川合孝典の発言 (本会議)

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○川合孝典君 国民民主党・新緑風会の川合孝典です。
 会派を代表し、ただいま議題となりました法律案につきまして、法務大臣に質問をいたします。
 まず、現在の不法在留者や送還忌避者問題に鑑み、今後の出入国在留管理行政の在り方について、法務大臣の見解を求めます。
 二〇一〇年代以降、日本の外国人労働者政策は急速に変容を遂げています。日本の外国人労働者政策の原則は、従来、専門的、技術的人材については積極的に受け入れるが、単純不熟練労働者は受け入れないという原則の下に運用されてまいりました。
 しかし、二〇〇九年の入管法改正によって在留資格の見直しと技能実習生の労働者性が確立されて以降、介護、建設、宿泊、製造など、数次にわたり受入れ対象職種は拡大を続け、現在に至っております。こうした受入れ対象職種の大半は単純不熟練分野に近接するものであり、単純不熟練労働者は受け入れないとする従来の政府方針は既に空洞化しております。そして、その結果、現在の日本は、イギリス、アメリカ、ドイツに次ぐ世界第四位の外国人受入れ国となっています。我々は、この現状を直視した上で外国人との共生の在り方を考える必要に迫られております。
 今回の入管法改正案は出国管理に主眼を置いた内容となっていますが、一部の難民申請者を除き、そもそも不法在留者や送還忌避者の問題は外国人労働者の受入れ政策に起因するものが多く含まれております。したがって、本来、入国管理の在り方と併せて議論がなされるべきものと考えますが、この点について、法務大臣の見解を求めます。
 法務大臣は、年初の大臣所信の冒頭で外国人との共生社会の実現を掲げられましたが、この公約を実現する上で、今後の出入国管理行政上解決すべき課題は一体何だと考えておられるでしょうか。見解を求めます。
 では、具体的な法案の内容について質問をします。
 今回の法改正は、保護すべき者を確実に保護するための制度整備、送還忌避問題の解決、名古屋入管における長期収容者死亡事案の発生を受けて、入管収容施設をめぐる諸問題の解決を図ることなどを主な目的としています。
 今次法改正で、保護すべき者を確実に保護するため、補完的保護対象者認定制度の創設や在留特別許可の申請手続を整備するなど、これまで指摘されてきた入管行政をめぐる課題の解消に向けた制度整備を行おうとしている点は率直に評価します。
 一方、送還忌避によって生じた入管施設への長期収容問題を解決する目的から、送還停止効に例外規定を設けることによって、難民申請者が適切な難民認定手続の機会を得られないまま入管法違反者として出国命令の対象者となり得る懸念が生じるなど、問題点も指摘されております。
 現在の出入国在留管理行政に係る根本的な問題は、第三者のチェックが全く働かないまま出入国在留管理庁内で全てが完結しているところにあると考えています。
 不法在留者の摘発から入管施設への収容、審査、そして国外退去決定まで、警察、検察、司法の役割が全て入管職員の手で行われています。強制収容を執行するのに、裁判所令状も必要はありません。しかも、その審査プロセスはブラックボックスで、その判断は国の出先機関である地方入管局長の権限に委ねられています。
 入管行政を適正化するためには、この審査プロセスを透明化することこそが何よりも重要と考えますが、法務大臣の認識、見解を伺います。
 欧米諸国では、難民認定申請者の面接時に弁護士等の同伴が認められている上、面接の様子は全て録音、録画され、審査を行う上での証拠として取り扱われています。一方、日本では、一部の年少者などに限って同伴者の立会いを認める運用が試行されている以外、一次審査における弁護士の同伴は認められておらず、面接の録音、録画も一切認められておりません。
 言葉の壁があり、法律知識も不足がちな難民申請者が適切な申立てを行う上で、面接時に弁護士や同伴者の立会いを認めるべきと考えますが、法務大臣の見解を求めます。
 また、難民申請者の権利を保護し、審査の適正性を担保する上で、面接の録音、録画を行うことは極めて有効と考えますが、なぜ日本では認められていないのか、併せて法務大臣の見解を求めます。
 補完的保護対象者の認定制度について質問します。
 今回、補完的保護の概念を導入し、難民条約上の難民の定義に該当しないものの、保護を必要とする者を保護対象に含めることとなります。これにより、難民申請手続を進める上で、法務大臣の広範な裁量権に一定の透明性が担保されることから、このことを前向きに評価をします。
 一方、補完的保護の要件については、その審査基準が曖昧なままであり、そこに難民調査官の恣意的な判断が入り込む懸念が生じています。真に保護を必要とする者を適切に保護する上で、補完的保護対象者に関する明確な条文規定が必要と考えますが、法務大臣の見解を求めます。
 送還停止効の例外規定の導入について質問します。
 今回、送還停止効に例外規定を設けることで、同一理由による三回目以降の申請者、三年以上の実刑前科者、テロリスト等をその適用対象とする規定が盛り込まれているほか、三回目以降の難民申請者についても、難民認定すべき相当な理由のある資料が提出できない者は送還停止効の例外規定の適用対象となります。私は、この相当な理由のある資料という極めて曖昧な文言を恣意的に解釈することで、本来保護すべき者を確実に保護できなくなる可能性が生じることを懸念します。
 相当な理由のある資料には客観的な判断基準が存在するのでしょうか。法務大臣の見解を求めます。
 送還停止効の例外規定の導入によって最も懸念することは、改正法第六十一条の二の九第四項の規定により、既に一度目の難民申請を行い、現在面接を待っている者が一度も審査を受ける機会を得られないまま難民不認定になるおそれがあることであります。
 難民申請途中の者が法改正によって不利益を被るような事態が生じないよう配慮する必要があると思いますが、法務大臣の見解を求めます。
 難民申請における誤用、濫用問題について質問いたします。
 近年、就労を目的とした難民申請の誤用、濫用が増加している旨の指摘がなされています。難民申請の誤用、濫用は決して容認できるものではありませんが、そのことをもって送還停止効の例外規定の適用を考える前に、なぜ就労を目的とした難民申請者が出るのかを考える必要があります。
 私は、こうした問題の背景には、外国人労働者の受入れ問題と正面から向き合うことのないまま、研修、実習目的で単純不熟練分野への外国人労働者の受入れを拡大してきたことにその原因があると考えています。就労を目的とした難民申請の誤用、濫用事案が発生している理由をどのように捉えておられるのか、法務大臣の見解を求めます。
 難民認定制度の運用の見直しについて質問します。
 今回、難民認定制度の運用の見直しの中で、難民該当性に関する規範的要素の明確化、難民の出身国情報の充実、難民調査官の調査能力の向上を挙げておられますが、いずれも具体性に欠けており、その運用いかんでは絵に描いた餅になりかねません。
 そこで質問ですが、例えばトルコ国籍を持つクルド人やミャンマーのロヒンギャ、部族紛争から逃れてきたアフリカ系の難民認定審査を行う上でどのように出身国情報の充実を図るのか、法務大臣の見解を求めます。
 最後に、難民申請手続の迅速化に向けた体制整備の必要性について伺います。
 出入国在留管理庁の令和五年度末の定員は六千三百十四人、そのうち出入国や在留審査を行う入国審査官は四千八十五名となっています。それなりの人員体制に見えますが、その多くは空港や港で出入国管理業務に当たっており、難民認定に携わっている職員はごく一部です。
 現在、難民申請から結果が出るまでに平均で四年半、長い場合十年近く要すると言われていますが、時間が掛かり過ぎているのは明らかであります。現在、専任で難民認定に携わっている職員は全国で何人おられるのでしょうか。法務大臣に質問します。
 今後、在留外国人の更なる増加が見込まれる中、適正、円滑な入管行政を実現する上で人員体制の強化を図るべきと考えますが、法務大臣の見解を求め、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 川合孝典

speaker_id: 14892

日付: 2023-05-12

院: 参議院

会議名: 本会議