上川陽子の発言 (安全保障委員会)
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○上川国務大臣 おはようございます。
所信を申し上げる前に、一言、一点、ガザに滞在している邦人に関し、御報告申し上げます。
一日、現地時間でありますが、退避を希望していた全ての邦人十人及びそのパレスチナ人家族八人の計十八人が、同地区からエジプトに陸路で退避しました。
それでは、所信を申し述べます。
安全保障委員会の開催に当たり、簗委員長を始め、理事、委員各位に御挨拶申し上げ、我が国の安全保障政策について所信を申し述べます。
国際秩序の根幹が揺るがされ、我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれる中、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化することの重要性がより一層高まっています。
我が国の長年にわたる国際社会の平和と安定、繁栄のための外交活動や経済活動の実績を糧に、大幅に強化される外交の実施体制の下、危機を未然に防ぎ、平和で安定した国際環境を能動的に創出するために、外交と防衛を連携させながら、総合的に外交、安全保障政策を進めていきます。
既に一年半以上も続いているロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を脅かす暴挙です。ウクライナ各地における民間人や民間施設へのミサイル攻撃を含め、ロシアによる一連の行為は深刻な国際法違反であり、決して認められません。
また、ロシアがウクライナにおける核兵器の使用を示唆していることは極めて憂慮すべき事態です。我が国は、唯一の戦争被爆国として、ロシアによる核兵器による威嚇も、ましてや使用もあってはならないと考えています。
ウクライナ情勢を始めとする国際社会の喫緊の課題に対応するため、G7外相間の連携はかつてなく緊密になっております。
大臣就任直後の九月には、ニューヨークでG7外相会合を主催し、ウクライナ情勢等について率直かつ突っ込んだやり取りを行いました。先月十七日には、緊張度が増すイスラエル、パレスチナ情勢について議論するため、G7外相電話会合を行いました。来週の東京でのG7外相会合に向けて、引き続きG7外相間の議論をリードしていきます。
また、八月二十四日の衛星打ち上げを目的とした弾道ミサイル技術を使用した発射や、これまでの弾道ミサイル等の度重なる発射も含め、北朝鮮による核・ミサイル活動も活発化しています。一連の北朝鮮の行動は、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できません。
今後とも、八月のキャンプ・デービッド日米韓首脳会合の成果も踏まえつつ、日米、日韓、日米韓で緊密に連携して対応していきます。
我が国の外交政策の推進に当たり、同盟国、同志国との連携は不可欠です。
まずは、日米同盟を更に深化させていきます。
九月の日米外相会談では、日米同盟の抑止力、対処力の一層の強化に向けて具体的な協力深化のための議論を継続するとともに、様々なレベルで拡大抑止の強化に向けて緊密に協議することで一致しました。また、昨年末に策定した新たな国家安全保障戦略等三文書や一月の日米2プラス2で確認した方向性に従って、日米にとって戦略的に最も重要なインド太平洋地域のポテンシャルを安定と繁栄につなげていくため、日米同盟の抑止力、対処力の更なる強化に日米で共に取り組んでいきます。
その際、同盟調整メカニズムを通じた二国間調整の更なる強化、平時における同盟の取組、日本の反撃能力の効果的な運用に向けた日米間の協力の深化、宇宙、サイバー、情報保全分野での協力、同盟の技術的優位性の確保のための技術協力や、新興技術への共同投資などを重点的に進めていきます。また、米国による拡大抑止が信頼でき、強靱なものであり続けることを確保するための努力も続けていきます。さらに、日本における米軍の態勢の一層の最適化に向けた取組を進めていきます。それとともに、普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し辺野古移設を進めるなど、地元の負担軽減と在日米軍の安定的駐留に全力を尽くします。
また、経済版2プラス2を通じて、外交、安全保障と経済を一体として議論し、経済安全保障、ルールに基づく経済秩序の維持強化といった日米共通の課題について、一層連携を強化していきます。
国際社会における様々な課題への対応に協力していくべき重要な隣国である韓国とは、パートナーとして力を合わせて新しい時代を切り開いていくため、緊密な意思疎通を重ねていきます。インド太平洋の厳しい安全保障環境を踏まえれば、日韓の緊密な協力が今ほど必要とされるときはありません。日韓関係の改善が軌道に乗る中、グローバルな課題についても両国の連携を一層強化していく考えです。
ASEAN諸国、豪州、インド、英国、フランス、ドイツ、EU、NATOを始め、基本的価値を共有する国々、パートナーとの協力関係を更に強化し、そのネットワーク化も進めていく考えです。インド太平洋地域における法の支配に基づく自由で開かれた秩序の維持強化により、地域全体、ひいては世界全体の平和と繁栄を確保していくことが重要です。今後も、日米豪印を始め、このような考え方を共有する国々とも連携しながら、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を強化していきます。
近隣諸国等との間の懸案の解決も重要な課題です。
日本と中国の間には、様々な可能性とともに、尖閣諸島情勢を含む東シナ海、南シナ海における力又は威圧による一方的な現状変更の試みや、中国によるロシアとの連携を含む我が国周辺での一連の軍事活動を含め、数多くの課題や懸案が存在しています。また、台湾海峡の平和と安定も重要です。
特に、尖閣諸島周辺の我が国領海で独自の主張をする海警船の活動は、国際法違反であり、断じて認められません。我が国の平和と安定、尖閣諸島を含む我が国の領土、領空、領海を、日米同盟を基軸としつつ、断固として守り抜くとの決意の下、中国に対しては、主張すべきは主張しつつ、責任ある行動を強く求めていきます。
南シナ海をめぐる問題についても、地域における力又は威圧による一方的な現状変更の試みや緊張を高めるいかなる行為にも強く反対します。そして、力や威圧によらず、国際法に基づき紛争を平和的に解決することが重要であると改めて強調していきます。今後も、中国の不透明かつ急速な軍事力の増強や活発化する活動を注視しつつ、その透明性の向上を働きかけていきます。
竹島については、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も日本固有の領土であるとの基本的な立場に基づき、毅然と対応していきます。
ロシアとの関係については、日本の国益を守る形で引き続きしっかりと対応していきます。日ロ関係は、ロシアによるウクライナ侵略によって厳しい状況にあります。しかし、政府として、北方領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持していきます。
北朝鮮との間では、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化の実現を目指します。北朝鮮が前例のない頻度と態様で弾道ミサイル発射を繰り返していることは断じて容認できません。今後とも、米国を始めとする国際社会とも協力しながら、関連する国連安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の非核化を目指します。政権の最重要課題である拉致問題は、時間的制約のある人道問題です。全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、全力で取り組みます。
地域、国際社会が抱える諸課題への対応にも全力で取り組みます。
中東の平和と安定は、我が国を含む国際社会の平和と繁栄に不可欠です。先般のハマス等によるテロ攻撃を断固として非難します。在留邦人の安全確保に万全を期し、事態の早期鎮静化及びガザにおける人道状況の改善に向けて全力で取り組んでいるところです。私自身、今週後半にもイスラエル、ヨルダンなどを訪問し、中東の緊張緩和と情勢の安定化に向け、更に積極的な外交努力を展開していきます。
また、中東地域に原油輸入の約九割を依存する我が国を含め、世界経済の安定と成長にとり不可欠であるエネルギー安定供給、そして、これを支える中東地域における航行の安全の確保に万全を期してまいります。
核軍縮・不拡散については、本年五月のG7広島サミットで発出したG7首脳広島ビジョンを強固なステップ台としつつ、ヒロシマ・アクション・プランの下での取組を一つ一つ実行していくことで、現実的で実践的な取組を継続、強化していきます。
経済安全保障について、新たな国家安全保障戦略では、日本の自律性の向上や、技術等に関する日本の優位性、不可欠性の確保に向けて措置を講じていくことを確認しています。その中で、外国からの経済的な威圧に対する効果的な取組を進めることも確認したところです。
さらに、本年のG7広島サミットでは、G7として初めてサミットの議題として経済安全保障を取り上げました。さらに、経済的強靱性及び経済安全保障に関する包括的かつ具体的なメッセージを初めて独立の首脳声明として発出しました。外務省として、安全保障政策や対外経済関係、国際法を所管する立場から、今後の情勢の変化を見据えた更なる課題について不断に検討を進めていきます。また、同盟国、同志国との連携強化や新たな課題に対応する規範の形成等、積極的に取り組んでまいります。
最後に強調したいこととして、国際社会で急速に主流化してきている女性・平和・安全保障、いわゆるWPSがあります。私は、日本外交の主要政策として、WPSを更に力強く推進していきます。日本は、安保理理事国として、WPSの議論を国連の重要アジェンダとして推進していくとともに、WPSに関する国際的な協力を進めてまいります。
簗委員長を始め、理事、委員各位の御指導、御理解を心からお願い申し上げます。(拍手)