吉良よし子の発言 (本会議)
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○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。
私は、会派を代表して、日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律案について質問します。
留学生として来日したウィシュマ・サンダマリさんは、学費が払えず退学、在留資格を奪われ、入管法違反で収容され死に追いやられました。このような悲劇を二度と起こさない、そのために、今の非人道的な日本の入管行政の抜本的な見直しこそが必要です。
それなのに、先週金曜日に参議院で審議入りした政府提出の入管法改定案は、今の入管行政はそのままに、刑罰をもって退去を強制するなど、外国人の人権侵害を一層深刻化させるものです。国際人権条約にも憲法にも反する入管法改悪案は廃案にすべきです。
政府が留学生三十万人計画を打ち出して以降、日本への留学生の数は増え続け、二〇一九年にはついに三十万人を突破。二〇三三年までに留学生四十万人を目指すとしていますが、その目的は何でしょうか。文科大臣、お答えください。
現在の留学生の実態は極めて深刻です。留学生の多くは、渡航費やあっせん手数料など百万円以上の借金返済を抱えて来日し、学費や生活費、母国への仕送りのためにアルバイトに追われていて、学ぶための留学とは程遠い実態に置かれています。結果として、週二十八時間の上限を超えて働いてしまった留学生は、不法就労とされて在留資格を失い、場合によっては収容、退去を強制されることもあります。
法務大臣、こうした事態が起きているのは、留学生を使い勝手の良い安価な労働力として受け入れてきた政府の姿勢に問題があるからではありませんか。
入管庁は、留学生に在留資格を与えるときに、親の年収や銀行預金残高が記された証明書の提出などを求めているとのことですが、渡航費用、仲介業者へのあっせん料や学費など、既に多額の借金を抱えて来日する留学生の実情は正しく把握されているのでしょうか。留学費用を借金に頼り、母国からの仕送りが見込めない外国人であっても、留学生三十万人計画達成ありきで在留資格を出し続けてきたのではありませんか。
留学という名目で外国人を安価に働かせる構造そのものを改めることもなく、今度は留学生四十万人などと言い、受け入れる留学生を増やし続ければ、更なる悲劇を生み出しかねません。外国人受入れ政策そのものを大きく転換し、学問研究を目的とする外国人は留学生として、就労目的の外国人は、留学生としてではなく、初めから労働者として受け入れるべきではありませんか。
そもそも、日本語学校の最大の問題は、その大半が、受け入れた留学生を安価な労働力として利用することと一体に運営されているということです。
アルバイトで疲れ果て、授業中に居眠りをする留学生が何人もいるが、どうすることもできずつらいという日本語教師の方のお話を聞きました。
この間、日本語学校は増え続け、現在の法務省告示基準に合致した告示校は八百三十二機関に上ります。そのうち六割以上が株式会社などの営利目的の学校です。中には、留学生からの学費収入を確保するために週二十八時間の上限を超えて働く留学生を黙認する学校や、場合によっては、日本語学校が搾取の一端を担っているケースもあります。学校の理事長自身が人材派遣会社を経営し、留学生からパスポートを没収し、週二十八時間以上働かせた上に不当に高い家賃を徴収するなど、日本語学校そのものが外国人ビジネス、留学生搾取を行う悪質な事例もあります。
法務大臣、このような悪質な日本語学校の実態を認識していますか。
法務省の告示基準を満たしたはずの日本語学校で、なぜこうした事態を止めることができないのですか。この十年の間に告示基準違反で法務省が告示の抹消処分をしたのは僅か二件のみと聞いています。これで適切な是正ができているとお考えですか。
今回の法案では、法務省に代わり、文科省が基準を作り、日本語教育機関を認定するとされています。有識者会議の報告で教育環境が十分に整っていない機関が見られると指摘されたことを受けての対応といいますが、事実上、認定する官庁を差し替えるにとどまるのではありませんか。法務省告示機関から文科大臣認定に移る際に、留学生を搾取するような悪質な日本語学校は認定しない、除外できると言えますか。文科大臣、お答えください。
文科大臣認定をするための基準は、法案成立後に省令で検討するとされています。その認定基準が、現在の法務省告示基準より厳しい基準になる保証はどこにもありません。結局、現行の法務省告示校をそのまま日本語教育機関として文科大臣が法律に基づいて認定し、悪質な日本語学校にも適正な認定機関であるというお墨付きを与えることになりませんか。
不法就労の責任を留学生にばかり押し付けるのではなく、留学生を搾取する悪質な日本語学校をしっかり規制する仕組みをつくり、留学生が日本で安心して学べる権利を守る制度こそ目指すべきです。
留学生だけでなく、外国人労働者やその家族が、生活の場で日本語を学ぶことは欠かせません。その役割を果たしているのは日本語教室です。
しかし、文化庁の調査でも、現在、自治体などが設置する日本語教室がない空白地域が八百七十七市町村、全自治体の四六%に上っています。自主的な取組に任されているため、開設の状況は地域によって大きく異なっています。さらに、日本語教師の四割超は東京都に集中しており、地方での指導者不足は深刻です。
文科大臣、このような地域格差、空白自治体の解消をどのように進めていくおつもりですか。日本語教室の実施は、設置者任せではなく、財政支援など国の責任で行うべきではありませんか。
日本語教師の処遇改善も待ったなしです。
日本語教育を担う日本語教師は約四万人いますが、その半数はボランティアで、無報酬の働きに頼っているのが日本語教育の実態です。このような実態は早急に改めるべきではありませんか。
法務省告示校に勤める日本語教師でも、およそ三分の二が非常勤で、常勤は僅かです。文化庁調査によると、法務省告示校の常勤であっても年収四百万円未満が七割を占め、非常勤の年収は百五十万円未満がほとんどです。収入が余りに低いため、日本語教師として生活を維持するためには、複数の日本語学校を掛け持ちするしかありません。日本語教師の年代構成を見ても、二十代は僅か五%程度にとどまり、若い人が将来を見通して働き続けられる職業とはなっていない実態もあります。
文科大臣、本法案で国家資格化される登録日本語教員になれば処遇も改善されるのですか。
一こまの授業を行うための準備にその二、三倍の時間と労力が掛かる、平日の授業準備のために週末は潰れてしまうというお話も伺いました。学校では、留学生の生活や進路の相談に乗り、日本の文化や生活習慣も教えるなど、留学生の日本での生活を支える重要な役割を果たしているのが日本語教師です。
その専門性にふさわしく、地位向上を図ること、処遇改善することを文科大臣に強く求め、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣永岡桂子君登壇、拍手〕