田村智子の発言 (本会議)
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○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、道路整備特別措置法等の一部改正案について、国土交通大臣に質問いたします。
まず冒頭、国交省OBによる民間企業役員人事介入問題についてたださなければなりません。空港施設株式会社は、四月二十八日、独立検証委員会による検証結果を公表しました。その中で、国交省大臣官房総務課及び航空局総務課が国交省の人事資料をOBにメールで提供していたことが示され、国交省も事実だと認めました。しかし、斉藤大臣は、就職あっせん目的ではないから国家公務員法違反ではないと強弁しています。
二〇一一年に発覚した国交省審議官による天下りあっせんも、当時の国交省は問題なしと断じ、後に再就職等監視委員会から違反と指摘されたことをお忘れでしょうか。OBへの人事資料の提供は、国家公務員法第百六条の二に違反する疑いが濃厚であり、国交省内の調査に任せるわけにはいきません。大臣、再就職等監視委員会による調査など、政府として徹底究明すべきではありませんか。答弁を求めます。
法案について質問いたします。
本法案は、高速道路の更新、進化事業を進めるためとして、料金徴収期間を最長二一一五年九月三十日まで延長するというものです。約百年先、日本の交通機関がどうなっているか、現在の高速道路が存在しているのか、大臣はどのように検討して本法案を提出されたのでしょうか。
法案提出に当たり高速道路会社が公表したのは、更新が必要となる事業規模が一・五兆円ということだけです。衆議院の審議では、これに加えて、更新が必要となる蓋然性が高い箇所の事業費が約六・八兆円と示されましたが、対象となる道路、更新計画の概要など何も示されていません。総額八・三兆円規模の更新事業について、まず政府として中長期計画を示すべきではありませんか。
国交省は、百年先を見越した長期的な更新計画の作成は困難だと答弁しています。ならば、百年先まで見越した法改正がなぜできるのでしょうか。また、今後の百年間に新設される道路も更新事業が必要であり、二一一五年までに料金徴収が終了するという根拠はどこにあるのでしょうか。取りあえず、ひ孫の代まで高速道路の財源確保だけ決めるというやり方は、余りにも無責任ではありませんか。大臣の答弁を求めます。
高速道路の更新事業の緊急性は、笹子トンネル事故によって示されました。この事故の検証は、法案審議の前提となります。
二〇一二年十二月二日、一枚一トン超のコンクリート板二百七十枚が落下し、九名の命を奪った大惨事から十年。昨年十二月二日の追悼式典で、ある御遺族は、娘や息子の命が奪われた原因を知りたいと国とNEXCO中日本に土下座をして情報の提供を求めました。
NEXCO中日本は、二〇〇九年度に行うはずだったコンクリート板撤去工事を中止していた、事故の三か月前に予定していたボルトの打音検査も取りやめていた、それがなぜ、誰の判断によるものなのか、国交省の調査・検討委員会の報告書でも解明されていません。御遺族は、どうして誰も良心と勇気を持って情報を提供していただけないのでしょうかと訴えています。
大臣、事故原因の究明を求める遺族の声に応えるべきではありませんか。なぜ二度にわたって計画が変更されたのか、NEXCO中日本に調査と説明をさせるとこの場で表明いただきたい。答弁を求めます。
国の道路行政も厳しい検証が必要です。高度成長期に建設されたトンネル、橋梁等の更新の必要性は、既に二〇〇〇年代初めに政府の様々な審議会で指摘されていました。しかし、同時期、小泉内閣の構造改革により、コスト削減を前提とした官から民の政策が進められ、二〇〇五年の道路公団民営化もこの流れの下で行われました。設立された日本高速道路保有・債務返済機構の二〇〇五年度計画には、高速道路の新設、改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理について、コスト縮減努力が図られるよう工夫するとし、道路会社のコスト削減に対する助成金制度までつくられました。
NEXCO中日本の二〇〇六年からの五か年計画は、民営化までに行った三割コスト削減水準を維持し更なる削減を目指すとし、二〇〇七年有価証券報告書には、コスト縮減を継続し、助成金の獲得を目指しますとの方針が示されています。
笹子トンネル事故の背景には、民営化政策に貫かれたコスト削減方針があったのではありませんか。また、老朽化対策の必要性が指摘されながら、事故が起きるまで、具体の調査も行わず、方針も示さず、道路会社任せにしていた政府の責任が問われるのではありませんか。大臣の認識を伺います。
笹子トンネル事故を受けて、政府は高速道路について緊急点検を行い、老朽化した道路の更新費用を確保するためとして、二〇一四年、料金徴収期限を十五年延長、二〇六五年までとする法改定を行いました。
ところが、国交省は、二〇一六年に、新規建設にも道路料金収入は使えるとの立場を取りました。衆議院での我が党議員の質問によって、大阪湾岸道路西進部、淀川左岸線延伸部の建設、総額四千百億円について、道路料金が財源に充てられたことが明らかとなりました。これは、二〇一四年法案審議の説明と矛盾するのではありませんか。本法案は道路の進化を掲げています。道路料金が新規建設の財源とされ、更新事業が先延ばしされないか、そうならない担保が法案のどこにあるのか、大臣の答弁を求めます。
政府も高速道路会社も、自動車道路の新規建設をひたすらに続けています。我が国の道路建設の青写真は、バブル経済真っただ中の一九八七年、四全総によって示されました。全体構想約一万四千キロに及ぶ高規格幹線道路構想は、昨年三月現在で千八百キロ近く残っていますが、これら全てを建設するのでしょうか。また、暫定二車線区間の残る一千四百キロを全て四車線化するのですか。これ以外にも地域高規格道路の建設は各地で進んでおり、下関北九州道路のように、一度凍結された計画が復活した事業もあります。これら個々の道路計画について、必要性の精査こそ求められているのではありませんか。
新設道路には、巨大な橋梁や大深度トンネルなど、建設にも更新にも巨額の費用を要するものが多数あります。東京外環道の事業費は二〇二〇年に当初見積りの約二倍となることが明らかとなり、調布市での大規模な陥没事故で更に事業費が膨れ上がることは必至です。予算、資材、作業に必要な人員は、新規建設と更新事業とで両立できるのでしょうか。今後の道路事業の全体像をどのように検証しているのか、お答えください。
更に検討すべきは、貨物などの鉄道輸送へのモーダルシフトです。大型トラック等の重量輸送は道路の劣化を早め、環境負荷も大きい、運転手不足も深刻です。ローカル鉄道も活用した新たな貨物路線のネットワーク構築こそ求められます。二〇三〇年までの野心的なCO2削減のため、トラックから鉄道輸送へ移行する具体の戦略を直ちに持つべきではありませんか。
新規建設を優先させる道路行政の行き詰まりはもはや明らかです。現在のスキームで料金徴収の延長を百年先までなどという政策は、この行き詰まりのごまかしにほかなりません。
改めて、笹子トンネル事故を痛切な教訓とし、老朽化道路の更新事業を最優先とする政策の具体化、五年ごとの法改定による国会での検証を行うべきです。また、新規建設の抑制など道路事業の総量規制、本格的なモーダルシフトへ鉄道政策と連関した道路政策への構造的かつ抜本的な転換を求め、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇、拍手〕