小池晃の発言 (本会議)
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○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
会派を代表して、軍拡財源法案について岸田首相に質問します。
法案の前に、G7サミットについて聞きます。
開催地が広島となったことから核兵器廃絶に向けた前向きのメッセージが期待されましたが、完全に裏切るものとなりました。広島ビジョンが核兵器による威嚇によって他国を抑えようという核抑止力論を公然と正当化する一方、核兵器禁止条約を無視したことに失望と批判が広がっています。
被爆者のサーロー節子さんは、自国の核兵器は肯定し、対立する国の核兵器を非難するばかりの発信を被爆地からするのは許されない、広島で開いた意味がないと語りました。総理はこの声にどう応えますか。
政府は、核抑止力論ときっぱり決別し、核兵器禁止条約に参加すべきです。強く求めて、法案の質問に入ります。
本法案は、岸田政権が昨年閣議決定した安保三文書に基づいて、今後五年間で四十三兆円の軍拡財源を確保するための防衛力強化資金を創設するものです。
国家安全保障戦略では、平和国家として専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならないとしながら、敵基地攻撃能力の保有に踏み切り、軍事費を対国内総生産、GDP比で二%に倍増させる大軍拡を進めようとしています。
しかし、外務省のホームページに今も掲載されているファクトシート、平和国家としての六十年の歩みには、専守防衛の具体的内容として、防衛費の対GDP比は一%程度が挙げられています。政府の見解に照らしても、軍事費の二倍化は専守防衛に反するのではありませんか。四月に公表されたストックホルム国際平和研究所の年次報告書では、二〇二二年の日本の軍事費は世界第十位です。これが二倍になれば、四位のインド、三位のロシアを上回り、世界第三位となります。
総理は、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないと言いますが、世界第三位の軍事支出をするような国が、どうして他国に脅威を与えるような軍事大国ではないと言えるのですか。国家防衛戦略は、力による一方的な現状変更やその試みを抑止するとの意思と能力を示し続け、相手の行動に影響を与えるとしていますが、この能力とは、まさに、他国に脅威を与えるような軍事力ではありませんか。それは、武力による威嚇を禁じた憲法九条に真っ向から反するものではありませんか。答弁を求めます。
そもそも、なぜGDP比二%なのか。ウクライナ危機が始まる前の二〇二〇年九月に、トランプ政権のエスパー国防長官が、日本を含む同盟国に、国防費をGDP比で二%以上にと要求しました。そして、総理は、昨年五月の日米首脳会談で、バイデン大統領に防衛費の相当な増額を表明。直後の予算委員会で、私は対米公約ではないかとただしましたが、総理は、我が国が主体的に考える、内容をしっかり詰めた上で、それに見合う予算を考え、ふさわしい財源を考えると答えました。
しかし、その後、六月の骨太の方針で、中身は示さず、防衛力を五年間で抜本的に強化するとした上で、NATOのGDP二%基準を記載。その後は一瀉千里に大軍拡路線を走っています。内容を詰める前に総額ありき、しかも、それは米国からの要求に応えるものだったことは明らかではありませんか。
政府は、敵基地攻撃を集団的自衛権の行使としても可能だとしています。しかし、日本が攻撃を受けていないにもかかわらず相手国の領土を攻撃することなど、憲法九条の下で到底許されるはずがありません。
しかも、それは、米軍と自衛隊が融合、一体化して行使されることになります。米軍は、統合防空ミサイル防衛、IAMDで敵国への先制攻撃の方針を示し、同盟国とのシームレスな融合の必要を強調しています。自衛隊が米軍と一体に敵基地攻撃に乗り出せば、報復攻撃によって我が国の国土は焦土となりかねません。その危険性を認めますか。
アメリカの要求に応え、その戦略に付き従い、日本に戦火を呼び込む大軍拡計画の撤回を強く求めるものであります。
今回の法案では、軍拡財源への不当な流用も大きな問題です。
国立病院機構の積立金四百二十二億円、地域医療機能推進機構の積立金三百二十四億円などを国庫に返納させ、防衛力強化資金に繰り入れようとしています。しかし、地域医療機能推進機構は、旧社会保険病院が年金資金で設立された経緯から、積立金の残額は年金会計に返納することが法定されています。
政府は、新型コロナ対応の補助金を原資としているから一般会計に返納すると言いますが、新型コロナ補助金は、感染が拡大する中で、国や自治体の要請に応えて、一般医療を縮小し、コロナ病床を確保してきたことに対するものであり、全ての医療機関に共通した正当な補助金です。なぜ国庫に返納を迫ることができるのか、根拠が一体どこにあるのですか。
法律上国庫に繰り入れることができない資金まで軍拡財源として繰り入れることを横行させるのは、まともな法治国家のやることではありません。今後も感染症の拡大が予想される下で、公的病院の積立金は、職員の処遇改善と医療体制の強化に充てられるべきです。明確な答弁を求めます。
東日本大震災の復興特別所得税を軍事費に転用しようとしていることも重大です。
共同通信の世論調査では、復興財源の転用に七三%の国民が反対と答えています。被災者の生活再建は厳しさを増し、復興も道半ばです。それなのに、全く目的の異なる軍事費に転用するのはだまし討ちではないか、被災地と被災者を愚弄し、復興の願いに反するのではないかという被災地の怒りの声にどう応えますか。
被災地を置き去りにした復興税の軍事費転用も撤回を強く求めます。
会計年度ごとに予算を作成して国会で審議する単年度主義、財政民主主義の破壊も大問題です。
本法案では、様々なお金をかき集め、防衛力強化資金に注ぎ込み、防衛省が複数の年度にわたって自由に使えるようにしています。こうしたやり方は、憲法八十六条と財政法十一条に規定する予算の単年度主義を破壊するものではありませんか。
戦前の教訓からも、とりわけ軍事費は厳格な民主的コントロールの下に置かれなければなりません。まるで防衛省の財布のように自由に使える特別のプールをつくるのは、財政民主主義の破壊ではありませんか。
そもそも、政府の財源案なるものは穴だらけの代物です。
社会保障費以外を対象に、歳出改革で三兆円生み出すと言いますが、来年度以降の見通しは立たず、このままでは、教育、中小企業や農業予算などが削られた上、結局は社会保障予算の更なる削減につながるのではありませんか。
総理は、軍拡のための国債発行は、未来の世代に対する責任として取り得ないと言いながら、決算剰余金を軍事費に充てようとしています。しかし、その元となってきた巨額の予備費の原資は赤字国債です。結局、未来の世代に莫大な増税を押し付けることになるのではありませんか。
先ほどの世論調査では、八割の方が防衛増税を支持しないとしています。増税を止める唯一の道は、大軍拡そのものを中止することであります。
専守防衛を投げ捨て、憲法の平和主義を踏みにじり、国民の暮らしも財政も経済も破壊し、大増税に道を開く軍拡財源法案は、参議院での徹底審議の上、廃案とすることを強く求めて、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕