2023-05-17
参議院
竹田智雄
地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員会
竹田智雄の発言 (地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員会)
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○参考人(竹田智雄君) 竹田でございます。済みません、失礼いたしました。
資料を御用意しております。手元に併せて御覧いただけましたら幸甚でございます。よろしくお願いいたします。
私は、全国保険医団体連合会副会長の竹田でございます。竹田智雄と申します。岐阜県の開業医でございます。
全国保険医団体連合会とは、十万七千人の医科、歯科の保険医の医療運動団体でございます。多くは開業医であります。国民医療の向上と会員の生活と権利を守ることを理念として掲げ、活動しております。
本日は、発言の機会をいただき、誠にありがとうございます。行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律などの一部を改正する法律案につきまして、医療現場の実態から意見を申し上げさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
オン資義務化、保険証廃止で医療崩壊が加速に向かっているということについて申し上げたいと思います。
まず、医療機関の現状でございます。
マイナ保険証によるオンライン資格確認の前提となるオンライン資格確認のシステム整備が全ての医療機関に今年四月より義務付けられました。顔認証付きカードリーダー設置を起点として、審査支払機関のサーバーに常時アクセスが可能となる閉域通信回線網の整備、電子機器などの保守管理やセキュリティー対策などが求められます。
政府は、このシステムを医療DXの基盤と位置付けており、オンラインでの資格確認にとどまらず、医療情報、薬剤情報など高度な医療情報を常時やり取りすることを想定しています。医療機関側がシステムの常時稼働に伴うサイバーセキュリティー対策等のリスクも負うこととなります。
電子機器の品不足やベンダーの多忙などにより、システム整備の遅延など六類型の理由により五万五千件の医療機関が本年九月まで猶予措置の適用を受けており、二四年秋の保険証廃止までに閉院、廃院との理由で約千件の医療機関が猶予を届け出ております。
資料六ページ上段を御覧ください。
昨年十一月に施行した保団連調査では、コロナ禍による受診抑制、経営困難、スタッフ不足や高齢などの理由で一五%の医療機関が導入しない、導入できないと回答いたしました。
十二ページに飛んでいただきまして、上を御覧ください。ここに理由が述べてあります。
当会加盟団体の調査では、約一割の保険医療機関が閉院、廃業を検討と答えております。実際に本年三月末時点で各厚生局に廃止届出を出した保険医療機関は医科、歯科で千百三件と、かなり高い水準でございます。
また、調査では、システム整備に伴い、半数以上の医療機関が補助金を上回る費用の負担を強いられており、新たな設備投資やスタッフの確保が困難、情報漏えいやセキュリティー対策への不安などから、長年培った患者さんとの信頼関係に涙を流しつつ閉院を余儀なくされているのが実態でございます。もちろん、閉院、廃院の理由は、経営困難、高齢化など複合的な要因によります。しかし、コロナ禍で奮闘してきた医療機関の閉院を加速化させたことは間違いございません。
医療の質向上を掲げたシステム整備の義務化により医療機関が閉院、廃院に追い込まれることは本末転倒と考えます。地域医療崩壊を加速させていると言わざるを得ません。
十三ページ、御覧ください。下の方を御覧ください。ちょっと横になっております。見にくくて恐縮でございます。
医療現場でのマイナ保険証の利用実態について述べます。
厚労省発表では、本年三月分のオンライン資格確認システムの利用は、全国で一億千八百四万件です、一番下の段、合計の下を御覧ください、が、そのうちマイナ保険証利用は約二百六十七万件と、僅か、右の青色でございます、二・三%にすぎません。残りの九七・七%が現行の健康保険証でオンライン資格確認を実施されています。オンラインでの資格確認においてマイナ保険証は必要ないというのが医療現場の実感でございます。
八ページへ戻ります。お願いいたします。
また、昨年十一月の保団連調査では、運用開始医療機関が二四%の段階で、運用を開始した医療機関の四割でトラブルが発生したと回答いたしました。主なトラブルは、これ九ページの上に参ります、六割が有効な保険証が無効と判定された、四割が顔認証付きカードリーダーの不具合でございました。
現行の健康保険証の廃止には、四ページへ参ります、四ページ下を御覧ください、六五%が反対と回答しており、賛成は僅か八%にすぎません。健康保険証廃止による医療機関、患者への影響につきまして、マイナカード利用に不慣れな患者への窓口対応の増加、システム不具合時に診療継続が困難となる、カードの紛失、盗難などトラブル増加などでございます。
政府はマイナ保険証によるオンライン資格確認の準備で医療機関の事務負担が軽減されるとメリットを強調していますが、顔認証付きカードリーダーの操作に戸惑う高齢者などへの対応や紛失などのトラブルがマイナ保険証利用者の増加に比例し増加します。
十五ページを御覧ください。
これは、本年四月一日以降、義務化がなされた後の状況ですが、本会、当会加盟の大阪府保険医協会が実施した調査では、半数以上の医療機関でオンライン資格確認のトラブルを経験しており、状況に変化はございません。トラブルは改善されてきていると厚労省は説明していますが、マイナ保険証での利用者がまだまだ少ないにもかかわらず、運用開始当初と同じシステムの根本的なトラブルを多く抱えています。
トラブルの種類は、資格確認データの不備、電子機器のシステム障害、電子カルテなど院内システムが動作不良となった、患者とのトラブルなど多様ですが、現行の保険証では、健康保険証では起こり得ないトラブルであり、いずれも診療継続に支障を来すものばかりでございます。そのため、多くの医療機関が現行の健康保険証が廃止されたときの対応に強い不安と懸念を示しております。
要介護高齢者のカード管理困難と、これが犯罪の温床につながる懸念について述べます。
健康保険証の廃止は、要介護高齢者など、マイナンバーカード取得、利用、管理が困難な方に重大な影響をもたらします。健康保険証廃止に伴う高齢者施設等への影響を明らかにするために、本年四月に、全国の特養、老健などを対象に調査を実施いたしました。
千二百十九件、二十三ページを御覧ください、下でございます、回答があり、八三・六%の施設で入所者、利用者の健康保険証を大事にまずお預かりしております。医療機関の受診の際にはそれを利用して受診するわけでございます。
二十四ページの上を御覧ください。九三%の施設が、本人の意思確認ができない、手間や労力が掛かるなどから、利用者、入所者のマイナンバーカードの申請代理には対応できないと回答しております。
二十五ページ下を御覧ください。また、九四%の施設が、暗証番号、二十六ページの下も御覧ください、暗証番号を含むカードの紛失責任が重く、管理が困難などの理由で、利用者、入所者のマイナンバーカードを管理できないと回答しております。
健康保険証が廃止され、マイナ保険証利用が基本となると、利用者、入所者の医療へのアクセスが著しく制限されます。同時に、介護、高齢者福祉関係者にとって多大な負担となり、利用者、家族との無用な混乱、トラブルを招くことが危惧されます。有効期限が一年で被保険者本人の申請が必要な資格確認書でも手間は変わりません。高齢者施設の職員、利用者、入所者とその家族は健康保険証の存続を願っております。
マイナカードのICチップに搭載された電子証明書を利用した公的個人認証サービスは、公的手続だけでなく、銀行・証券口座開設やローン契約など、百七十四社の民間サービスにも利用できます。要介護高齢者や認知機能が低下した方など、マイナカードを自己で管理できない人にマイナカードを無理やり所持させた場合に、第三者が本人に成り済まして銀行や証券口座の開設、保険契約などを本人の意思に反して行われる危険性がございます。公的には本人が当該契約を交わしたことになり、犯罪、成り済ましが発覚しにくい状態です。しかも、署名用電子証明書はコンビニで初期化できます。実印と印鑑証明に加え、銀行印の機能も兼ね備えたマイナカードは、意思能力がある人、自己で管理できる人に限定すべきだと考えます。
続きまして、無保険扱いとなる人を生み出していいのかということに関して申し上げます。
保険者が全ての被保険者に被保険者証、健康保険証を発行、交付することは、公的医療保険制度の根幹であります。法令上も義務付けられております。
改正法案では、任意取得が原則のマイナカードによる電子資格確認が原則となり、例外として、電子資格確認を受けることができない状況にあるときに資格確認書が発行されます。法令上は、資格確認書の発行対象がマイナ保険証を持たない人に限定されており、有効期限が一年以内とされ、保険者への申請が必要となります。申請漏れ、申請遅れにより、有資格者であるにもかかわらず、資格確認が困難なため無保険扱いとなる人が必ず発生いたします。要介護高齢者、在宅高齢患者など、制度からこぼれ落ちる患者、国民を生み出し、国民の医療へのアクセスが妨げられます。
誰しも突然のけがや病気によって受診が必要となる可能性があり、無保険扱いの状態は本来あってはなりません。発行・交付義務から申請主義への転換は無保険扱いとなる人を政策的に生み出すもので、被保険者、国民に大きな不利益をもたらします。国は、資格確認書の申請漏れ等への対応として、被保険者本人の申請によらず保険者の職権で交付する仕組みを附則第十五条で規定し、保険者が申請勧奨を行うことで全ての被保険者に必要な保険診療が受けられる仕組みをすると答弁しております。こうした仕組みを構築するには、保険者がマイナ保険証を有しない国民を常時把握することが必要となります。
厚労省は、二四年秋の健康保険証廃止に向けて、マイナ保険証を登録していない国民に対して、保険者が資格確認書の申請勧奨を行い、有効期限到来時に手続の案内を送付すると答弁していますが、こうした仕組みの構築は、保険者、被保険者双方に多大な負担を課すことになります。
以上の懸念は、健康保険証を存続させれば全て解決いたします。一人の無保険者を生み出すことなく国民皆保険制度を守るためには、健康保険証の廃止は撤回していただきたいと考えます。
デジタル化、医療DX推進の名目で、患者、国民、医療者が切り捨てられかねない、国民皆保険制度の根幹を揺るがしかねない状況にあると言わざるを得ません。あくまで健康保険証による資格確認を前提とした上で、マイナ保険証による医療情報、薬剤情報の取得、活用はあくまで付加的なサービスにとどめるべきと考えます。
マイナカードをコンビニで利用し、他人の住民票や戸籍を取得できた問題、マイナ保険証の誤登録で別人の薬剤情報等が閲覧された問題など、この間の拙速かつ制度設計が不十分な中で問題が噴出しております。
国民、患者、医療従事者、保険者に押し付け、しわ寄せとなるデジタル化は本末転倒でございます。国民皆保険制度を維持発展させるために、健康保険証廃止を含むマイナンバー法等の撤回を強く要望して、発言を終わります。
以上でございます。ありがとうございました。