資格で述べられたものであり、国際連合又はその機関である人権理事会としての見解ではない、法的拘束力を有するものではない、一方的に見解を公表されたことについては抗議する、書簡の内容の誤認等に基づく指摘等を明確にし、改正法案の内容の適正性について十分理解していただけるよう説明を尽くすなどと反論しています。
法的拘束力がなければ国連等からの勧告は無視してもいい、つまり国際的な法の支配を無視してもいいのだと大臣はお考えなのでしょうか。
個人の資格等というと私的な発言だと誤解を招きそうですが、特別報告者は、日本も参加する人権理事会によって任命され、国連から特定の任務を与えられている国際レベルの人権専門家なのです。それを誤認ということは、大臣はそのような方が間違っているという御認識ということでしょうか。
特別報告者による共同書簡は前回改正法案提出時にも日本政府に送られており、その際にも上川法相が一方的と反論しております。一方的なのではなく、正論に対して日本政府が聞く耳を持たないので今回の提出に至ったと考えるのが自然ではと考えますが、法務大臣の見解を伺います。
このような国外からの根拠に基づいた批判を無視する法務省及び入管の傲岸たる対応は、国連人権理事会の理事国を長く務めた日本の地位をおとしめるものです。
そもそも、我が国は人権外交を推進することや国際社会における法の支配を徹底することを表明しており、外務省のホームページでも、社会的弱者の保護といった視点を掲げつつ、国連の主要人権フォーラムや二国間対話を通じて、国際的な人権規範の発展、促進を始め世界の人権状況の改善に貢献していきますと標榜しています。
国連機関から何度勧告されても、誤認だ、一方的だと言い募り、一顧だにしない現在の状況は、我が国が国際的に表明している約束や訴えに自ら泥を塗るもので、人権の尊重という国際的なトレンドにも逆行しており、人権外交重視の視点からもマイナスではないでしょうか。外務大臣の見解をただします。
現在の、我が国を含む人権を重視する自由主義国家群が権威主義的な国家群と対峙する国際情勢にあっては、人権外交の後退は、日本の外交や国際的な影響力にも深刻な打撃を与える懸念があります。
間もなくG7広島サミットが開かれ、先進七か国の首脳が地球規模の課題について話し合います。一億人を超える難民の増加は喫緊の課題の一つです。我が国は、議長国として民主主義や人権を重んじる価値観の共有をしっかりリードする必要があります。
今回のG7を機に、長らく批判にさらされ続けてきた入管、難民政策を抜本的に改善して、そして人権擁護に関する対日イメージを一変させるべきと考えますが、法務、外務両大臣に御見解をお伺いします。
在留資格のない外国人は我が国で最も弱い立場にあります。そして、弱い立場の人間を守れない社会は、結局何も守れません。誰もが弱い立場になる可能性がある以上、この問題は自らと関わり合いのない他人事ではありません。そして、政府案は根幹に欠陥があり、国際人権基準に従って一から制度設計をし直すしかありません。それを既に行っているのが我々の対案です。与党その他には、党利党略を捨て、虚心坦懐に両法案の優劣をしっかりと並べ比べ、御判断いただくことをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。(拍手)
〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕