奥野総一郎の発言 (憲法審査会)

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○奥野(総)委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。
 議員任期の延長問題について、我が党でワーキングチームを設置し、夏から議論を続けてまいりましたが、ワーキングチームとしての一応の結論を得ましたので、共同座長を務めました私から、その議論を御紹介をさせていただきます。
 日本国憲法は、その統治構造の核として、徹底した国会中心主義を採用しており、いわゆる緊急事態条項は設けていません。ワーキングチームでは、現行憲法の考え方を尊重し、緊急事態条項を規定することなくこの統治構造を機能させるため、いかなる場合においても国会機能を維持するよう検討を加えました。
 そのため、平常時から、国会におけるオンライン審議、これは昨年この場でも合意を得ましたけれども、環境整備や、選挙に係るインターネット投票の導入及びインターネット選挙運動の規制緩和などの取組を進めることは言うまでもありません。
 しかし、これらの措置を講じたとしてもなお、衆議院選挙時に大規模自然災害が発生し、広範な地域で長期間選挙が執行できないような事態、いわば選挙困難事態が発生した場合には、衆議院を構成できず、国会中心主義を維持することができなくなってしまう場合があり得ます。
 そこで、いかなる事態においても憲法がその統治構造の前提とする国会中心主義を維持できるよう、選挙困難事態への対応を検討しました。
 現行の法体系では、いわゆる選挙困難事態が発生した場合には、公職選挙法上の繰延べ投票制度を活用して、総選挙後に選挙が実施可能となった投票区から随時投票することを想定していますが、繰延べ投票による対応には以下のような問題点があります。
 一点目としては、三分の一の定足数を満たす議員さえ選出されれば、被災地選出議員が不在のまま、総理指名や復旧復興を含むあらゆる政策の決定、実施が行われてしまう。
 二点目、繰延べ投票は、本来、ごく限られた選挙区において投票ができない場合に当該選挙区の投票を繰り延べる制度であって、広範な地域において長期間投票が困難な事態についてまでこれを利用することは、総選挙の一体性の欠如をもたらすのではないか。
 三点目、繰延べ投票に当たり、既に行われた選挙結果が繰り延べられた投票における行動に影響を与えるおそれがある。これは昔から指摘されてきたことであります。
 四番目、大規模な災害においては、被災地以外の自治体は被災地自治体に応援職員を派遣しますが、被災地以外の自治体で予定どおり選挙を行うことは、このような応援に支障を来すことになるのではないかという問題点であります。
 今述べたような、現行制度、繰延べ投票の問題点を打ち消すために、被災地以外も含め、一体性が確保できる程度の地域で選挙が実施できる時点まで選挙を延期することが考えられます。このような選挙の延期については、その間は参議院の緊急集会で対応することによって、繰延べ投票のデメリットを解消しつつ、選挙困難事態において国会機能の維持を図ることができるのではないかと考えられます。
 なお、総選挙の延期の期間、これは選挙困難事態の期間と同じでありますが、これをできるだけ短く定めることにより、濫用の防止を図ることは言うまでもありません。
 同時に、衆議院総選挙が延期されている間、以下のような制度的拡充を行った上、参議院の緊急集会での対応を可能とします。
 緊急集会の招集期間については、今申し上げた選挙困難事態の期間が活動期間の上限となる。選挙困難事態が終われば衆議院が選挙をされて戻ってきますから、その間が緊急集会の招集期間になります。
 そして、選挙困難事態の認定及び延長時には、司法、これは私が従来申し上げてきましたけれども、例えば憲法裁判所を関与させることなどにより、時の政権による濫用を防止する。客観的に選挙困難事態を認定するということであります。さらに、政府の活動に対して適切かつ実効的な監視、統制を行うことができるように、一定数の議員の要求に基づく集会決定や自律的集会を可能とする。
 これらの濫用防止措置を講じた上で、従来限定的に解されてきた緊急集会の権限、案件を超える権限、案件を認める。ただし、事後的な衆議院の同意が必要な点で、この権限はあくまでも暫定的なものであることは変わりがありません。
 参議院の緊急集会は、その制定経緯から、国家的な緊急事態を想定した制度であることが明らかであるとともに、戦前の政府による権力濫用の反省に基づき、徹底した国会中心主義の見地から創設された、極めて優れた仕組みでもあります。
 選挙困難事態制度を創設して、憲法の選挙権の保障と調和を図りつつ、選挙を一体的に延期した上、この間、参議院の緊急集会による暫定的な対応を行うことで、常に平常時への復帰のインセンティブを持ちつつ、参議院の緊急集会に完全な国会機能を与えることにより万全の対応を図り、その上で、節目で司法のチェックや少数会派による集会要求等により濫用防止を図るものではないでしょうか。
 なお、議員任期延長制度については、任期延長された議員は選挙を経ておらず、その民主的な正統性に疑義が残る中で、衆議院としての暫定的なものではなく正式な決定を行うものであること、また、戦時中に戦争遂行体制の整備を口実に衆議院議員の任期が延長された歴史的事実を見ても、悪用のおそれがあり、問題があります。
 以上が、このワーキングの内容であります。
 条文化という話もありますが、ここは腰を据えてじっくり議論をすべきだと私は思います。
 以上です。

発言情報

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発言者: 奥野総一郎

speaker_id: 32692

日付: 2023-12-07

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会