福島みずほの発言 (本会議)
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○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
私は、立憲民主・社民を代表し、法務委員長杉久武さんの解任動議案に断固賛成の討論を行います。
政府提出の入管法改悪法案は、天下の悪法です。そして、法務委員会の審議において、この法案の立法事実が完全に崩壊をしました。また、ウィシュマさんの死亡の原因究明も、難民、入管行政のブラックボックスの解明も、緒に就いたばかりです。審議すればするほど、入管庁が極めて恣意的に難民認定をやっていることや、その審査手続のずさんさが明らかになってきています。真相究明はこれからではないですか。審議は全く尽くされていません。
それにもかかわらず、与野党の合意がない中で、杉委員長が職権で審議の打切りと採決を決めたことは暴挙であり、中立公正の立場で議事をつかさどるべき委員長としては不適格だと断ざるを得ません。
以下、具体的に解任決議案に賛成の理由を述べます。
まず第一に、政府提案の入管法改悪法案が希代の悪法であるにもかかわらず、審議打切りと採決を決めたことです。
そもそも、なぜ、多くの国民の反対で二年前に廃案になった法案とほぼ同じ法案が今国会に提出されているんですか。昨年十一月、国連の自由権規約委員会が入管制度について改善するよう勧告を受けながら、それが全く反映されていません。
日本の難民認定率は、二〇二一年で僅か〇・七%です。例えばカナダは、トルコ人について二〇二一年の難民認定率は九七%です。日本はゼロです。日本がトルコ人の難民を認めたのは、裁判で国が敗訴した去年の一件だけです。日本の難民認定制度は機能していません。
出入国管理を行う入管庁の職員が難民認定審査を行うのではなく、立憲民主・社民、日本共産党、れいわ新選組、沖縄の風の四会派で議員立法で提出をした難民等保護法案のように、難民認定制度を入管制度から分離し、独立した第三者機関で行うべきです。
これまで入管が不認定処分を出し、裁判で国が敗訴して難民認定が認められた多くのケースを見ると、カメルーンの人、コンゴの人のケースなど、捜査資料が存在していても本物かどうか分からないとして難民認定されなかったケースがあります。これだけの証拠資料がありながら、なぜ法務省は難民認定をしなかったんですか。
重ねて言います。日本の難民制度は機能していません。そのことの徹底的な検証と抜本的な改革が必要です。そのことがないままの採決などあり得ません。
第二に、ウィシュマさんの死亡の原因究明が全くなされていないままに法案が審議されていることや、難民調査官や難民審査参与員の問題、長期収容や入管施設内の医療体制の問題、送還忌避者の背景事情、入管が送還を促進し職員にノルマを課してきた問題、さらには、日本で生まれ育っている子供たちが強制送還や親との断絶の恐怖に日々おびえている問題など、改善されなければならない重大な問題が置き去りにされてしまっています。杉委員長が審議を打ち切る決定をしたことは大問題です。
二〇二二年末、送還忌避者のうち、日本で育った十八歳未満の者二百九十五人の者の家族について、政府案は何らの具体的解決策を提示していません。
難民審査参与員の問題も、参議院の審議を通じてその闇が明らかになってきたばかりです。参与員のほとんどの人たちも、参与員の制度の中に常設班とそれから臨時班の二種類があることを知りませんでした。書面審査だけで迅速に処理する臨時班を設け、処理をさせてきました。参与員制度の創設時から参与員を務めてきた柳瀬房子さんは、二〇二一年二千三百七十八件、二〇二二年二千二百三十一件を担当し、何と全体の二〇%、二五%を担当しています。百十一人いる参与員の中で全くケースを割り当てられない人がいる中で、余りにも著しい偏りです。対面審査をせず、簡単かつ迅速に処理してよい事件の振り分けを入管庁自身がやり、それを臨時班が一件当たり僅か六分で審査しているのですから、これが公平だとは到底言えません。
参与員の柳瀬房子さんの二〇一九年十一月の専門部会と二〇二一年四月の衆議院法務委員会参考人質疑での発言から、柳瀬さんは一年半の間に五百件の対面審査をやったことになります。五月三十日の記者会見でそれが可能かと聞かれた齋藤法務大臣は、可能であると答えたにもかかわらず、夜になって、言い間違えた、不可能だと訂正をしました。そうなんです。不可能なんです。つまり、柳瀬房子さんの発言の信頼性を齋藤法務大臣自身が否定をしました。
二〇一九年の難民送還専門部会の第一回で、柳瀬房子さんは、難民申請をする人たちの中にほとんど難民は存在しないと発言し、それが、二回難民申請が認められなければ送還停止効を停止し、まさに強制送還ができるというこの法案の根拠になってきました。その根拠が崩壊したのですから、もはや立法事実が存在しないことは明らかになったのです。
法務省も、この柳瀬参与員の難民はほとんどいないという証言を何度も何度も引用し、我が国の難民認定制度の現状を端的に表したものであると答弁を続けてきました。その前提事実が崩壊したのですから、政府案は廃案しかありません。
審議の中で、私は、法務省が何度も何度も参与員の言葉を引用し、難民申請をする人たちの中に難民はほとんどいないと断言することに激しい怒りとショックを感じました。難民を保護するという観点が全くないんです。
例えば、あるクルド人は、UNHCRから難民該当性があると認定されたにもかかわらず、入管によって難民認定が拒否をされ、トルコに強制送還されました。彼は、迫害の恐怖から、程なくニュージーランドへ脱出し、難民認定され、現在はニュージーランドで市民権を持って暮らしています。UNHCRが難民と認定し、ニュージーランドでは保護されているのに、なぜこの日本で難民と認められなかったんでしょうか。
今年十二月、ジュネーブでグローバル難民フォーラムがあります。四年ごとに開かれるこのフォーラムの今年は日本が共同議長国です。ここで日本は、日本には難民はほとんど存在していない、クルド人で難民認定された人は一人しかいませんと宣言をしたら、どれだけの多くの国々の人々は驚くでしょうか。議長国としてふさわしい、真に難民条約や国際人権諸条約にのっとった難民等保護法と入管法を作るべきです。この悪法を成立させることは絶対に許されません。
第三に、政府案では日本の入管制度の抜本的な問題である全件収容問題と無期限収容問題が解決されず、結局、収容に当たって司法的チェックが一切入らない問題や無期限に収容できる問題が放置されたまま杉委員長が政府案の採決を決定したことは重大かつ深刻な問題であり、著しく中立性、公平性を欠く暴挙であることです。
難民認定審査制度が国際基準にのっとり、専門性、透明性、中立性ある形で十分に機能しているのであれば、二回難民申請をして認められなければ三回目には送還するということもあり得るかもしれません。しかし、この日本は全く難民認定制度が機能していないんです。そんな中で不認定となった難民の人を本国に送り返したら、命の危険が発生します。迫害や虐殺や拷問の危険が起こり得るのです。衆議院法務委員会で参考人は、政府案をこのまま採決することは死刑執行のボタンを押すようなものだと言いました。そのとおりです。
なぜ日本は、ミャンマーのカチンやロヒンギャ、クルド、スリランカなどの国々の人たちを難民と認めて保護しないんでしょうか。これらの方々は、送還すれば命の危険が発生します。このことは命の問題です。私たち国会議員は、市民社会は、まさに死刑執行のボタンを押す共犯者となってはならないのです。
参議院の参考人質疑で二十五歳のクルド人のラマザンさんは、何回も難民申請をした家族が、この法律が施行になれば、トルコに送還をされ、特別在留資格を持っている彼は日本にいることができるけれども、家族がばらばらになることを本当に恐れていました。多くの人たちがこの法案が成立したときのことを本当に恐れています。
杉委員長が問題なのは、入管法改悪法案の立法事実の前提条件が崩壊し、難民認定がずさんで問題があること、入管の収容施設の中で死亡する人が出て、極めて非人道であるということが明らかになっても、それに蓋をしたまま改善をしようとはせず、職権で審議を終局させて、法案を強硬に成立させようとしていることです。
外国人の命だと言わないでください。この国が人の命を紙切れのように扱うということは、次の瞬間は、私たち日本人の命も紙切れのように扱われるということではないでしょうか。人々を安価な労働力としてしか見ないこの国の政治を変えなければなりません。
数多くの問題に目をつぶり、疑惑に蓋をするかのように採決を強行しようとした杉委員長には、委員長をお辞めいただくしかありません。
人が人として扱われる、そんな国をつくろうと、議場にいる全ての皆さんに呼びかけて、私の解任決議案の賛成討論といたします。(拍手)