岸田文雄の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 小池晃議員の御質問にお答えいたします。
 核兵器のない世界の実現に向けた取組についてお尋ねがありました。
 今次サミットでは、核軍縮に関する初めてのG7首脳独立文書となるG7首脳広島ビジョンの発出により、核兵器のない世界に向けた国際社会の機運、いま一度高めることができたと考えています。
 我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しくなっています。国民の生命、財産を守り抜くため、現実を直視し、国の安全保障を確保しつつ、同時に、現実を核兵器のない世界という理想に近づけていくべく取り組む必要があります。これらの二つの取組を同時に進めることは決して矛盾するものではありません。
 御指摘の核兵器禁止条約は、核兵器のない世界への出口とも言える重要な条約ですが、同条約には核兵器国は一か国も参加しておりません。
 G7首脳広島ビジョンについては様々な受け止めや御意見があることは承知しておりますが、G7首脳広島ビジョンを強固なステップ台として、核兵器国の関与を得るべく努力を継続しつつ、ヒロシマ・アクション・プランの内容、これを実行することを通じて、現実的で実践的な取組を継続、強化してまいります。
 専守防衛と防衛費増額の関係についてお尋ねがありました。
 まず、防衛費の規模については、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、極めて現実的なシミュレーションを行い、必要となる防衛力の内容を積み上げ、導き出したものです。
 これは、憲法、国際法、国内法の範囲内で、専守防衛の考え方を堅持した上で、あくまで国民の命と平和な暮らしを守るために必要となるものであり、専守防衛に反する、他国に脅威を与える、武力による威嚇を禁じた憲法九条に反するといった御指摘は当たりません。
 また、防衛力の抜本的強化に当たっては、その内容の積み上げと併せて、これらを補完する取組として、研究開発、公共インフラ整備を始めとする総合的な防衛体制を強化するための経費等を積み上げました。この積み上げの結果として、二〇二七年度において、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組を合わせて、そのための予算水準が現在のGDPの二%に達するよう、所要の措置を講ずることといたしました。
 今般の決定は、我が国自身の判断として行ったものであり、総額ありき、米国からの要請に応えるものとの指摘は当たりません。
 反撃能力についてお尋ねがありました。
 存立危機事態は、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生したからといって無条件でこれ認定されるものではなく、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に認定され、自衛の措置として武力を行使することが許容されます。
 その上で、事態認定後の反撃能力の運用については、実際に発生した状況に即して、弾道ミサイル等による攻撃を防ぐために他に手段がなく、やむを得ない必要最小限度の措置としていかなる措置をとるかという観点から、個別具体的に判断されるものです。
 このため、憲法の範囲内で、あくまで国民の命と暮らしを守り抜くために運用されるものであるということは言うまでもありません。また、自衛隊及び米軍は各々独立した指揮系統に従って行動することも言うまでもなく、米軍と自衛隊が融合、一体化して行使されるとの指摘、これも当たりません。
 いずれにせよ、反撃能力の保有により、日米同盟の抑止力、対処力を一層向上させ、武力攻撃そのものの可能性を低下させることができると考えております。
 地域医療機能推進機構の積立金等についてお尋ねがありました。
 国立病院機構と地域医療機能推進機構の積立金については、病院等の譲渡収益や運営に必要としない積立金を、中期計画期間満了後に必要な業務の財源に充てるために繰り越す額を除き国庫に納付することとされていることを踏まえ、納付を求めることとしたものであります。
 特に、地域医療機能推進機構の積立金については年金特別会計に納付することとされていますが、今般の特例的な国庫納付については、病院等の譲渡収益ではなく、新型コロナ対応を行う中で一般財源を原資として措置した病床確保料に係る収益のみを対象とするものであることから、本法案により特例的に一般会計に納付することとしております。
 国立病院機構と地域医療機能推進機構が引き続き地域医療における役割を適切かつ確実に果たすことができるよう、今後の運営状況を注視するとともに、こうした政府の方針について国民の皆様に御理解いただけるよう、引き続き丁寧な説明を行ってまいります。
 復興特別所得税についてお尋ねがありました。
 防衛力強化のための税制措置に関し、現下の家計の所得の負担増にならないよう、復興特別所得税の税率を引き下げた上で、その引き下げた範囲内で新たな付加税をお願いすることとしております。
 その際、復興財源との関係では、復興債の発行を通じた柔軟な資金調達が可能であるため、毎年度の復興事業の円滑な執行には問題は生じません。加えて、復興特別所得税の課税期間を延長することとし、その延長幅は復興財源の総額を確実に確保するために必要な長さとされているため、復興事業に影響を及ぼすことはないと考えております。
 このように、復興特別所得税を防衛目的で転用したとの御指摘は全く当たりません。政府としては、復興事業に影響を及ぼすことがないことを被災者の方々を含め国民の皆様に御理解いただけるよう、引き続き丁寧な説明行ってまいります。
 防衛力強化資金と予算の単年度主義、財政民主主義についてお尋ねがありました。
 今回創設する防衛力強化資金は、様々な取組により確保した税外収入等について、防衛力の整備に計画的、安定的に充てるための継続的な仕組みです。
 その上で、我が国では、予算を毎年度国会で御審議いただくいわゆる単年度主義の原則を取っておりますが、税外収入等を防衛力強化資金へ繰り入れる際と防衛力強化資金に繰り入れられた財源を使用する際には、それぞれ当該年度の一般会計の予算に計上され、国会で御審議いただくこととなるため、予算の単年度主義や財政民主主義の原則との関係で問題は生じないと解されております。
 今後とも、防衛力強化資金の活用に当たっては、毎年度の国会での議論を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。
 防衛力強化の財源としての歳出改革と決算剰余金についてお尋ねがありました。
 歳出改革については、防衛関係費が非社会保障関係費であることを踏まえ、社会保障関係費以外の経費を対象とし、骨太の方針に基づき、これまでの歳出改革の取組を継続する中で財源を確保することとしております。
 こうした歳出改革に取り組みつつ、引き続き、現下の政策課題に対応し、国民生活を支えるために必要な予算額をしっかりと措置してまいります。
 また、決算剰余金については、過去の実績を踏まえた上でその活用に取り組むこととしております。その際、予備費を含めた歳出に不用が生じることが見込まれる場合には、税収等の動向を見極めながら、特例公債法の規定に基づき、特例公債の発行額の抑制に努めることとしており、予備費の規模やその不使用による歳出不用の増加と決算剰余金の金額が対応するわけではありません。
 したがって、特例公債の発行額の抑制に努めないことを前提として考えているわけではなく、未来の世代に莫大な増税を押し付けるとの御指摘は当たらないと考えております。(拍手)

発言情報

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発言者: 岸田文雄

speaker_id: 6324

日付: 2023-05-24

院: 参議院

会議名: 本会議