谷合正明の発言 (本会議)
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○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
私は、自民、公明を代表して、ただいま議題となりました齋藤健法務大臣問責決議案について、断固反対の立場から討論をいたします。
齋藤法務大臣は、昨年十一月の就任以来、法務行政に全身全霊を傾け、その責務を全うしてこられました。送還忌避、長期収容の問題を解決するための入管法等の一部改正案については、委員会の審議において、どのような質問に対しても答弁をはぐらかすことなく、終始真摯に答弁を重ねてこられました。私は、齋藤法務大臣がかつて農林水産大臣を務められていたときに副大臣としてお支えしておりましたが、仕事に対する姿勢は一貫しております。
問責の理由は、大臣会見での発言の訂正や大阪入管の常勤医師の飲酒問題などにより入管法の法案審議の継続ができないというものですが、言い間違いは誰でもあることであり、問責の根拠にはなりません。また、大阪入管の問題も、法務大臣に原因を求めるには無理があります。問責決議案の根拠は極めて薄弱であると言わざるを得ません。
参議院法務委員会では、衆議院を超える十分な審議が行われてきました。議論を尽くすと同時に、結論を出すことも私たち国会の責務であります。委員長が質疑を終局しようとした判断にも手続にも何の瑕疵もありません。
このことは、法務委員長解任決議案に続いて、今回の法務大臣問責決議案も、提出会派は立憲のみであることにも表れているのではないでしょうか。ちなみに、問責決議案が提出されたのは四年ぶりです。その前年には法務大臣問責決議案も提出されましたが、いずれも四会派、五会派共同の提案となっています。私たちは、審議日程を遅らせるだけの党利党略による問責を決して認めるわけにはなりません。
以下、入管法改正案の必要性について述べます。
日本人と外国人が互いを尊重し、安全、安心に暮らせる共生社会を実現していくためには、外国人の人権に配慮しながら、ルールにのっとって外国人を受け入れるとともに、ルールに違反する者に対しては厳正に対応していくことが重要です。
その上で、現行入管法下で生じている送還忌避、長期収容問題の解決は喫緊の課題であり、人道上の危機に直面し、真に庇護すべき方々を確実に保護する制度の整備もまた重要な課題の一つであります。
そこで、今回の改正法案は、保護すべき者を確実に保護した上で、在留が認められない者については迅速に送還可能とする、長期収容を解消し、収容する場合であっても適正な処遇を実施するという考え方の下、適正な出入国在留管理を実現する、バランスの取れた制度にしようとするものであります。
現在の入管法では、難民認定手続中の外国人は、申請の回数や理由を問わず、我が国から退去させることができません。一部の者は、これに着目し、難民認定の申請を繰り返すことで退避を回避しようとしています。不法滞在者が在留を継続するための頼みの綱が一律の送還停止効というのは、制度趣旨からいって適正な使われ方ではありません。
そこで、改正案では、三回目以降等の難民認定申請に関して送還停止効に例外を設けますが、昭和五十七年の制度創設以来、三回目以降の申請で難民と認められたケースは〇・〇〇三%であり、そのケースも本国事情の変更によるもので、法改正後も送還停止効が継続されるケースに該当します。万が一にも保護すべき事情のある者を送還しない仕組みと言えます。また、送還停止効の例外に該当する者であっても、ノン・ルフールマン原則により、入管法第五十三条三項に定める送還が禁じられる国に送還することはできません。
特定の難民審査参与員の審査件数に関して、立法事実がなくなったとの批判がありますが、これは立法事実の一つにすぎず、立法事実が揺らぐものではありません。参議院の参考人質疑では、野党推薦の参考人が難民審査参与員として当たった不服申立て審査で、五百件の案件中、難民該当性があると判断したのは約四十件とのことでした。逆に言えば、野党推薦の参考人でさえ、九割以上は難民該当性がないと判断したことになります。やはり制度の濫用対策は必要です。
難民認定手続においては、難民を迅速かつ的確に保護していくことが必要です。改正案では、紛争により、避難民を保護するために補完的保護制度を創設することになりました。これにより、我が国に避難したウクライナ避難民等の法的保護が可能となります。
難民認定率は保護すべき者を保護した結果です。昨年の我が国の難民認定と人道的配慮、ウクライナ避難民などへの特別措置を含めれば、広義の庇護率は約七〇%であることは知られてしかるべきであります。
また、今回の改正で、難民認定申請制度と切り離して在留特別許可の申請制度を創設したことは重要です。退去強制手続の対象となった者であっても、どのような場合に我が国の社会に受け入れるかを明らかにするために、判断に当たっての考慮事情を明文化することになりました。
長期収容問題については、原則収容主義と言われてきた今までの姿勢を改めたことは大きな政策変更であり、評価できるものであります。
現行法では被収容者の収容を解くためには仮放免に頼らざるを得なかったところですが、昨年末で約五割の仮放免者の行方が分からなくなっていることは大きな問題です。そのため、改正案で監理人による監理措置を設けたことは、長期収容問題の適切な解決策と言えます。
ウィシュマさんのような事案はあってはならないことであり、このような事案の再発を防止するためにも法改正は必要です。改正案を廃案にすることは、現状を維持することであり、何ら現状の改善につながるものではありません。
齋藤法務大臣におかれましては、今までどおり国民のために御尽力いただきたいことをお願いいたしまして、私の反対討論といたします。(拍手)