嘉田由紀子の発言 (本会議)

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○嘉田由紀子君 国民民主党・新緑風会の嘉田由紀子でございます。
 ただいま議題となりました刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案につき、会派を代表いたしまして、齋藤法務大臣、加藤厚生労働大臣、小倉内閣府特命大臣の見解を求めます。
 初めに、性犯罪や性暴力被害者の総合的な救済のための公的機関の在り方について、法務大臣及び厚生労働大臣にお聞きいたします。
 性犯罪や性暴力被害に遭われた方たちの医学的、精神的支援は、公的機関が本気で対応するべき課題です。
 個別的事例で恐縮ですが、滋賀県では、総合的なケアステーションを私自身が知事を務めていた二〇一四年の四月に開設いたしました。当時、滋賀県内での性犯罪被害者が二〇一三年には百七十件を超えてしまい、被害に遭っても相談ができない人たちが多いことが分かりました。そこで、性被害に遭って恐怖と混乱の中でどうしたらいいか分からない被害者に対して緊急支援を行い、二次的被害を防止するために、産婦人科医院と犯罪被害者支援センターと県警の三者に協力を求め、県としてワンストップの総合的なケアを行うSATOCOを二〇一四年四月に開設いたしました。具体的には、産婦人科での緊急受診や被害者の心理的相談など二十四時間対応の仕組みをつくり、基本的な診療費用などは公費負担としました。
 おうみ犯罪被害者支援センターの理事で専門相談員の松村裕美さんは、性犯罪は人権を踏みにじる悪質な犯罪です、私の体は私のもの、私の心は私のものという信念の下、被害に遭われた方が前に向かって進む力を取り戻せるよう全力でサポートしていますと語っておられます。
 そのとおりです。性犯罪は魂の殺人です。相談者の数は毎年増えており、滋賀県では十年間で三千件ほどの支援を行っておりますが、人的、財政的にも近年次第に難しくなっております。
 日本全国四十七都道府県に性犯罪被害者支援組織が設置されていますが、被害者にとっては真夜中でも緊急に支援を受けられる体制が求められます。二十四時間三百六十五日、電話やメールを含めて緊急相談体制を有する都道府県はどれくらいあるでしょうか。また、運営のための国からの財政的支援はどうなっているでしょうか。お伺いします。
 次に、司法と医療の連携について法務大臣にお尋ねいたします。
 加害者が減らない限り被害者も少なくならないと、犯罪加害者の治療に力を入れる性障害専門医療センター代表理事の福井裕輝医師は述べています。福井医師は、再犯性の高い、あるいは精神障害のある犯罪者を医療につなげ、認知行動療法など必要な医学的、心理的な治療を行うことの重要性を強調されています。
 被害者の立場から、可罰感情にもちろん十分配慮する必要はあります。同時に、再犯リスクを下げるという方向も考えられます。
 そこで、犯罪防止の観点から、司法と医療の連携の在り方について、法務大臣の見解を求めます。
 続いて、不同意性交罪について、不同意であったことの立証について、法務大臣にお聞きします。
 今回の改正案によって、現行刑法の「強制わいせつ」、「強制性交等」等の犯罪が「不同意わいせつ」、「不同意性交等」等となりますが、犯罪の立証のために検察官が裁判所に提出する証拠の証拠能力や、証拠能力が認められた場合の証拠の証明力にはどのような違いがあるとお考えでしょうか。
 プライベートな空間で行われる配偶者間においては、不同意性交等の罪の立証は特に困難があると指摘されています。捜査当局が証拠を集める際にも、検察官が犯罪を立証する際にも、公的機関が家庭内におけるどのような行為にどの程度まで立ち入るべきなのか、慎重な判断が求められます。
 今回の改正案では、家庭内の問題に対する抑制的な対応を重視する考え方と、一方で、家庭内においても各配偶者の人格権を最大限に尊重する考え方とのバランスをどのように取るおつもりでしょうか。
 さらに、配偶者間の不同意性交について、法務大臣にお伺いします。
 配偶者間の不同意性交は、当事者の性的自己決定という法益を重視することは国際的な大きな流れでありますが、今回の法改正によって配偶者間における性犯罪の不可罰性を明示的に見直すことについて、どのような議論が行われるでしょうか。
 最後に、以上のような性犯罪が子供に対して行われた場合について、異次元の少子化対策を求める小倉内閣府担当大臣の御認識をお伺いします。
 先ほど紹介したおうみ犯罪被害者支援センターの松村裕美理事は、センターの相談者は三歳から八十三歳まで、まさかと思われますが、乳幼児期からの、父親や義理の父親など親族、同居者からの性犯罪が認められるということです。
 また、名古屋市のワンストップセンター、日赤なごや・なごみのレポートですと、過去六年間の性犯罪面談相談者八百二十四名のうち二百三十二名が十八歳未満の被害者であり、幼い被害者は二歳ということです。十歳未満が四十一人ということです。加害者は、父親を含め親族が六十八人、母親の交際相手を含めて知人が百四人、コーチや教師など権威のある人が十七人ということです。
 近年の性犯罪被害の加害者の中で、親族は年々増えているということです。子供時代に性被害を受けた人の人生は、その後、どれほど厳しいものとなるか、そのトラウマは何十年も続く場合もあります。家族形成にまで影響する方も少なくないと言われております。
 本年の四月二十六日の参議院の予算委員会で岸田総理に訴えました。日本の子供の幸せ度は、ユニセフの調査で三十八か国中三十七位ということです。小倉大臣は、今、子供家庭政策の三本柱として、経済的支援、サービス支援、働き方改革を挙げておられます。これらはそれぞれ重要ですが、個々の子供の日々の生活構造を支える、日本の子供が置かれている家族の在り方、特に親の離婚後の子供の生活問題を改善する御意思はおありでしょうか。
 例えば、現在、日本では、三組に一組が離婚をし、毎年八十万人弱しか生まれない子供のうち二十万人近くの子供が、片親ロスという父親か母親を失うことが法制化されている片親親権のまま、貧困や虐待のリスクが高い状態に置き去りにされています。子供は家族の形を選べません。日本の未来を担う子供にとってどのような家族制度をつくり出してあげるべきか、これから結婚して親になる若い人たちに、相互の信頼と愛情深い家族関係をつくるのにどのような支援が可能となるか、こども家庭庁を担い、日本国の未来に責任を持つ小倉大臣としての御見解をお伺いします。(発言する者あり)ありがとうございます。
 今回の刑法及び刑事訴訟法の改正の質問からいささか深掘りし過ぎたかもしれませんが、社会的事実に根差した答弁をお願いいたします。
 性暴力をめぐり、これまで闇に隠されていた子供への暴力、家庭内や身近な大人だけでなく、特に地位が上位の者による暴力の実態が明らかになりつつあります。ここには、性をめぐる具体的な知識、今までも議論になっていますけれども、例えば妊娠の経過、受精の過程など、人間として当然知るべき知識を学校教育現場から排除してきた教育的欠如問題が根深く隠れています。先進国では主流となっている、人権教育を含む命の安全教育、包括的性教育、スウェーデンなどは未就学児から常に伝えております。私たち大人は、その責務を負っています。自覚者は責任者です。国民民主党・新緑風会は、「つくろう、新しい答え」を求め、提案をし続けます。その覚悟を込めて、私からの質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 121115254X03120230609_016

発言者: 嘉田由紀子

speaker_id: 17268

日付: 2023-06-09

院: 参議院

会議名: 本会議