河西宏一の発言 (憲法審査会)
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○河西委員 公明党の河西宏一です。
今国会より憲法審査会の委員に加わらせていただきました。本日は、森会長を始め各会派の幹事、委員の皆様におかれましては、発言の機会を頂戴し、誠にありがとうございます。
まず、国会議員の任期延長を始めとした緊急事態条項に関する我が党の基本的な立場について、若干の考察を加えつつ申し述べます。
憲法第四章第四十一条で「国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関」とうたわれる国会は、その権能の重要性に鑑み、二院制、両院同時活動が大原則であります。
その原則の例外として規定される参議院の緊急集会は、衆議院解散から特別会召集までの立法機能を一定程度維持するという憲法上の重要な権能を有する一方、緊急集会は内閣のみが求めることができ、かつ、緊急集会で取られた措置は、最終的には衆議院の同意が不可欠であります。また、国会法では、参議院の緊急集会においては、内閣が示した案件に関連するものに限り、議員の発議や請願が可能であると定められているところでございます。
したがいまして、参議院の緊急集会が持つ立法機能の案件が限定的であり、立法措置の効力も暫定的であることを踏まえるならば、緊急事態の発生に直面したときこそ、衆参両院がそろって立法機能、行政監視機能を担う両院同時活動の状態を追求すべきであると考えます。
では、緊急事態において必要な国会の立法機能とは、質及び量においてどの程度のものであるのか、実例に照らして考察を加えたいと思います。
まず、従前の御議論では、選挙実施が困難な緊急事態において議員任期の延長が必要であるとの認識が自民、公明、維新、国民、有志の五会派で共有されていると承知をしております。
その中で、いわゆる選挙困難事態の具体的な類型については、一、大規模自然災害事態、二、テロ・内乱事態、三、感染症蔓延事態、四、国家有事・安全保障事態、五、その他これらに匹敵する事態の計五事態があり得ると整理をされてまいりました。
今世紀を振り返るならば、我が国は既にこれら類型に及び得る事態、すなわち、二〇一一年の東日本大震災、また、二〇二〇年に端を発した新型コロナウイルスの世界的蔓延に直面いたしました。戦後最大の危機とも言われた事態に直面する中で得られた歴史の教訓を反映させることは、立法府に身を置く者として、いわば当然の責務であろうと考えております。
そこで、これら二つの大規模な緊急事態において法律がどれだけ制定されたのか、カウントを試みました。お配りさせていただいた資料の集計表を御覧ください。なお、法案数となりますと未成立の法案等も含まれるため、実際に制定された法律の数をカウントした点を付言いたします。
まず、東日本大震災への対応では、緊急性が高いものという意味で、震災が発生した二〇一一年に四十四本、翌二〇一二年に十九本、計六十三本の震災関連法が制定されました。
また、制定法律件数の全体としても、二〇一一年は前年の七十二件から百二十六件へと大幅に増加しており、震災対応で多くの立法措置が必要であった点がうかがえます。
さらに、その内容を見ましても、例えば、統一地方選特例法、東日本大震災税特法、東日本大震災財特法、原発事故調法、平成二十三年原子力事故被害緊急措置法、東日本大震災復興基本法などが挙げられ、その他の法律も含めますと、ほぼ全ての行政分野及び国民生活全般にわたる立法措置がなされております。
他方、新型コロナ対応では、国内で患者が確認された二〇二〇年に十本、翌二〇二一年に二十二本、計三十二本の新型コロナ関連法が制定されております。
具体的には、雇用保険法、臨時特例等法、令和二年度特別定額給付金差押禁止法、地方交付税法一部改正、そして新型インフル特措法一部改正などでございます。
加えて、いずれの緊急事態においても、法案の提出別を見ますと、閣法の提出、成立にとどまらず、多数の法律が議員立法によって制定されたことが分かります。具体的には、東日本大震災では、計六十三本のうち、議員立法が二十二本、そのうち衆法は十七本と大半を占めました。また、新型コロナ対応では、計三十二本のうち、議員立法は七本で、全て衆法でありました。
このように、緊急事態発生時における制定法律件数からは、与野党の枠を超えて、政治休戦し、国会議員が一致結束して立法に当たったこととともに、繰り返しになりますが、立法機能の案件が限定的、かつ、立法措置の効力も暫定的である参議院の緊急集会だけでは、緊急事態発生時に立法府に求められる十分な対応は困難であろうことが読み取れると考えます。
したがいまして、やはり緊急事態発生時にこそフルサイズの立法機能、すなわち国会の二院制における両院同時活動を行い、その上で十分な行政監視機能を担っていく、その中において内閣が適切に機能を発揮し、国民の生命財産を守るという重要な使命を果たすべく対応に当たらなければならない、そのためには議員任期の延長が可能となる法体系の整備が必要であると申し述べまして、私の意見とさせていただきます。