山下貴司の発言 (憲法審査会)
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○山下委員 自由民主党の山下貴司でございます。
私からは、広報協議会を含め、国民投票法を中心として意見を申し上げます。
まず指摘したいのは、国民投票法に関しては、投票の外形的事項である公職選挙法並びの投票環境整備に関し、いわゆる三項目案が、自民、維新、公明、有志の四会派から昨年四月に提出されている、公職選挙法改正の際には全会一致で可決され、そして、各党に異論のある内容ではないにもかかわらず、趣旨説明が行われた後、一年半審議が行われておりません。
投票環境整備は、立憲民主党の皆様がよく主張される、令和三年に成立したいわゆる七項目案の附則四条の検討事項の第一号に掲げられているものであります。附則四条の重要性を強調する皆様であれば、その筆頭に掲げられている事項である三項目案の速やかな成立を図らなければつじつまが合わないということを御指摘し、速やかな採決に是非御賛同していただきたいと思っております。
その上で、冒頭、我が党の船田幹事も発言しましたが、投票の質に関する事項、すなわち、国民投票の公平公正を確保するための事項に関し、広告放送及びインターネットによる有料広告の在り方、偽情報対策やSNS対策といったインターネットの適正利用確保策について問題提起がなされております。
広告にせよ、ネット上の情報発信にせよ、法規制を行うことについては、これは政治的表現の自由を制約することにつながるということを指摘しておかなければなりません。政治的表現の自由は、言論活動によって国民が政治的意思決定に関与するという民主政治に資するものでして、憲法上保障される表現の自由の中核を成すものであります。であるからこそ、その制約には極めて慎重な議論が必要であります。
こうした点を踏まえて、現行の国民投票法では、国民投票運動はできるだけ自由であることを原則として、投票の公正の確保のための必要最小限の規制のみが設けられております。広告規制やデジタル社会の弊害に目が行く余り、この原則をないがしろにすることは許されてはならないと思っております。
この点については、海外派遣報告が大変参考になりました。すなわち、七月の海外派遣では、配信停止命令等の表現の自由の直接的な規制手法の課題も明らかになりました。
まず、フランスでは、投票日前、およそ三か月間、偽情報が流布されていると裁判所に申し立てた場合、裁判官が四十八時間以内に判断し、配信停止を命じることができるという手続が設けられておりますが、二〇一九年の欧州議会選挙の際に一件あった申立てが棄却されて以降、余り使われていないとのことでありました。
また、アイルランドでも、昨年、選挙委員会が偽情報に関する監視や調査を行い、プラットフォーム事業者などに対し、削除通知やアクセス遮断を命じる制度が設けられました。しかし、これもまだ運用実績がなく、選挙委員会事務局長も、これは最後の手段という位置づけであって、他の全ての手段がうまくいかなかったときのみに行使したいと考えていると述べ、この権限の行使に慎重な姿勢を見せております。
このように、森団長報告にあったとおり、法規制に取り組む両国とも、いまだ有効な対策を見出すことができておらず、いわば走りながら考えている状態にあると言えます。
このように、国際的に見ても、あらかじめ完璧な法規制を設けるというふうな解決策が見出せない中、国民投票の公平及び公正の確保は、法規制よりも、各事業者、政党等の関係者の自主的な取組による解決こそがまずは穏当で実効性のある結果を期待できるのではないかと考えます。この点については、森団長報告の中でも、アイルランドのトリニティー・カレッジのケニー博士が同様の見解を述べていたというふうな報告を受けているところでございます。
そして、こうした手法を取るに当たって、国民投票広報協議会に期待される役割は極めて大きいものがあります。広報協議会が質、量共に充実した広報を行うことはもちろんのこと、広報協議会がガイドライン等を示し、各事業者の自主的な取組を促すことも考えられると思います。
そのためにも、特に、広報協議会の具体的な活動内容に関する制度設計の詰めを早期にする必要がございます。そして、その前提として、さきの幹事懇談会で法制局、憲法審査会事務局より提示された広報協議会や広報協議会事務局に関する規程の条文案については、早急に各党で議論して、法整備を進めていくべきであると考えます。
私の意見は以上でございます。