岸真紀子の発言 (本会議)

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○岸真紀子君 立憲民主・社民の岸真紀子です。
 会派を代表し、ただいま議題となりましたデジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案について質問します。
 冒頭、一言申し上げます。
 六月二日の参議院本会議で成立したマイナンバー法等改正案は、参議院の審議が四月二十八日の本会議から始まり、私もこの場で代表質問を行いました。その時点では、三月末にマイナンバーカードでのコンビニ交付の誤発行といったトラブルはあったものの、河野大臣の記者会見では問題ないとしており、今となっては問題が矮小化されていたことに気付くことができなかったという自責の念があります。
 ところが、五月に入ってからは次から次へとこの間のトラブルが明るみとなり、問題だらけとなりました。マイナ保険証に至っては他人がひも付けられている事象が数多く発覚し、個人情報漏えいと命に関わる重大な問題であるにもかかわらず、岸田政権は法案の取下げや修正もせず、二〇二四年秋の健康保険証廃止を含む法改正を推し進めました。国民の不安が払拭されない中での一方的な押し付けに断固抗議します。総点検を終えるまでマイナ保険証の運用を中止することと健康保険証の廃止時期の見送りを強く求め、質問に入ります。
 スマホやタブレットの普及が進み、インターネット情報は身近な存在となっています。例えば、言葉の意味を調べたいとき、昔は辞書を開いて調べていましたが、今はネット検索で迅速かつ簡単に情報を入手することが可能です。これは、デジタル化の恩恵と感じながらも、果たしてネット上で得た情報が正確なのか不安に感じることも多く、そして、信頼できる情報か否かは分かりにくくなっています。特に、社会経験が少ない子供は影響を受けやすいことが指摘されており、児童が動画投稿サイトを見て、バナナを三百本食べると死ぬといった情報を信じているという記事が先日も掲載されていました。
 この背景には、正確性よりも個人の興味や関心に合わせた情報で注目を集め広告収入を得るアテンションエコノミーや、自分が欲しい情報ばかりが集まり、逆に欲しくない情報は遮断されてしまうフィルターバブル、そして、SNSや動画サイトといった場で、同じ趣味、考えの人とフィルターが掛けられた空間で同様の意見が反響し合い、結果として偏った考えが増幅していくエコーチェンバー現象といったインターネット情報に特徴的な問題があります。
 各企業の努力としてエコーチェンバーによるフェイクニュースの拡散や断絶の防止対策が行われつつあるものの、政府としての対策は必要です。国民の皆さんが安心して利用できるデジタル社会の形成に向け、政府がどのようにインターネット情報の信頼性の向上を図っていくのか、情報通信を担当する松本総務大臣、デジタル社会の形成を担当する河野大臣に伺います。
 最近、毎日のように報道で取り上げられている生成AIについて伺います。
 昨年十一月に対話型AIが公開されて以降、生成AIの急速な普及が進んでいます。生成AIは、インターネット上の文章や画像、音声などの分析結果を基に人間が作ったようなコンテンツを創出することから、利活用が期待される反面、個人情報の不適切な収集や誤情報の拡散、著作権の保護、監視や差別につながるとの懸念といった課題も指摘されています。AIを使いながらも健全に社会を発展させていくには、一定のルール作りが必要です。広島サミットでは、生成AIに関し、担当閣僚による広島AIプロセスを設け、国際的なルール作りを進めることで合意しています。
 政府は、生成AIに伴う様々な課題にどのような認識をお持ちなのか、今後どのような規制等の整備を行う予定があるのか、高市科学技術政策担当大臣に伺います。
 また、G7では広島AIプロセスがスタートし、経済協力開発機構においても国際的な政策指針、AI原則を見直す検討に入ったとの報道がありますが、日本政府としてどのように意見を反映していくのか、具体戦略も併せて松本大臣にお答え願います。
 二〇二〇年の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、我が国の経済社会活動が書面、押印、対面を前提にしており、テレワーク環境も整っていなかったことなどが浮き彫りになり、政府はデジタル化の遅れを取り戻すために各種施策を進めています。
 デジタル化により人手不足の解消や新しい産業の創出が期待される一方、雇用が失われることはないのでしょうか。また、幾ら研修機会があったとしても、全員が全員デジタル人材となることは難しく、労働移動が公正なルールに基づいて行われるのか懸念があります。デジタル化の推進に伴っての公正な労働移動に関する政府のお考えを河野大臣に伺います。
 本法律案は、デジタル規制改革を国の基本方針に位置付け、テクノロジーマップの公表などを措置すること、行政機関等における情報の公表にデジタル技術を活用すること、さらには、フロッピーディスクなどを用いる申請等の手続をオンラインにより行うことができるようにすることなど、関係法律の所要の規定の整備を行うものとなっています。
 政府は、このような改革により、生産性向上や人手不足の解消などの効果が期待されるとしています。しかし、本年一月、国土交通省近畿地方整備局の河川監視カメラが不正アクセスを受け、カメラの運用が停止される事案が発生しました。カメラが勝手に操作されれば、豪雨時の情報提供に支障が生じるおそれがあったかもしれませんし、逆にフェイクニュースを流されてパニックに陥ることも想定されました。
 デジタル庁は本事案にどのような対応を行ったのか、また、国の行政機関においてマルウエアが仕組まれた場合を想定した対処方法はあるのか、未然に防止するためにはどのように取り組むのか、河野大臣並びにサイバーセキュリティーを担う谷担当大臣に伺います。
 地方自治体においても同様の懸念はあります。地方自治体のデジタル化に伴うサイバーセキュリティー対策はどうするのか、松本大臣に伺います。
 定期検査や点検規制のデジタル化に当たっては、あくまでも安全性を確保する手法としてのデジタル技術であるということを忘れてはなりません。例えば、そのシステムが正しく稼働しているのか否かを確認するのは人であり、最終的な判断をするにしても人的技術力の向上は欠かせません。
 デジタル技術を過信せず、人的な技術力の向上の必要性という認識を河野大臣はお持ちなのか、見解を伺います。
 デジタル技術を活用した点検は、災害時での活用に役立つツールと考えます。近年、突発的な集中豪雨による自然災害が全国各地で発生していますが、そういった場合に、林道の被害状況や急斜面などにより人が立ち入れない箇所を、上空からのドローンを活用することによって、二次災害というリスクを下げることができ、かつ短時間で撮影することもでき、災害状況を見る、撮ることができるツールとなります。災害状況をいち早く把握することは復旧の迅速化にもつながることから、災害時は、林道などにおいて、ドローンを目視できる状態になくても、周りに人がいないなど安全が確認できれば使用できるようにしてほしいといった市町村長の生の声もあります。これは航空法の管轄で、本法律案の外の要望事項ではあるものの、デジタル技術の効果的な活用に向けての地方自治体からの要望として、まずは自由闊達な意見を集約し、更なるデジタル活用の進展を図ることも必要ではないでしょうか。河野大臣の見解を伺います。
 本法律案では、事業所等における書面掲示が義務付けられているものに関し、利用者保護や利便性、デジタルデバイドに配慮して、従来の書面掲示義務も維持しつつ、同様のものをインターネットにより公衆の閲覧に供するとしています。例えば、郵便法の一部改正により、日本郵便株式会社は郵便約款その他総務省令で定める事項をインターネットにより閲覧に供する義務が追加されますが、既に公式サイトに掲載されているので新たな負担は生じないと思われます。
 しかし、本法律案によって、インターネット掲載が義務付けられる事業者の中には業務や費用といった新たな負担が生じる場合がありますが、これは事業者の負担となるのでしょうか。国の支援策はあるのか、新たに義務付けられる事業者はいつまでに整備しなければならないのか、事業者に対する周知広報の方法も含め、具体的に河野大臣にお答え願います。
 本法律案では、古物営業法や水先法、質屋営業法など個別法の改正によって、標識や料金等の掲示についてデジタル対応が義務付けられることとなります。事業の規模が著しく小さい場合、その他の省令等で定める場合にはデジタル対応を義務付けしないこととしていますが、事業の規模が著しく小さい場合とはどのような事業者が想定され、その他省令等で定める場合というのはどのような場合を想定しているのでしょうか。適用除外となる中小零細事業者の範囲はいつまでに決定し、どのように周知徹底を図るのか、河野大臣に伺います。あわせて、事業者にデジタル化の強制とならないよう配慮が必要と考えますが、見解を伺います。
 本法律案は、国や地方自治体が私人に通知等を行うに当たり、所在不明である場合等に、一定期間、当該機関の掲示場等に書面を掲示することにより、その者に送達したものとみなす制度である公示送達のデジタル化を促すものとなっています。このことにより、これまでは掲示場に出向かなければ確認できなかったものが、インターネットを活用し、いつでもどこでも閲覧が可能になります。
 一方で、市役所庁舎の前に設置されている掲示板とは違って、行政機関における公式サイト上では情報量が非常に多く、どこの行政機関も見付けやすいサイトとはなっていません。各省庁が利用者にとって利便性の高いサイトとするための支援が必要と考えますが、デジタル庁の関与方法を河野大臣に伺います。
 本法律案により、インターネットを利用できる人にとっては、知りたい情報を入手したり、オンライン手続ができるようになることは利便性や業務の効率化につながるメリットがあります。しかし、デジタル技術を過信し過ぎてしまうと、例えば国のシステムでインシデントが起きてしまったときに対応の遅れが生じてしまう可能性も否定できません。インシデントが起こらないようにすることはもちろんではありますが、起きたときの責任の所在はどこになるのか、マイナンバーカードの一連のトラブルのようにたらい回しにならないのか、デジタル庁が責任を持って対応するという理解でよいか、河野大臣に最後にお伺いし、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 121115254X02920230605_004

発言者: 岸真紀子

speaker_id: 13507

日付: 2023-06-05

院: 参議院

会議名: 本会議