加田裕之の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○加田裕之君 自由民主党の加田裕之でございます。
私は、自民、公明を代表し、ただいま議題となりました杉久武法務委員長解任決議案に対し、断固反対の立場から討論を行います。
昨年十月に参議院法務委員長に就任されて以来、杉委員長による委員会運営を承知されている法務委員の方々は、この解任決議案の提出理由がどこにあるのか全く分からないのではないでしょうか。私も全く理解できません。それから、それを証拠にいたしまして、今回の解任決議の提出会派は立憲民主党会派のみでございます。
政策を磨き、審議を通しまして議論が尽くされれば、最後には参議院法務委員会としての意思を決しなければなりません。そして、議論の成果を国民に示し、そして国民が判断する、それが議会制民主主義であるはずでございます。その職務を公平公正かつ実直にこなしてきた委員長に対しまして解任要求が出されることは、参議院が積み上げてきた議会制民主主義の実績を崩すことにつながりはしないかという懸念を持っております。仮に出入国管理法案の成立を阻むだけの闘争ということであれば、旧態依然という感は拭い去れないのであります。
外国人の長期収容解消等のために政府から提出された出入国管理法案は、衆議院において、我が国の出入国管理や難民認定等をより良くするために与野党で審議し、四党によって修正されました。参議院でも、この修正案について、杉委員長の卓越した委員会運営力により、更により良い出入国管理政策等の実現を目指して真摯に議論を重ねてきました。
参議院での出入国管理法案の審議では、対政府質疑で二十一時間、参考人質疑も二回行っております。先日には東京出入国在留管理局の視察も行いました。一部野党から提出されました対案についても一括審議としています。既に衆議院の対政府質疑を二時間上回り、そして参考人質疑も一回上回り、そして、かつ参考人の数も一人ずつ多い充実した審議を確保しております。また、野党の資料要求にも最大限応じるように配慮してきました。
その上、法案審議に先立ち、一昨年、出入国在留管理局に収容中にお亡くなりになったウィシュマ・サンダマリさんの悲劇を繰り返すことがないよう、再発防止について審議してまいりました。その際、名古屋入管のビデオ視聴も、追加部分の視聴に五時間、そして再視聴には七時間、四月には名古屋入管と名古屋刑務所に視察も行っております。
これらの審議の中で、政府は、被収容者死亡事案に関する調査報告書で示された改善策を中心に、組織・業務改革に邁進していくと決意を示しております。
法案の早期成立も待たれています。
そもそも、これまで、出入国在留管理には様々な問題が指摘されていました。
一つは、現行法上、我が国から退去が確定しても、難民認定申請さえすれば無制限に送還が停止され、重大犯罪者やテロリストであっても送還ができないという点でございます。
この問題解決のために、本改正案では、三回目以降の申請者、三年以上の実刑前科者、テロリストを送還停止効の例外とする規定を設けることとしております。これにより、日本に来られた外国人の方で、本当に庇護すべき方を確実に庇護する一方で、法の秩序を乱す外国人には厳正に対処できるようにしております。
この送還停止効の例外規定は、認定申請中の難民を強制送還するためのものだという大きな誤解がございますが、事実は全く異なります。二回の審査を受けた上での不認定であります。三回目以降の申請でも、難民等を認めるべき相当の理由がある資料を提出すれば送還停止可能となります。
二つ目は、収容の長期化です。
現行法では、収容の長期化回避には仮放免制度を用いるしかありません。しかし、現行制度では逃亡等の防止手段が十分ではないとの指摘がありました。仮放免中の逃亡は、昨年末の時点で一千四百人を超え、増加傾向にありました。しかも、仮放免中に犯罪行為に及び逮捕される事案も発生しております。
このため、改正法案では、監理人の監理の下で、収容しないで退去強制手続を進める措置を創設いたしました。個別事案ごとに、逃亡等のおそれに加え、収容により本人が受ける不利益も考慮し、収容か監理措置かを判断するとともに、三か月ごとに収容の要否を必要的に見直すこととしています。監理人に一定の義務が課されることとはなりますが、逃亡等の防止措置としては最低限のものとなっております。
三つ目は、紛争避難民などを確実に保護する制度が充実される点であります。
現在、我が国は、ロシアによる侵略により避難を余儀なくされたウクライナの方々を二千人以上受け入れております。しかし、現行法下では、紛争避難民など、条約上の難民に該当しないものの人道上保護すべき者を確実に保護する制度が十分ではないという指摘がございました。
このため、この今回の法改正におきまして、難民に準じて保護すべき者を紛争避難民等として保護することができるようになり、制度的な裏付けのある支援を行うことができます。
本法案は、国民もですが、ルールを守って真面目に生活をする外国人の安全、安心を守ることができる規定となっております。我が国において外国人と日本人とが安全、安心に暮らせる共生社会の実現に必要不可欠な法案であることは明らかでございます。
同時に、このように出入国管理法案をめぐる議論、論点におきましては、人権に深く関わる点も多いことから、慎重に、かつ丁寧に、委員間の間での審議、さらには参考人等からの意見聴取を進めてきました杉委員長の手腕は高く評価されるべきであります。
そして、審議が尽くされたとなりましたら、採決を行うことは委員長の職務として当然ではないでしょうか。杉法務委員長には、解任を正当化するような瑕疵は全くありません。解任をされる理由はどこを探そうとも全く見付からないのであります。一部野党による理由なき本決議案の提出は全く容認することができないことは明々白々でございます。直ちに退けられなければなりません。
その上で、杉法務委員長には、引き続き、公平中立で、そして丁寧、そして円満な委員会運営をお願いしたいと存じます。
以上で、解任決議に断固反対であると強く申し上げまして、私の反対討論とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)