矢倉克夫の発言 (本会議)

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○矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。
 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案につきまして、総理並びに財務大臣、防衛大臣、経済産業大臣に質問をいたします。
 ロシアによるウクライナ侵略は、世界各国が築き上げてきた国際秩序を危機に陥れるものです。また、我が国周辺の安全保障も、北朝鮮の度重なるミサイル発射や中国による尖閣諸島周辺海域における繰り返しの徘徊や領海侵入など、厳しさ、複雑さを増しております。かかる懸念、脅威から国民の生命と平和な暮らしを守るため、戦略的に第一に重要な要素は外交力であり、その趣旨は国家安全保障戦略にも記載のとおりであります。
 まず、総理に、さきに成功裏に終了をしました広島G7サミットの結果、我が国及び国際平和を守るため必要な日本の外交力がいかに強化されたとお考えか、お伺いをいたします。
 また、今回のサミットの結果を踏まえ、総理が掲げる核なき世界の理想実現に向け、いかに現実的で実践的な責任あるアプローチを図るか、いかに日本としてリーダーシップを発揮し、核なき世界を実現されるか、併せてお伺いをいたします。
 その外交力と表裏の関係を持ち、それを補完する役割を有するのが防衛力であり、その強化、防衛予算の増額は、現下の情勢を踏まえると不可欠であります。
 本法律案では、税外収入を防衛力の強化、整備に充てるため、新たに防衛力強化資金を創設いたします。必要な財源を年度予算ごとに確保するのではなく、あえて特別の資金を創設して将来の防衛費の財源をプールすることとした理由を財務大臣にお伺いをいたします。
 また、本法律案に講じられる税外収入確保のための特別措置は、令和五年度に実施する措置に限られます。令和六年度以降、同資金への繰入れ財源を具体的にどう確保していくのか、こちらも併せて財務大臣にお伺いをいたします。
 次に、財源確保策のうち決算剰余金の繰入れについてお伺いをいたします。
 財源確保策が防衛財源として想定をする決算剰余金は年〇・七兆円程度、五年間計三・五兆円ですが、この三・五兆円を確保するため、政府はどのような方策が必要とお考えでしょうか。毎年の決算剰余金が幾らになるかは予測できるものではありません。防衛予算確保のための安易な国債増発による決算剰余金のかさ上げなど決してあってはならないことは当然でありますが、その点も含めて、財務大臣にお伺いをいたします。
 続いて、歳出改革についてお伺いをいたします。
 衆議院での本法律案に対する我が党の代表質問の際の総理答弁から、社会保障費は歳出改革の対象とならないということは確認済みでありますが、少子化対策、子育て支援予算の削減はないことを改めて総理に確認をさせていただきます。また、本法律案で政府が示した将来的な防衛予算の財源確保に向けた決意は、少子化対策、子育て支援予算においても同様に求められるものであります。少子化対策、子育て支援予算に関する財源について、あらゆる手段を尽くして確保するとの総理の決意を求めます。
 さらに、令和五年度予算で防衛費の財源として建設国債が充てられることに関連をし、今後の公共事業についてお伺いをいたします。
 今回、自衛隊・防衛省の施設整備や船舶建造に係る経費を財政法第四条における公共事業費として整理し、建設国債の発行対象と整理したと理解をしておりますが、この整理によって従来からの公共事業費予算が減額されることはないということでよろしいでしょうか。また、道路網整備などインフラ整備は、いざというときの自衛隊の輸送路などにもなることで安全保障面でも重要でありますが、今その老朽化対策が急務となっております。国民生活、経済、防災はもとより、防衛の観点からも必要な公共事業、特に道路の老朽化対策費について従来以上に確保すべきと考えますが、総理の御答弁を求めます。
 次に、防衛予算増による国内防衛産業育成が経済や財政に与える影響についてお伺いをいたします。
 防衛大臣は、四月十九日の衆議院財務金融委員会安全保障委員会連合審査会において、防衛関係費における国内向け支出額の防衛関係費全体に占める割合は約八割と答弁をされておりますが、これら国内向け支出が国内中小企業の基盤強化に与える効果についてどのように分析をされているのか、防衛大臣にお伺いをいたします。
 この国内防衛産業育成の意義について、例えば、三月二十日の参議院予算委員会における私の日英伊の次世代戦闘機共同開発に関連した質問に対し、防衛大臣からは、次世代エンジニアの育成やサプライチェーンの強化を図る点であるとの答弁がありました。特に、この共同開発の経験を生かした次世代エンジニアの育成は、民生分野を含めた航空機の全機開発、機体、エンジンを含めた全機設計能力の向上や、あるいは今回の三菱スペースジェットの事業撤退で明らかになった、日本の弱点とも言える各国の認証取得に向けたノウハウ不足を解消する上でも重要と理解をしております。私は、日英伊の次世代戦闘機共同開発を含めた国内防衛産業育成を通じ、従来、ボーイングなどからの部品発注の受注の立場が主なものだったと言える日本の民間航空機産業を一段の高みに押し上げるとともに、それを通じ、部品数三百万点とも言われる民間航空機産業を自動車に並ぶ新たな裾野産業と育成することが日本の中小企業の存続のためにも重要と考えます。経済産業大臣の御所見をお伺いいたします。
 また、防衛設備などの更なる国産化は、国内中小企業をそのサプライチェーンに取り込むことにより、国内雇用の確保とともに税収増加にも資するものです。これについて、財務大臣の御所見をお伺いいたします。
 防衛費増額と国民理解についてお伺いをいたします。
 まず、国民理解を得るために重要なことは、今回積み上げた防衛費が適正か否かを事後的に精査する仕組みがあることであります。この点、総理は、三月六日の参議院予算委員会における我が党議員の質問に対する答弁で、関係省庁において第三者による専門家会議を設置する可能性について言及されましたが、是非実行をしていただきたい。その際、外交、防衛のみならず、経済や科学技術など様々な分野の専門家を構成員とすべきと考えます。総理の御見解をお伺いいたします。
 最後に、税制改正大綱でも言及された増税の実施時期については、国民との徹底した議論が必要であります。防衛力強化の財源を安易に増税に求めることは避けるべきであります。仮に実施せざるを得ない時期に来た場合、総理におかれては、自ら国民一人一人と対話する思いで国民の中に入り切り、真摯に説明し、徹底的に議論されることを強く求めます。
 真に防衛力の強化を図るために必要なことは、防衛という国民全体の共通の利益に対する国民の主体的な理解と納得であり、その形成のためにも、防衛予算の財源を決するプロセスは丁寧さに丁寧さを重ねる必要があります。防衛は国民全ての共通の利益の最たるものの一つであり、その共通の利益のためにお金を拠出し合おうと国民に御理解いただくこと自体は、真の防衛力の強化にも資するとも言え、その合意形成は政治の責任です。
 他方、仮に、国民が唐突感を抱くような形で拙速に増税時期決定のプロセスを経てしまうこととなれば、それは防衛力そのものが毀損、破壊されるほどの意味を持ちます。防衛力強化の観点、これも含め、国民一人一人の対話と時間を掛けた説得のプロセスを一層強く重視をしていただきたい。防衛予算確保に向け、国民との徹底した議論の必要性について、総理の所見と決意をお伺いいたします。
 以上、本法律案によって確保した財源を活用して必要な防衛力の強化が果たされるとともに、国民の皆様が安心して生活を送ることができる社会の実現のため、我が国の外交力の更なる強化が図られることを念願して、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 矢倉克夫

speaker_id: 31537

日付: 2023-05-24

院: 参議院

会議名: 本会議