中谷元の発言 (憲法審査会)
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○中谷(元)委員 自由民主党の中谷元です。
この度、五年ぶりに与党筆頭幹事を仰せつかりました。前任者同様に、円満で充実した議論を通じて、できる限り幅広い会派による合意形成が得られるように努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、先週の海外調査報告を踏まえ、憲法改正の現状、そして緊急事態条項、そして国民投票の在り方、この三点について、私の所感を申し述べます。
まず、憲法改正の現状につきまして、私も参加いたしましたが、二〇一七年の海外調査の際に英国のキャメロン元首相が強調されていた、国民投票において国民の分断を生んではならない、国民投票は政権に対する信任投票にすり替わりがちという点が今回の海外視察、調査においても改めて確認をされましたが、国民投票が必須の手続となっている我が国の憲法改正では、特にこの点を念頭に置いて議論を進める必要があると改めて痛感をいたしました。
国会に設けられる広報協議会というのがございます。この広報協議会が果たす役割が非常に大きいと思います。この広報協議会に関しては、さきの国会において、協議会や事務局の規程案の条文イメージ作成が法制局、事務局に対する宿題となっておりますので、その作業状況を幹事懇等で報告をしてもらうと同時に、広報協議会の具体的な広報活動のイメージについても委員間で議論を深めていく必要があると思います。
さて、先週の森団長の御報告を伺って印象的だったのは、フィンランドの二〇一八年の憲法改正であります。これは、警察目的に限って認められていた通信傍受、これについて、ロシアの脅威などを踏まえて安全保障目的でも可能としたもので、急を要する、議会の六分の五による賛成というスーパーマジョリティーによる緊急改正の手続を用いられました。
私は、国民を守るために必要な憲法改正は速やかに実現しなければならない。まず、安全保障に関する難しいテーマであったにもかかわらず、与野党を超えて圧倒的多数の合意を形成をしたということ、そして、フィンランドが、ロシアと長大な国境を接し、二度の戦争を経験する中で多大な犠牲を払いながらも独立を守ってきた歴史を背負っていくことに思いを致しながら、一国の憲法を改正するということの重みを感じた次第です。
これに対して、日本国憲法では、誰がどのように国を守るかという国防規定が欠落をいたしております。国防規定とそれを担う実力組織である自衛隊を憲法に明記をして、その上で、この実力組織を平和のために用いるという、憲法を頂点とする法体系を完成させなければなりません。こうして初めて国の根幹を整えるということになるのであります。
次に、緊急事態条項についてです。
訪問した三か国では、いずれも憲法上の緊急事態条項が設けられているということでありました。他方、新型コロナ対応など最近の緊急事態に関しては、法律上の措置で対応したとの報告も伺いました。
この点につきまして、北神委員からは、憲法上の緊急事態条項があるからこそ、法律レベルの緊急事態条項がより実効的に機能するのではないかとの問題意識を持って意見交換に臨んだとの大変興味深い報告がありました。
フランスのブドン教授が言われるには、憲法上の緊急事態条項は、ほとんど使われなくても有用な条文であり、例外的事態に対処するためには必要不可欠という指摘を紹介をされましたが、全く同感であります。私も、たとえ法律レベルの緊急事態法制が完備していたとしても、想定外に備え、憲法に緊急事態条項を整備すべきであると考えます。
また、緊急事態対応、この訪問した三か国に共通するのは、議会機能を維持をするために、任期切れが発生しないように制度を仕組んであるということであります。
この点に関連して、今世界が注目するのは、目前に迫ったウクライナの選挙で、今年十月の議会選挙は既に延期をされております。そして、来年三月の大統領選挙についても、ゼレンスキー大統領は、国民の分断を防ぐために、今は選挙に適切な時期ではないと発言をして、選挙の延期を示唆をいたしております。
選挙の実施、延期それぞれに大義と難点があり、難しい判断だと思いますが、このような議論が可能であるのは、ウクライナ憲法に議会任期と大統領任期の延長が明記をされているからであります。
そもそも選挙は民主主義の根幹であり、可能な限り実施すべきです。しかし、どうしても選挙ができない事態は発生します。あらゆる事態において民主的統制下で国家運営を行う体制を維持するということは民主主義の原点であり、いついかなるときでも国会議員不在の事態を避けるために、任期延長の憲法改正、これは待ったなしと言えます。
緊急事態条項に関しては、各国に強調されたのは、緊急事態における議会チェック、これの重要性であります。そのためにも、緊急時における国会機能維持は重要であり、議員任期延長を始めとした国会機能維持策について、速やかに議論を詰めて具体案を検討すべきであり、今後、幹事懇談会などで議論し、幅広い会派による合意形成を図ってまいりたいと思っております。
最後に、国民投票の在り方です。
デジタル社会の進展と選挙、国民投票の在り方につきましては、諸外国共に苦慮していることがよく分かりました。各国でもいまだ有効な対策を見出せていないということでありますが、我が国では有効な法規制は難しいのではないでしょうか。ネットでの偽情報の拡散、情報国家における新しい人権、これは国民投票への影響を及ぼすことであり、引き続き、幹事懇談会などで各党と議論を詰めてまいりたいと思います。
以上、先週の海外調査報告を踏まえた所感を述べました。
海外調査で得られた貴重な知見を今後の憲法改正の議論に反映させて、引き続き、幅広い会派による合意形成を図ってまいりたいと思いますので、委員各位の御指導、御協力をお願い申し上げまして、私の発言を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。