福島みずほの発言 (本会議)
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○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
私は、立憲民主・社民会派を代表し、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
まず冒頭、昨日の法務委員会での入管法改悪法案の強行採決と、本会議において採決が行われ成立させようとしていることに強く抗議をいたします。
入管法改悪法案の立法事実は崩壊をしました。難民認定制度が全く機能していないことが明らかになりました。難民申請する人たちの中にほとんど難民はいないということの根拠がないことが明確になりました。にもかかわらず、二回難民申請をすれば、三回目申請中でも本国に送還するとなれば、難民の人をまさに本国に送る危険性があります。命の危険が発生します。国会議員の皆さん、死刑執行のボタンに、押す共犯者にどうかならないでください。入管法改悪法案に反対してくださるよう強く求めます。
性犯罪、性暴力は被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、心身に深刻な影響を与えるものです。魂の殺人です。
国連は、一九九三年、女性に対する暴力の撤廃に関する宣言を採択しました。女性に対する暴力は人権侵害であると考えますが、法務大臣、男女共同参画担当大臣、いかがでしょうか。
そして、そのためにどのような施策を行ってきたか、法務大臣、男女共同参画担当大臣、お聞かせください。
ヨーロッパ評議会は、二〇一一年に女性に対する暴力とドメスティック・バイオレンス防止条約、いわゆるイスタンブール条約を採択をしました。二〇二三年二月現在、四十四か国とEUが署名をしています。日本はヨーロッパ評議会のオブザーバーステータスを持っている国です。また、日本もこのイスタンブール条約を批准することができます。法務大臣、日本も批准するよう検討すべきではないですか。
そして、ILO百九十号条約、仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関する条約を批准すべきではないでしょうか。検討状況について厚生労働大臣にお聞きをいたします。
イスタンブール条約は、女性及び女子がジェンダーに基づく暴力にさらされるおそれは男性より大きいと述べています。性差別のある社会では、女性は専ら性的存在として扱われ、同意のない性的行為が強制されます。性的行為の同意以前に、日常的にそもそも女性はどうしたいかと聞かれ、その意思が尊重されることが少ないように思います。対等な存在としてリスペクトされることがまだまだ少ないのです。
性暴力は、なかなか性暴力として認識されず、また被害者に落ち度があるという考え方がまだまだ根強いです。被害者は恥として自分の被害を言うことができず、話題にもできず、また理解をされません。
また、家の中での性暴力、職場や学校におけるセクシュアルハラスメント、電車や映画館や様々なところで遭う痴漢、就活ハラスメント、ドメスティック・バイオレンス、ごくごく小さいときから性的なからかい、性的な値踏み、性暴力にさらされ、レイプカルチャーの中で、そのようなものが空気のように充満しているところで生きていきます。
女性、女子に対する全ての暴力、性暴力を根絶する決意を、法務大臣、男女共同参画大臣にお聞きいたします。
イスタンブール条約は、レイプを含む性的暴力について、同意なしの性的行為と定義していることは重要です。ノー・ミーンズ・ノー、イエス・ミーンズ・イエスです。本人の同意のない性的行為は、本人の性的自由を侵害するという理解でよろしいですか。一緒に食事をしても、お酒を飲んでも、一緒に部屋に帰っても、ホテルに行っても、性的行為について同意があるのではないということでよいですね。これらの二点について法務大臣にお聞きをいたします。
性犯罪が成立するためには、判例は、その手段たる暴行、脅迫が、少なくとも相手方の反抗を著しく困難にさせる程度のものであることを要するとしていました。暴行、脅迫が相手方の反抗を著しく困難にする程度のものではないとして、性犯罪が無罪になったケースが幾つもあります。
二〇一九年三月、名古屋地方裁判所岡崎支部の判決は、実の父親による性交に娘が不同意であったことを認定しながら、抗拒不能ではなかったと父親を無罪にしました。この月に無罪判決が相次ぎ、四件続き、衝撃を与えました。性暴力の根絶を願うフラワーデモが全国に広がりました。
今回の刑法改正が、強制性交等罪を不同意性交等罪と名称を変更し、同意のない性的行為を問題としていることの意味について、法務大臣に説明を求めます。
何をもって同意とするのか。この法案で、同意のない性交等が適切に処罰をされるということでよいでしょうか。よいですね。これら二点について法務大臣にお聞きをいたします。
十三歳以上に対し、暴行や脅迫を用いてという要件から、十六歳以上に対し、次の類似した行為、事由やこれらに類する行為、事由により、性交等に同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態にさせ又はその状態に乗じてに改めて、八つの事例を列挙したことの趣旨を、法務大臣、御説明ください。
刑法は国家権力が人を処罰する基本法です。憲法三十一条の罪刑法定主義に基づき、構成要件の明確化が厳しく求められます。捜査機関や裁判所における恣意的な運用を許さず、国民に何が処罰されるのかあらかじめ明確に示しておくことが必要です。
次の類似した行為、事由やこれらに類する行為、事由によりという文言があります。他方、法案で不同意性交等罪について八つの事由を列挙したことで、分かりやすくなった面はあります。
例えば、地位利用ということでいえば、私は、職場のセクシュアルハラスメント、学校の中のセクシュアルハラスメントの裁判を弁護士としてやってきました。上司と部下、大人と子供、男性と女性、クラブの、例えば部活の顧問と部員など、力関係の差を背景に、地位利用で行われる性暴力は抵抗することができないという深刻さがあります。構成要件の明確性という面と例示によって分かりやすくなった面の両方の観点からの答弁を法務大臣に求めます。
また、犯罪をなくすためにも不同意性交等罪にしたことの意味を社会的に広く広報する必要があると考えますが、法務大臣、いかがですか。
配偶者間でも不同意性交等罪が成立するとしたことの趣旨について、法務大臣、御説明ください。
かつて配偶者間で強姦罪の成立を認めた判例はあります。別居している妻を連れ戻す過程で車中で他の男性と一緒に輪姦したという例です。このように極端なケースではなくても、一般的に配偶者間でも不同意性交罪が成立するということでよいですね。法務大臣、お答えください。
十六歳未満に対する性交等は、成立要件を満たさなくても処罰対象となります。その理由について、法務大臣、御説明ください。
また、十三歳から十五歳は、年齢の低い場合には免責し、処罰は五歳以上の年長者に限るとした理由について、法務大臣、御説明ください。
公訴時効の延期についてお聞きをいたします。
性被害は、大人であっても子供であっても、子供であればなおさら被害を犯罪と認識できなかったり、自分も悪かったのではないかと自分を責めたり、余りに傷ついて沈黙を強いられたり、加害者が身近な人であればあるほど被害を訴えられないという状況にあります。苦し過ぎてその苦しさを語れないという苦しみがあります。
公訴時効の延長の趣旨について、法務大臣、御説明ください。
同意のない性的な行為は性暴力であり、相手の同意は尊重しなければなりません。そのためには性差別を根絶する必要があります。また、自分の人権と相手の人権を尊重する人権教育としての性教育が必要です。
知的障害などを持つ障害者の人は性暴力に遭いやすいというアンケート結果があります。だからこそ、七生養護学校で性教育が行われていました。しかし、そのことがたたかれ、日本の性教育は冬の時代を迎えます。
性教育について、学習指導要領には、小学五年生の理科では、人の受精に至る過程は取り扱わないものとする、また、中学一年の保健体育科では、妊娠の経過は取り扱わないものとするとされています。つまり、学校教育の中で性交は扱わないものとなっています。しかし、これでは妊娠や性交を理解することにはなりません。改善の必要があると考えますが、男女共同参画担当大臣と文部科学大臣、いかがでしょうか。
ユネスコの包括的性教育ガイダンスに立脚した性教育がなされるべきではないでしょうか。男女共同参画担当大臣、文部科学大臣にお聞きをいたします。
男性の性被害についてお聞きをいたします。
フランスのカトリック教会の神父らが二十一万六千人の子供たちに性的虐待を加えたとする報告書が二〇二一年十月五日に公表されました。七十年間にわたり、二千人から三千二百人の聖職者が関与したということです。被害者の八割は少年で、大半が十歳から十三歳の頃に被害を受けています。フランスのカトリック教会から依頼を受けた独立調査委員長は、二〇〇〇年代初めまで、被害者は深く、完全に、残酷なまでに無視されていたと指摘をしています。
元ジャニーズ事務所に属していた人たちが、性被害を訴えました。私たちは、性被害の訴えや報道を無視することで性被害の共犯者になってきたのではないでしょうか。ジャニーズ事務所の創設者に対し、被害者たちの証言を前提とすれば、現行法でどのような法的処置が可能だったのか、改正法案が成立すればどのような条文が対象になるのか、法務大臣、お聞かせください。
内閣府は、二〇二一年に男女間における暴力に関する調査を発表しました。男女の被害に関する質問項目がありますが、男性が性暴力被害を認識、相談しなかった理由は、自分さえ我慢すれば何とかこのままやっていける、相談しても無駄だと思った、世間体が悪いなどがあります。
男性の性被害について、厚生労働省は二〇二二年度から実態調査に乗り出しました。調査の結果と取組について、こども政策担当大臣、男女共同参画担当大臣にお聞きをいたします。
LGBTQの人たちの性被害についてお聞きをいたします。
神奈川県は二〇一九年から性暴力被害に関するワンストップ支援センター内に性的少数者を対象にした男性及びLGBTs被害者のための専門相談ダイヤルを開設し、相談者が対応しています。担当者によると、過去の被害をやっと打ち明けられたと話す人もいるそうです。
政府の取組がどうなっているのか、男女共同参画担当大臣についてお聞きをいたします。
性犯罪、性暴力のためのワンストップ支援センターの支援についてお聞きをいたします。
とりわけ病院拠点型のワンストップ支援センターや提携病院を擁するワンストップ支援センターは、被害者に対する医療的支援のネットワークの核になっており、極めて重要な役割を果たしております。
政府の更なる支援が必要だと考えますが、男女共同参画担当大臣、いかがですか。
伝聞証拠の取扱いの例外についてお聞きをいたします。
刑事訴訟法における証拠は公判廷において反対尋問による検証を経るのが原則であり、原則として公判廷外供述は証拠能力を持ちません。
法案は、なぜ聴取対象を子供や障害者、性犯罪被害者に限定せず、文言上全ての犯罪類型のあらゆる関係者に適用することを可能とするのでしょうか。性犯罪の被害に乗じて伝聞証拠の例外の拡大を余りに進めるもので問題だと考えますが、いかがですか。法務大臣にお聞きをいたします。
もしこの社会から女性や子供に対する暴力がなくなったら、どれだけこの社会は変わるでしょうか。全ての子供が幸せだと思える子供時代を送ることができたら、この社会は根底から変わると確信をしています。
最後に、男女、LGBTQを問わず、子供たちの性暴力をなくすために何ができるか、男女共同参画担当大臣、こども政策担当大臣、文部科学大臣に決意をお聞きをいたします。
全ての暴力をなくすよう政治は全力を尽くすべきだと申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕