清水康之の発言 (国民生活・経済及び地方に関する調査会)

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○参考人(清水康之君) 皆さん、こんにちは。NPO法人自殺対策支援センターライフリンク代表の清水といいます。本日は、この非常に貴重な機会をいただきまして、どうもありがとうございます。(資料映写)
 今、スクリーンにも映し出していますし、また皆様のお手元にも資料を配付していただいていますけれども、私の今日のテーマですが、「子どもの自殺の現状と課題 「助けてください、死にたいです」に応えるために」ということでお話をさせていただきます。
 今日、このテーマを選んだ理由、背景について、私の自己紹介も兼ねて少しお話をさせていただこうと思います。
 私、二〇〇四年にこのNPO法人ライフリンクを設立するまでは、NHKで報道ディレクターをしておりました。「クローズアップ現代」という夜の情報番組を主に担当していたんですけれども、二〇〇一年に親を自殺で亡くした子供の番組を作りまして、そのことがきっかけで自ら自殺対策に取り組む決意をしました。というのも、当時はまだ自殺対策基本法ができる前、当然できる前のことですし、自殺は個人の問題だと、うつ病の問題だというような捉えられ方が主流で、社会的な取組としての自殺対策がほとんど行われていない、行政の中で自殺という言葉を使うことがはばかられるという、まだそうした状況でした。ただ、現場で取材をすればするほど、自殺は社会的な問題である、いや、むしろ社会構造的な問題でもあるという確信を強めていきました。
 特に、私自身にとって決定的な体験となったのが、自殺で亡くなった方たちの遺書の取材をしたことです。自殺で亡くなった方たちが最期どんな思いで亡くなったのか。自ら本当に死を選択していたのか、それとも死を強いられていたのか。そのことを私なりに取材者として知りたくて、ただ、自殺で亡くなった方たちに直接インタビューすることはもはや当然かないませんから、最期にどういう思いで亡くなったのか、その最期の思いに一番迫れる取材って何だろうと考えたときに、遺書の取材ではないかというふうに考えました。中学生から高齢者まで、自殺で亡くなった三十名以上の方たちの遺書をそれぞれの御遺族の方たちに御協力をいただいて取材をしました。
 それで、一人、また一人と自殺で亡くなった方たちの遺書を読ませていただくうちに、多くの遺書に共通してつづられている言葉があるということに気付きました。それは何か。謝罪の言葉です。
 謝罪の言葉には、自分が先立つことによっていろいろ苦労掛けるねと、ごめんねといった、そうした意味合いも当然含まれていますが、ただ、私がそれ以上に謝罪の言葉から感じたのは、自身の存在についての謝罪です。例えば、仕事のできない部下で申し訳ありませんでしたとか、情けない父親でごめんとか、いじめを苦に自殺で亡くなった中学生までもが、こんな駄目息子でごめんと謝罪の言葉をつづっていました。
 謝っているからといって、その人たちが何か悪いことしてたかって、決してそうではありません。むしろ、真面目で、責任感が強くて、何かあると他人ではなくて自分を責めてしまうというそういうような人たちが、過労だったり、事業不振だったり、介護疲れだったり、いじめだったり、様々な悩みや課題を複合的に抱えてしまって、まあ抱え込まされてしまって、もう生きられない、死ぬしかないという状況に追い込まれて亡くなっている。愕然としました。
 というのも、私も当然そうですし、この部屋にいる皆さん全員がいずれ死を迎えることになるわけですよね。私は、自分が死を迎えるときに、できれば大切な人に囲まれながら、何とか、いろいろあったけど、自分の人生精いっぱい自分なりに生き切ったと、みんなと会えて良かった、うれしかった、ありがとう、天国でまた会おうねというような、まあ天国があるか分からないですけれども、できればそういう気持ちで大切な人に囲まれながら死を迎えられたらなというふうに思っています。
 でも、私が取材をした遺書を残された自殺で亡くなった方たちは、自殺ですから当然誰にもみとられない中で亡くなっている。しかも、自分自身、こんな自分でごめんなさいというふうに思いながら亡くなっていっている。さらに、残された方たちは、自分の大切な人が人生の最後の瞬間に、こんな駄目な自分で申し訳ありませんでしたと、自身を否定しながら亡くなっていった、で、それを自分が止められなかったという、そのことをその後一生背負いながら生きていくことになっていくわけで。
 自殺というのは余りにも過酷な死別体験を強いるものであって、しかも、当時は毎日百人近くの人たちが自殺で亡くなっていた。それなのに、自殺は個人の問題だというふうに、まあ私も含めてですけれども、社会は切り捨てて、自殺対策も進めることもなく、日常を何もなかったかのようにして過ごしていたという、そういう現状があるわけです。
 これはなかなか番組を作っていても対策を進めることは難しい、番組だけではどうにもならないというふうに感じて、遺書の取材をしたものもなかなかNHKの上層部の人たちにも理解してもらえず、結局、それは番組にすることができませんでした。そうした中で、悶々とNHKの中で仕事をしていても仕方がないなというふうに感じたので、それで二〇〇四年にNHKを辞めて、仲間たちと一緒にこの自殺対策を推し進めていこう、自殺対策を進めるためには何でもやろうという思いでライフリンクを立ち上げて以降、自殺対策を社会的な自律軌道に乗せるためにという思いで活動をしてきています。
 この二〇〇四年、ライフリンクを立ち上げた当時と比べれば、その後は、自殺対策基本法もできましたし、社会全体で対策を進めていくという中で、当時は三万人を超える状況が当たり前だったものが、今二万人台の前半にまで減少してきています。ただ、それでも二万人を超える人が自殺で亡くなっている。この自殺が減ったといっても、一度亡くなった人が生き返ってきているわけではないので、本質的な意味では減っていません。増えるスピードがちょっと遅くなったというだけなんですよね。しかも、今日お話をさせていただくこの子供の自殺に関しては増え続けています。
 「助けてください、死にたいです」というこの副題は、私が取材をした、取材をさせてもらった遺書の中にもつづられていた言葉で、かつ、今、私たちライフリンクはSNS等を使った自殺防止の相談もやっていますが、その相談の中でも多くつづられる言葉です。
 死にたいと言っている人たちは、本当に死にたいのではなくて、死ぬ以外にこのしんどさから抜け出す選択肢が見えなくなっている。助けてください、死にたいですというのは、一見すると矛盾をはらんだ言葉に聞こえますが、ただ、私はこれが自殺念慮を抱えている人たちの本質的な言葉だというふうに思っています。
 誰が、いつ、何をきっかけにして、もう生きられない、死ぬしかないという状況に追い込まれるか分からない時代、社会状況です。そうした中で、じゃ、どうすればいいのか、この子供の自殺の現状と課題ということで、是非皆さんに一緒に考えていただきたいという思いでお話をさせていただく次第です。
 この後、資料に沿ってお話をさせていただきます。
 今御覧いただいておりますのが、皆さんのお手元の一枚めくっていただいたところにグラフが二つ並んでいますが、この左側のグラフは自殺者総数の推移です。矢印を私の方で加筆していますけれども、左側のこのグラフの赤の点線がありますね、補助線、これが二〇〇六年、自殺対策基本法ができた年ということになります。二〇一〇年以降は、自殺者の総数、全国の自殺者数でいうと減少傾向にあって、最も多かった二〇〇三年と比べると、今四〇%自殺者数が減っているという、そういう状況になっています。
 片や右側のグラフ、これは小中高校生、つまり児童生徒の自殺者数の推移です。二〇〇〇年代の前半ぐらいから少しずつ増加を始め、二〇二〇年、コロナ禍において前年比で百人増えるということで過去最多を更新しました。ただ、それが、昨年更にその自殺が増えて五百十四人という、そういう状況になっています。
 この小中高校生の自殺といったときに最も多いのが、まあ当然といえば当然ではありますけれども、高校生の自殺です。
 この高校生の自殺に関してですが、昨年の一月一日から、警察庁の自殺統計原票という、自殺に関する、捜査資料を基にして自殺に関する情報を転記した個票がありますけれども、その自殺統計原票の項目が大きく変わりまして、それまでは、高校生というと、もう全日制の高校生も定時制、通信制の高校生も一緒くただったんですけれども、昨年の一月からのデータでは、全日制なのか、あるいは定時制、通信制なのか、あるいはその他なのかといったようなその分類も明確に把握できるようになりました。
 これ、グラフ、右下の表ですね、表を見ていただきますと、赤い丸を付けている場所が二か所あります。一つが、男子、全日制のところです。自殺者数、人数でいうと、属性でいうと全日制の男子の高校生の自殺者数が百六十一人ということで最も多くなっています。
 ただ、その右下に女子、定時制、通信制ということで、ここにも自殺死亡率のところ丸を付けていますが、自殺死亡率に換算すると、最も自殺が多いのが定時制、通信制に通う女子高校生ということが分かります。この定時制、通信制の高校に通う女子は、全日制の高校に通う女子と比べて約四・六倍ということで、人数でいうと定時制、通信制の高校生の方が少ないんだけれども、自殺死亡率、人口十万人当たりの自殺者数ですね、自殺死亡率というのは、に換算すると、定時制、通信制の高校生の方が多くなっているということが分かります。
 これは、定時制、通信制の高校に行ったから自殺に追い込まれたというよりも、私たちのその支援の現場の経験からしても、全日制の高校に通っていたんだけれども、通えなくなる中で定時制や通信制に転校して、で、転校する中、元々全日制の高校を通えなくなった理由である、その精神疾患であったり、あるいは家族との不和であったり、あるいは学友との不仲であったりいじめであったり、様々な悩み、課題があって全日制の高校行けなくなって、出席日数足りなくなるなどの中で定時制、通信制に転校するという子がいるわけですけれども、その問題が解決されないまま、定時制、通信制の高校に通う中でもむしろそれらが悪化する中で自殺で亡くなっていっているというふうに解釈するのが妥当ではないかというふうに感じています。
 また、次のスライドですけれども、では、定時制、通信制に通っていた高校生で自殺で亡くなった子たちと全日制の高校に通っていた高校生たちで、自殺の原因、動機にどういった特徴があるか、違いがあるかといったことをこの表で表しています。
 左側が定時制、通信制の高校生、上が男子で下が女子です。丸で囲っていますが、健康問題を抱えていた割合が非常に高くなっているということが分かります。片や、右側が全日制の高校に通っていた、上が男子で下がやはり女子ということになりますが、こちらは学校問題ということを抱えていた亡くなった高校生が多いということが分かります。
 では、この健康問題と学校問題、それぞれどういった内容になっているのかと、この内訳も表にしてあります。
 上が健康問題ということで、これに関して言うと、全日制も定時制、通信制の通っていた高校生も、余りこの内訳自体は大きな差はありませんでした。最も多いのがうつ病の悩みあるいは影響と、あるいはその他の精神疾患の悩みや影響というようなことが健康問題としては多かった。ただ、下ですね、これ学校問題とありますが、全日制の高校生と比較して、定時制、通信制に通っていた高校生は学業不振抱えていたという比率が高くなっています。ただ、学友との不和に関しては、定時制、通信制の高校生よりも全日制の高校生の方がむしろ比率としては高くなっているという、そうした、原因、動機に関しては、これは多くの場合は複合的に抱えていますけれども、あえて単純化して精査するとこうした違いが見られたということです。
 また、こちらは高校生の自傷行為歴と自殺未遂歴の有無に関するデータになっています。この新しい自殺統計原票において、それまでは自殺未遂歴の有無だけだったものが、今度、自傷行為歴の有無に関しても計上されるようになっています。
 そうした中で分かってきたことは、定時制、通信制の高校に通う高校生、通っていた高校生ですね、の約半数が自殺未遂若しくは自傷行為歴があったということが分かっています。これは、全日制の高校に通う高校生の二・二倍ということになります。
 また、次のスライドですけれども、こちらは時期に関しても、この自殺未遂歴あるいは自傷行為歴に関しての時期を分類して計上したデータになっています。
 赤とかオレンジ、これがこの二つのグラフ見るとかなりの面積を占めていますけれども、こちらは女子の自傷行為歴あるいは自殺未遂歴の時期というものになっていて、特に右側のグラフ、自殺未遂の時期ということでいうと、通信制、定時制に通っていた高校生に関しては、一か月以内に自殺未遂をしていた、自殺で亡くなる前の一か月以内に自殺未遂をしていたという高校生が二六%にも及ぶということが分かっています。重要なのは、この、じゃ、未遂歴があった後、どういう支援ができていたのか、あるいはできていなかったのかという、そうした精査が必要になってくるということを表すデータでもあると思います。
 次のスライドが男子です。男子は女子と比較して赤やオレンジの面積が小さくなっています。これは、過去に自殺未遂であったり自傷行為歴がない、確認できなかったという高校生、男子が多かったということを表しているんですけれども、裏を返すと、自殺未遂や自傷行為がない中で、致死性の高い手段で一回の自殺行動で自殺で亡くなっている男子が多いというようなことを示唆するデータにもなっているということです。
 次のスライドが児童生徒の自殺の時間帯ということで、何時頃この高校生が自殺で亡くなっているのかということを見たところ、放課後の時間帯が比較的に多いということが分かっています。ただ、これは学期中と休暇中において恐らく特徴は異なっているだろうというふうに思いますので、更に掘り下げた分析が必要だろうというふうに思います。
 こうした分析は、私がライフリンクとは別に代表を務めているいのち支える自殺対策推進センターというところで行っているんですけれども、厚労省であったり文科省であったりと連携をしながら、こうした分析を更に深めていく必要を強く感じているというところです。
 こうした高校生あるいは小学生、中学生も含めた児童生徒の自殺が深刻だという状況の中、今月の五日に、超党派の議員の皆様でつくられている自殺対策を推進する議員の会が岸田総理に子供の自殺対策に関する緊急要望の申入れを行いました。私もこの会のアドバイザーをさせていただいていますので同席をさせていただいた次第です。
 そうした中で、この自殺者全体については減少傾向にある中、高校生以下、子供の自殺が増えているというこの現状と、この現状に対してどういう対策が必要かということの申入れをこの議連の皆さんが行ったということです。
 私の方で、この背景、どういうことが考えられるかということで総理にも御説明をさせていただいたんですけれども、今御覧いただいているこの上の方が、全国の自治体を巻き込んだ自殺総合対策ということで、社会全体で行っている自殺対策のこれまでの流れと結果ということを示しています。
 具体的に言うと、徹底した自殺の実態分析、これは市町村単位で自殺の統計を分析したり、あるいは、失業者とか労働者とか主婦とか、それぞれ立場によって自殺に追い込まれる経路にどういった特徴があるのかという徹底した自殺の実態分析に基づいて総合的な戦略を立てて対策を進めてきたという経緯があります。
 具体的には、自殺総合対策大綱、これ国の指針として五年ごとに見直されていますし、また今は、自殺対策基本法において全ての自治体が自殺対策の計画を作らなければならないということで義務化されていますので、全ての都道府県、また市町村に関しても九五%以上がそれぞれの地域の実情を踏まえた地域自殺対策計画を作っているという、そういう現状になっています。
 こうした戦略を立てた上で、その戦略を牽引する専門組織、厚労省に自殺対策推進室があり、また厚労省と連携をしていのち支える自殺対策推進センターも様々な分析であったり実際の支援だったりを行うという、そうした専任の組織がつくられています。
 かつ、そうした戦略を実行する予算も、まあ年間四十億円ということで、ほかの様々な政策に比べると決して命を守る取組として十分な予算だというふうに私自身は感じませんが、ただ、それでも、地域自殺対策を推進する上で非常に貴重な財源となっているこの交付金が毎年度確保されているという中で、全体としては三二%減少していると。これ基本法ができた二〇〇六年と昨年の比較ということになりますけれども、三二%減っている。
 片や子供の自殺対策については、まず、分析が十分行われていないという現状があります。先ほどお話しさせていただいたものについては、新たに、初めてようやく分かってきたものであって、まだまだ解明しなければならない子供の自殺の実態というものがある。実態が分析されていないという中で、総合的な戦略も作られていない、作れないという状況にあります。
 さらに、戦略を牽引する専任の組織もなかった。先般、昨日ですかね、おとといになりますかね、こども家庭庁の中に子供の自殺対策を担当する室ができたということの報道もありましたが、ただ、この組織の室長はこども家庭庁の支援局の総務課長が兼任しているという話も伺っています。当然ながら、総務課長というのは非常に重要なポストでもあり、かつ大変お忙しい中、果たしてどこまで実効性高い形で子供の自殺対策の室を率いることができるのか。これまで専任組織がなかったですし、これからもどういう体制でやっていくのか、今まだ見通しが立っていないという状況ではないかというふうに思います。
 また、予算もない。地域自殺対策交付金というのはこれ厚労省の予算になりますので、学校で自殺対策進めようと思ったときにはこの交付金は使えません。文科省の中に自殺対策に特化したそうした予算がないというような中、実態解明もできていない、戦略も立てられていない、専任組織もなかった、予算の確保もないという中で、六八%、二〇〇六年と比較して子供の自殺が増えてしまっている。
 はっきり言って、ある種当然だろうと思います。対策が行われていないわけですから、これは自殺が増えていくというのも当然のこと、決して驚くべきことではないというふうに思います。
 ただ、逆に言うと……

発言情報

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発言者: 清水康之

speaker_id: 27923

日付: 2023-04-12

院: 参議院

会議名: 国民生活・経済及び地方に関する調査会