岸田文雄の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 稲田朋美議員の御質問にお答えいたします。
経済対策についてお尋ねがありました。
我が国経済は、コロナ禍から経済社会活動の正常化が進む中で改善が続いているものの、物価高が続く中、国民の消費や投資動向は力強さに欠ける、こうした状況にあります。
エネルギー価格の上昇については、九月には、年内の緊急措置として、リッター百七十五円をガソリン価格の実質的な上限とするため、補助を拡大しました。この措置を、電気、都市ガス料金の激変緩和措置と併せて来年春まで継続をいたします。
また、物価高に最も切実に苦しんでおられる低所得者の方々の不安に配慮し、寄り添った対応を図るとともに、自治体が地域の実情に応じてきめ細かく生活者や事業者を支援できるよう、物価高対策のための重点支援地方交付金を追加いたします。
このような、不安定な足下を固め、物価高を乗り越えるための施策を総合経済対策に盛り込み、実行してまいります。
強い経済を実現するためのインパクトある対策についてお尋ねがありました。
我が国経済は、三十年来続いてきた低物価、低賃金、低成長のコストカット型経済から、持続的な賃上げや活発な投資が牽引する成長型経済への変革を果たす、またとないチャンスを迎えています。
このため、コストカット型経済からの完全脱却に向けて、思い切った供給力の強化を、三年程度の変革期間を視野に入れて、集中的に講じていきます。
具体的には、半導体や脱炭素のように安全保障に関係する大型投資を始め、特に二年から三年以内に供給力強化に資する施策に支援措置を集中させ、変革期間の呼び水といたします。
さらに、賃上げ税制を強化するための減税措置や、戦略物資について初期投資だけでなく投資全体の予見可能性を向上させる過去に例のない投資減税、特許などの所得に関する新たな減税制度、人手不足に苦しむ中堅・中小企業の省力化投資に対する補助制度を始め、抜本的な供給力強化のための措置を講じてまいります。
税収増の還元についてお尋ねがありました。
我が国経済は、三十年来続いてきたデフレを脱却できる千載一遇のチャンスを迎えています。しかし、現時点では、賃金上昇が物価高に追いついておらず、放置すれば再びデフレに戻りかねません。
このような認識の下、デフレ脱却のための一時的な措置として、国民の可処分所得を直接的に下支えし、物価高による国民の御負担を緩和したいと考えております。その際、過去二年のコロナ禍における税収の増収分の一部を分かりやすく国民に還元できればと考えております。
国民への還元の具体化に向けては、近く政府与党政策懇談会を開催し、与党の税制調査会における早急な検討を指示いたします。
アベノミクスの評価と経済財政運営の考え方についてお尋ねがありました。
アベノミクスは、デフレでない状況をつくり出し、GDPを高め、雇用を拡大しました。
岸田政権では、アベノミクスの成果の上に、持続的な賃上げや活発な投資が牽引する成長型経済への変革を果たすため、思い切った取組を講じてまいります。
また、有事に十分耐えられる財政基盤を平時より備えることは不可欠です。だからこそ、財政運営に対する市場の信認が将来にわたって失われないよう、経済再生と財政健全化の両立に取り組んでまいります。
少子化対策の財源についてお尋ねがありました。
当面の集中的な取組の財源については、徹底した歳出改革等を行い、その効果を活用する中で、新たな支援金制度を構築し、国民に実質的な追加負担を生じさせないことを目指すこととしています。
法制化が必要なものは、次期通常国会への法案提出に向けて準備をし、制度設計を含め、速やかに具体化してまいります。
女性活躍の推進と正規、非正規雇用労働者の格差解消に向けた取組についてお尋ねがありました。
女性活躍は、我が国の経済社会の持続的発展において不可欠であり、新しい資本主義の中核にも女性活躍と所得向上を位置づけています。
非正規雇用労働者に女性が多いこと等も踏まえ、非正規の更なる処遇改善に向けて、正社員化に取り組む事業主への支援を講じるとともに、同一労働同一賃金の遵守徹底を引き続き図ってまいります。
こうした取組を含め、女性版骨太の方針二〇二三に基づき、女性の所得向上、経済的自立に向けた取組を一層強化してまいります。
マイナンバーカード及びマイナンバー制度についてお尋ねがありました。
マイナンバー情報総点検については、個別データの点検を行っており、原則、本年十一月末までをめどに終えるよう、点検実施機関を支援し、政府を挙げて対応してまいります。
マイナンバーカードの活用に当たっては、国民の皆様の御理解が最も重要であり、データに基づいた、よりよい医療の提供が可能となるなどのメリットについて、積極的な周知、広報に取り組んでまいります。
また、マイナンバーを利用し、行政機関間で情報連携することで、正確な所得情報等に基づいた、迅速かつきめ細かい給付が可能となります。マイナンバー制度は、公平公正な社会を実現するデジタル社会の基盤であり、国民の信頼を得つつ、しっかりと推進してまいります。
デジタル行財政改革についてお尋ねがありました。
今月初め、先進的なICT教育に取り組む方々との対話という形で、教育現場でのデジタル利用の課題や、政府に期待される役割についてお話を伺いました。多様なニーズに寄り添い、質の高い教育と現場負担の軽減を両立するためには、デジタル技術の力もかりて改革を進めていく必要があります。
このように、人口減少が進む中、教育のみならず、交通、介護など様々な分野において、デジタルを活用し、利用者起点で行財政の在り方を見直すことで、公共サービスの維持強化を図ることが求められています。規制や制度の徹底した改革、EBPMを活用した予算事業の見える化にも取り組み、社会変革の実現、それを支える令和版の新たな行財政の構築、これを目指してまいります。
日本が目指すべきグローバルガバナンスの在り方及びその実現に向けた対応についてお尋ねがありました。
国際社会が複合的な危機に直面する今、世界を分断、対立ではなく協調に導くため、人間の命、尊厳が最も重要であるという、誰もが疑いようのない人類共通の原点に立ち返り、人間の尊厳を中心に据えた外交を推進してまいります。
まず、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化すべく、G7や日米豪印といった同盟国、同志国との連携を推進しつつ、いわゆるグローバルサウスと呼ばれる国々を含む国際社会の幅広い支持と関与を得るため、多様性や包摂性を重視するきめ細かな外交を通じて、経済活動の深化を含む多角的な外交を推進してまいります。
また、強く実効的な多国間主義を推し進めるとともに、安保理改革を含む国連機能の強化に取り組み、協調のための国連を実現してまいります。
また、グローバルな危機により甚大な影響を受けている脆弱な国、人々に寄り添ったきめ細かい協力を行うため、人間の安全保障の理念に基づき、人間中心の国際協力を着実に進めていきたいと考えます。
我が国の安全保障環境及び安全保障政策についてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、国民の命や暮らし、そして我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くこと、これは政府の最も重要な責務です。
このために、まずは、首脳レベルを含め、多層的に積極的な外交を展開することによって、我が国にとって望ましい安全保障環境を実現していきます。
同時に、外交には裏づけとなる防衛力が必要です。仮に我が国への攻撃が行われたとしても、我が国が主たる責任を持って対処できるよう、二〇二七年度までに防衛力の抜本的な強化を進めてまいります。
外交力、防衛力を含む総合的な国力を最大限活用し、三文書で示した施策に早急に取り組んでまいります。
外交、安全保障と文化芸術についてお尋ねがありました。
文化芸術は、我が国、国民が好意的に受け入れられる国際環境の醸成のためにも大変重要であると考えています。
このため、我が国の文化芸術団体やクリエーター等による国際発信、東アジア文化都市を通じた日中韓の交流、G20を始めとした文化大臣会合への参画など、様々な取組を進めているところです。私自身、G7広島サミットにおいては、生け花や食など日本文化の魅力を伝える行事を主催し、各国首脳を含め参加者から歓迎を受けました。
今後とも、我が国の平和や安全保障への寄与も目指し、文化芸術への支援を図ってまいります。
憲法九条や一票の格差をめぐる憲法改正への決意についてお尋ねがありました。
憲法は、あるべき国の形を示す国家の基本法であり、御指摘のように、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増し、あるいは、人口減少や東京への一極集中が進むなど社会が大きく変化する中で、現行憲法が今の時代にふさわしいものであり続けているかどうかを考えることは大変重要であると考えます。
憲法改正は、最終的には国民の皆様による御判断が必要です。国会の発議に向けた手続を進めるためにも、国会においてこれまで以上に積極的な議論が行われることを期待いたします。
また、自民党総裁としてあえて申し上げれば、党内の議論を加速させるなど、憲法改正の課題に責任を持って取り組む決意です。
食品ロス削減及び一人親家庭の自立支援、児童虐待の根絶についてお尋ねがありました。
二〇三〇年度までに二〇〇〇年度比で食品ロス量を半減させる政府目標達成に向け、関連する施策パッケージを年末までに作成することとしており、御指摘の食品の寄附を促進させるための法的措置を始め、政府全体で検討を加速化させてまいります。
また、一人親家庭への支援や児童虐待防止については、就業支援や子育て・生活支援などによる一人親家庭の貧困の解消、連鎖の防止や、児童虐待の相談支援体制の強化などにより、どのような困難があっても子供への虐待につながらないようにしていくことが必要であり、こうした方針をこども大綱に盛り込みたいと考えています。
政治分野の女性参画についてお尋ねがありました。
政治分野における男女共同参画の推進は、政治に民意をより一層反映させる観点からも大変重要です。
政府としては、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の趣旨も踏まえ、女性候補者の割合が高まるよう、各政党に対する自主的な取組の要請、国や地方議会における女性議員の数の見える化や女性議員の比率向上の好事例の広報などを着実に進めてまいります。
旧統一教会による被害の救済等についてお尋ねがありました。
被害者救済について、法テラスにおける電話相談からの弁護団への紹介や、民事保全申立てに際しての援助など、被害者に寄り添って適切に対応するとともに、海外への送金については、外為法の規制の履行状況等について、情報収集、分析に努めてまいります。
このように、政府としては、旧統一教会の資産状況を注視しつつ、速やかに被害者の救済が図られるよう、現行法上のあらゆる制度を活用し、被害者救済のために最大限取り組んでまいります。
また、自民党においても被害者救済の実効性確保について御検討いただいていると承知をしており、この経過も注視してまいりたいと思います。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣武見敬三君登壇〕