古賀千景の発言 (本会議)

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○古賀千景君 立憲民主・社民の古賀千景です。
 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました法律案について質問いたします。
 本法律案は、超党派による議員立法である日本語教育推進法を受けて検討が進められてきたものであり、これまで法務省の告示基準による審査を受けるにとどまっていた日本語教育機関は、本法律案により、我が国において教育をつかさどる文部科学省が法的な根拠をもって審査し、認定できるようになります。
 日本語教育機関の審査制度を振り返りますと、昭和六十三年に、当時の文部省の有識者会議によって日本語教育施設の運営に関する基準が策定されたことから、国の関与が本格化しました。しかし、この基準はガイドラインという位置付けにとどまり、日本語教育機関の審査は民間団体に委ねられ、審査に関わる費用や不透明な会計などが問題となりました。こうした状況を受け、平成二十二年の民主党政権下の事業仕分により、日本語教育機関の審査は、法的な位置付けが曖昧な民間団体ではなく国が行うことが適切とされ、現在の法務省を主体とする審査体制に移行することとなりましたが、以降も多くの課題が指摘されてきたことは御承知のとおりです。
 今日までの我が国における日本語教育機関の審査制度の歩みを振り返り、どういったところに問題があったと認識し、また、本法律案にはどのような意義があると考えているか、文部科学大臣の見解を伺います。
 これまで、日本語教育機関をめぐる多くの不祥事がありました。制限を超えて不法に留学生を就労させている日本語教育機関があることは、文部科学大臣も衆議院の審議で答弁されているところですが、最近では、福岡市の日本語学校において、転校をめぐるトラブルにより、外国人留学生が金属製の鎖と南京錠で数時間にわたって拘束される事例が報じられました。このような人権を踏みにじる行為は断じて容認することはできません。
 このような事案がなぜ発生したのか、その根本原因を分析し、新たな日本語教育機関の認定制度においては、このような事案を二度と起こさぬよう、未然に防ぐ手だてを整えなければなりません。
 衆議院の審議において、文部科学大臣は、日本語教育機関において留学生に対する人権侵害行為は決してあってはならない、問題のある機関には法務省とも緊密に連携して厳正に対処すると答弁されました。また、法務大臣は、実地調査などを通じ、人権侵害行為など告示基準に違反する行為が行われていないかなどを随時確認するとともに、留学生からの協力を得て実態の把握に努めると答弁されました。
 いずれも事案が発生した後の対応に関して述べられております。日本語が不自由で、また、在留資格を維持する上で日本語教育機関に対し物申せぬ弱い立場にある外国人留学生を守っていくためには、そもそもこのような事案が起こらぬような仕組みを構築することが重要です。
 未然防止に向けた取組について、文部科学大臣及び法務大臣の考えを伺います。
 もちろん、事案の発生後の早期把握や対処も重要です。本法律案は、日本語教育機関に対し、自己点検や文部科学大臣に対する定期報告を義務付けており、これらを端緒として、必要に応じて報告徴収や立入検査を行うことができることも規定しています。
 衆議院の審査において、制度開始当初は現行の法務省告示校約八百三十機関、大学の別科約六十機関などが認定を受けると想定されていることが明らかとなっていますが、全国各地に所在するこれだけの数の日本語教育機関から定期的に送られてくる報告や公表される自己点検などを精査し、問題のある日本語学校を把握して対応するためには、相当な人員体制が必要です。
 本法施行後にこれらの事務を行う文部科学省には、地方の出先機関はありません。どのような体制で認定後の監督に当たっていくおつもりなのか、文部科学大臣のお考えを伺いますとともに、これに対してどのように協力していくつもりなのか、法務大臣の考えも併せて伺います。
 外国留学生を守る観点から、日本語教育機関の審査を厳格に行う必要があることは言うまでもありませんが、日本語教育機関で行われる教育そのものの質の向上を考えた場合、様々な進路を目指す多様な外国人留学生のニーズに合わせ、各日本語教育機関や日本語教師の創意工夫による多様な日本語教育が引き続き実施されるようにしていくことも、同時に留意する必要があります。
 本法律案において、日本語教育機関のどういった事項をどの程度規制するかを決める認定基準は、文部科学省令によって定められることとされています。その策定や改廃時には、文部科学大臣は法務大臣と協議するとともに、審議会等の意見を聞くこととされていますが、外国人留学生を守り、適正な日本語教育が実施されるよう厳しく見ていかなければならない事項と、日本語教育機関における多様な日本語教育を保障していくために柔軟でなければならない事項をどのように両立させていくおつもりか、文部科学大臣のお考えを伺います。
 日本語教育機関の審査を行う体制がクリーンであることも大切です。
 本法律案では、認定を行うに際して、文部科学大臣は審議会等の意見を聞くこととされています。多種多様な日本語教育機関を十分かつ公平に審査できるよう、審査に関わる有識者には、深い学識と専門的知見に加え、審査対象との利害関係がないことなどが求められます。また、審査過程の透明性の確保も必要であると考えますが、文部科学大臣のお考えを伺います。
 次に、本法案の施行に向けた今後の見通しについて質問します。
 日本語教師の資格の創設と日本語教育機関の認定制度を求める日本語教育推進法が成立してから四年が経過し、ようやく本法律案が提出されることとなりました。これまで、令和二年、令和三年に文化庁の有識者会議から報告書が提出され、その都度日本語教師の国家資格化が報じられましたが、詳細は語られず、多くの現職の日本語教師や日本語教師を志す方々や、そして、日本語教育機関や日本語教師養成機関の関係者はやきもきしながら結論を待ち続けたことと思います。
 検討段階では資格の性質が変わることもありました。コロナ禍における外国人留学生の減少とともに、先行きの見通しが立たず、関係者の方々は大きな不安を感じてこられたことと思います。
 本法律案は、提出に至ったものの、政省令に委任されている項目が多く、認定日本語教育機関の認定基準や登録日本語教員の試験、実践研修の内容など、肝腎な部分に不明確なところが多々あります。
 関係者の不安を解消し、見通しを持って日本語教育に当たることができるよう、本法施行までにどのようなスケジュールで制度の詳細を決めていくのかを明確に示すことが求められると思いますが、文部科学大臣の考えを伺います。
 大きな制度変更を前にして、関係者の最大の関心事項は、いかなる経過措置が用意されるかにあると思います。経過措置には、現職の日本語教師に関するものと日本語教育機関に関するものがそれぞれ想定されます。
 現職の日本語教師への経過措置については、本法律案には明確な規定がなく、全て文部科学省令に委ねられることとなります。
 令和五年一月の文化庁の有識者会議の報告では、一定の質が担保された日本語教育機関に一定期間以上勤務している者や、民間試験を合格した者、大学の養成課程を経た者などについて、試験等を免除することが提言されていますが、詳細は今後の検討とされています。
 試験が免除される一方、講習の受講が義務付けられ、講習修了認定試験を受けるパターンなども示されており、提言の内容は複雑です。日本語教育機関に一定期間以上勤務している者という要件も、具体的な期間は示されていません。コロナ禍における日本語学習者の減少により勤務できなかった方もいらっしゃるでしょうし、育児、介護、病気などの理由、現職教師として働けなかった時期がある方もいらっしゃると思います。自分は新たな制度の下でもそのまま働けるのか、試験を受けなければならないのか、大きな不安があられると思います。
 本法律案の審査に当たり、多くの現職日本語教師の方々の不安を少しでも解消していく必要があると思います。現時点での経過措置の検討状況や今後の検討スケジュールに関して、文部科学大臣の見解を伺います。
 本法律、済みません、本法律案が施行された場合、留学生を受け入れることができる日本語教育機関は、認定日本語教育機関であることを要件とする方針が示されています。
 認定日本語教育機関において日本語教育課程を担当するには、制度開始から五年間は、登録日本語教員でなくても、文部科学省令で定める資格又は実務経験を有する者が担うことが許容される旨の規定があります。この文部科学省令で定める資格又は実務経験について、有識者会議の報告書では、現行の法務省告示校における教員要件を満たす者などが検討すべき対象とされましたが、具体的な要件はこれからです。
 また、本法施行は来年四月一日とされていますが、法務省告示校などこれまでの留学生を受け入れてきた日本語教育機関がいつまで現行制度に基づいて留学生を受け入れ続けることができるのかについては明らかになっていません。
 本法律案の認定制度は、これまで法務省告示校のような審査を経ずに外国人留学生の受入れを行うことができた大学の留学生別科も対象とすることが衆議院の審議などにおいて示されましたが、こちらへの影響も甚大です。日本語教育機関の関係者のみならず、外国人留学生にとっても、入学しても本当に在留資格を得られるのか、また、在学中にも在留資格を失わないかが見通せず、大きな不安要素となります。
 日本語教育機関の関係者の不安を解消するよう、また、コロナ禍を経て、現在回復の兆しが見え始めている外国人留学生の来日を妨げぬよう、日本語教育機関に関する経過措置を明らかにしていく必要があると思いますが、現時点での検討状況や今後の検討スケジュールに関して、法務大臣の見解を伺います。
 最後に、日本語教師の処遇改善について質問します。
 本法律案により、日本語教師を対象とした国家資格が創設されることとなります。日本語教育推進法において、日本語教師の資格整備の目的は、その能力及び資質の向上だけではなく、処遇の改善が図られることが挙げられています。この点、衆議院の審議において、文部科学大臣は、国家資格化により専門性と社会的認知度が高まり、処遇改善につながるとの説明をなされていますが、果たしてそれだけで十分に機能するのでしょうか。
 教育の質を左右するのは、これを担う教員です。政府は外国人留学生の数を令和十五年までに四十万人にまで増やすことを目標としていますが、その達成には、日本語教師が適切な処遇の下、外国人留学生の指導に当たれる環境を国が支えていくことが不可欠です。
 文化庁の調査によれば、法務省告示校で働く常勤の日本語教師の約七割が年収四百万円以下です。告示校では、六割以上の日本語教師が非常勤であり、その方々の多くは更に低い収入となっています。
 国家資格となることで、日本語教師がその資質を証明できるようになり、また、社会的にも日本語教師の職業が認知されるきっかけにはなると思いますが、それだけで処遇の改善につながるのか。待遇を改善していくには、日本語教師の収入を外国人留学生の学費のみに頼る現在の仕組みを抜本的に変えていく必要があるのではないでしょうか。
 日本語教師の処遇、待遇をどのように改善されていくおつもりなのか、具体的に、文部科学大臣、お示しください。
 本法律案により、認定日本語教育機関は厳しく審査され、そこでの教育を担う登録日本語教員についても国が定める資格が必須となります。厳しい条件に見合った処遇を国として後押しする財政支援が必要であり、そのための具体的な検討を始める材料は整っているのではないかと思います。
 登録日本語教員の処遇改善に向けた認定日本語教育機関に対する財政支援の必要性について、文部科学大臣の考えを伺いまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣永岡桂子君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 古賀千景

speaker_id: 6522

日付: 2023-05-17

院: 参議院

会議名: 本会議