北神圭朗の発言 (憲法審査会)

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○北神委員 私からは、欧州派遣で得た知識も踏まえ、議員の任期延長と偽情報対策の二点に絞って発言します。
 まず、議員の任期延長についてです。
 フランスでは、国会議員の任期は憲法ではなく、法律で規定されています。また、緊急時には、憲法上、一定期間、大統領を中心に権力が運用できる諸制度が用意されています。一言で言えば、大統領制の下で有事には巨大な行政権で対応できるようになっています。そういう意味では、議会の役割がおのずと異なり、我が国の議院内閣制とは同列に論じることができないと考えます。
 次に、アイルランドは、憲法第十六条五節に、下院は、その最初の会合の日から七年以上の期間にわたって継続してはならず、法律でこれより短い任期を定めることができると、議員任期の上限だけが規定されています。実際、アイルランドでは、この条文を受けて、法律で議員任期を五年に短縮しています。よって、意図的かどうかは別として、仮に議員任期の延長を検討しなければならない事態が発生した場合には、最長七年を超えない範囲で、法改正で柔軟に対応する余地があるのではないかと推察します。
 他方、フィンランドは、会長からの御報告のとおり、我が国の衆議院と同様に、憲法上、任期が四年と明確に規定されています。そして、選挙困難時には、憲法上、次の選挙が実施されるまで現在の議員が在職する旨の規定があるので、事実上、任期を延期できることになっています。
 このように、フランスは、元々、行政府に強力な権限が与えられている体制が、憲法上、緊急時にはなお強化される制度が準備されています。アイルランド、フィンランドは、事実上、議員任期の延長に関する根拠規定が憲法に存在していると言えます。
 ところが、我が国にはこうした備えが、少なくとも本格的にはありません。先ほど中川幹事からもありました、参議院の緊急集会がモグラたたきのモグラのようにまた出てきましたけれども、前国会のときに、ある程度、これは一時的、暫定的、限定的なものであるということが、私の中では決着したんじゃないかというふうに思っています。
 私は幾度となく、立憲主義などの観点から、七十日間を超えて選挙が困難な場合に限って議員任期の延長を憲法上明文化すべきだと訴えてまいりました。あわせて、濫用防止のため、国会での厳格な事前手続と司法による事後の関与が求められます。まさしく、維新、国民民主党と取りまとめた共同案はこうした条文となっています。
 会長におかれましては、一刻も早く、三会派の共同案を踏まえて、具体的な条文作成に入っていただくことを改めてお願い申し上げます。
 次に、国民投票における偽情報対策についてです。
 これも会長から御報告があったとおり、フランスには、裁判手続によるネットの配信中止の制度があります。また、アイルランドの選挙委員会は、偽情報に対する監視や調査を行い、プラットフォーム事業者などに対し、削除通知やアクセス遮断を命じることができます。
 一方、我が国は、昨年十二月の国家安全保障戦略の改定により、能動的サイバー防御が導入されつつありますが、残念ながら、選挙介入については具体的な対策が検討すらされていません。
 去る九月、米国の国務省が中国の情報戦に関する報告書を発表しました。これには、中国が情報操作のために年間数十億ドルを投入し、台湾、人権問題、南シナ海、経済などの分野で偽情報を流すなどの情報戦を展開していることが明らかにされています。一例ですが、我が国でも若者に人気のあるティックトックを運営している中国のバイトダンス社は、中国に批判的な人の使用を制限していることも指摘しています。また、ロシアとの協力の中で、ウクライナ侵略を正当化するロシアの一方的な主張を中国国営メディアが拡散する一方、台湾問題をめぐっては、ロシアが中国の宣伝活動を後押ししているということです。
 先般、我が国でも、ALPS処理水の放水に際しては、処理水の評価を行うIAEAと第三国専門家の意見との相違、見解の違いを解消するために、日本がIAEAに対して百万ユーロ以上の献金を行ったといった偽文書が中国により拡散されました。また、中国のSNS上で、放射線の影響を受けている日本の化粧品リストという偽情報も出回っております。我が国も、もう少し危機感を持たないといけないのではないでしょうか。
 これまでも発言したように、ドイツでは、内務省の連邦選挙管理委員会が選挙に関係する偽情報を特定し、ファクトチェックサイトで公表しています。国内のいささか頼りない我が国のファクトチェック体制の実情を踏まえると、我が国でも、民間に任せるだけではなく、政府あるいは公的機関、例えば国民投票広報協議会においてファクトチェックの機能を担わせる必要性も指摘してまいりました。
 今回のアイルランドでの意見交換を参考にして、一歩進んで、国民投票広報協議会などが偽情報に対する監視や調査を行い、プラットフォーム事業者などに対し、削除通知やアクセス遮断を命じる制度を導入することも私は検討に値すると思います。
 公正な選挙の実現、とりわけ憲法改正に関する国民投票は民主主義の根幹であります。国民の自律的な意思が阻害されないために、我々も責任を持って、より積極的な姿勢で臨むべきではないでしょうか。
 以上です。

発言情報

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発言者: 北神圭朗

speaker_id: 4662

日付: 2023-11-16

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会