岸田文雄の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 石井啓一議員の御質問にお答えいたします。
国民への還元の具体策についてお尋ねがありました。
特に所得税減税についてお尋ねがありましたが、国民への還元の具体化に向けては、明日二十六日、政府与党政策懇談会を開催し、与党の税制調査会における早急な検討を指示いたします。
デフレ脱却のための一時的な措置として、国民の可処分所得を直接的に下支えし、物価高による国民の御負担を緩和したいと考えています。その際、過去二年のコロナ禍における税収の増収分の一部を分かりやすく国民に還元できればと考えております。
また、物価高に最も切実に苦しんでおられる低所得者の方々の不安に配慮し、寄り添った対応を図ることが極めて重要です。多くの自治体において、この夏以降、低所得者世帯に対して、一世帯当たり三万円を目安に支援を開始してきました。この物価高対策のための重点支援地方交付金の枠組みを追加的に拡大することといたします。
エネルギー価格の上昇については、九月には、年内の緊急措置として、リッター百七十五円をガソリン価格の実質的な上限とするため、補助を拡大しました。この措置を、電気・ガス料金の激変緩和措置と併せて来年春まで継続いたします。また、地方自治体が地域の実情に応じてきめ細かく生活者や事業者を支援できるよう、先ほど申し上げた枠組み以外の重点支援地方交付金を追加いたします。
このような物価高を乗り越えるための施策を経済対策に盛り込み、実行してまいります。
次期報酬改定における物価高騰や賃金上昇への対応についてお尋ねがありました。
令和六年度は、診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬の同時改定が行われる大きな節目の年に当たります。
物価高騰については、国民生活やなりわいを物価高から守る観点から、経済対策において、燃料油価格や電気・ガス料金の激変緩和措置を講ずるとともに、厳しい状況にある生活者、事業者の方々を引き続きしっかりと支えるための措置として、重点支援地方交付金の追加を検討してまいります。
賃上げについては、岸田政権は、公定価格の見直しを掲げ、これまで累次の処遇改善を講じています。引き続き、ICT機器の活用による生産性向上の取組や経営の協働化等を通じた職場環境改善に加え、同時改定に向けても、高齢化等による事業者の収益の増加等が処遇改善に構造的につながる仕組みを構築してまいります。
構造的賃上げ実現に向けた人への投資の取組についてお尋ねがありました。
岸田政権においては、成長と分配が持続的に回り、物価上昇を十分に超える持続的賃上げが行われる経済を目指していきます。
このため、三位一体の労働市場改革など、生産性を引き上げる構造的な改革を進める中で、非正規雇用労働者が働きながら学びやすい職業訓練の実施や正社員化に取り組む事業者への支援、実践的なデジタル人材育成を含め、リスキリングによる能力向上支援など、人への投資拡大に取り組んでまいります。
物流二〇二四年問題への対応についてお尋ねがありました。
物流二〇二四年問題に向けては、政府として、本年六月に、商慣行の見直し、物流の効率化、荷主、消費者の行動変容を柱とする物流革新に向けた政策パッケージを策定いたしました。このうち、特に緊急的に取り組む対策については、今月六日に物流革新緊急パッケージとして取りまとめ、経済対策に盛り込みます。
これにより、再配達率半減に向けて、ポイント還元を通じ消費者の行動変容を促すとともに、モーダルシフトや省人化、省力化などの物流効率化の取組を支援してまいります。また、賃上げ原資確保のための適正な運賃収受を図る措置や、荷主に荷待ち時間削減等の取組を義務づける措置の法制化にも取り組み、政府全体で、産業界とも連携して、持続可能な物流の実現に全力を尽くしてまいります。
GX投資の加速等についてお尋ねがありました。
成長と分配の好循環を実現する上で、GXなど、これからの成長分野への積極的な投資を促進すること、これが重要です。
御指摘の、電動車の普及と充電インフラの整備、半導体や蓄電池の国内サプライチェーン強靱化に向けた生産拠点整備や研究開発、また、子育て世帯等による省エネ性能の高い住宅の新築や既存住宅における断熱窓への改修等については、いずれも重要な取組であり、今後取りまとめる経済対策において、必要な支援策をしっかりと盛り込む方向で検討してまいります。
子育て支援の抜本強化についてお尋ねがありました。
前例のない規模で政策強化を図ったこども未来戦略方針のスピード感ある実行のため、当面の集中的な取組に必要な制度設計を速やかに具体化し、できるところから取組を実施してまいります。
また、当面の集中的な取組の財源については、まずは徹底した歳出改革等を行い、その効果を活用しながら、国民に実質的な追加負担を生じさせないことを目指すこととしており、国民の皆様に丁寧に説明してまいります。
また、今後、こども大綱の中で具体化する、一人親家庭への支援を含む子供の貧困対策、ヤングケアラー、障害児、医療的ケア児に関する支援策については、今後の予算編成過程において施策の拡充を図ることとしております。引き続き、こども大綱の策定に向けて、支援策の具体化を進めてまいります。
奨学金返還の負担軽減についてお尋ねがありました。
政府においては、これまでも、無利子奨学金の拡充をするとともに、厳しい経済状況などで奨学金の返還が困難な方については、返還の猶予や毎月の返還額の減額をする制度などにより、負担軽減を図ってまいりました。
さらに、令和六年度から、返還中の方がライフイベントを踏まえて柔軟に返還できるよう、減額返還制度を見直します。今後、返還中の方への周知のほか、高校生やその保護者等にも情報が行き渡るよう、奨学金の各種案内やSNS、高校教員向けの説明資料等に掲載することにより、制度の周知を図ってまいります。
地方公共団体による奨学金返還支援や企業による奨学金の代理返還については、返還手続のデジタル化による事務処理の簡素化に取り組んでおり、今後、税制上のメリット等も含め改めて周知し、全国での利用拡大に努めてまいります。
いわゆるDBS法案や、子供、若者への性犯罪、性暴力対策についてお尋ねがありました。
性犯罪、性暴力は重大な人権侵害であり、あってはならないことです。政府として、こども・若者の性被害防止のための緊急対策パッケージに基づく対策を加速化してまいります。
その上で、子供の性被害を防止する法制度については、与党とも緊密に連携をしつつ、子供の性被害防止のため、より実効的な制度となるよう検討を深めている段階であり、次期通常国会以降、できるだけ早い時期に法案を提出できるよう努めてまいります。
女性活躍や高齢者活躍への取組についてお尋ねがありました。
女性活躍に向けては、女性の就業率が上昇する中、更年期障害への対応を含む、仕事と女性の健康課題の両立が課題となっています。
更年期障害など女性の健康課題に対しては、事業主健診の問診項目の充実や、体調不良の際に利用できる休暇制度を導入する企業事例の紹介、テクノロジーを用いて課題に取り組むフェムテックの活用等に取り組んでいます。
また、高齢者活躍については、企業における雇用、就業機会の確保、ハローワークによる再就職支援に取り組むほか、シルバー人材センターにおいて就業機会の提供を行っているところです。
御指摘の高齢社会対策大綱の見直しの検討も含め、経済社会情勢の変化等も踏まえつつ、女性や高齢者など全ての人が生き生きと活躍できる環境整備に向けて、施策の更なる充実を図ってまいります。
認知症施策の推進についてお尋ねがありました。
認知症基本法の基本理念に沿って、認知症の方が尊厳と希望を持って暮らすことができる社会の実現に向け、認知症の方御本人や御家族等の意向を十分に踏まえつつ、都道府県等に対する認知症施策推進計画の策定支援など、総合的に認知症施策を推進してまいります。
また、アルツハイマー病の新薬であるレカネマブの新薬承認等を踏まえ、必要な早期発見、検査、医療サービス等が提供される体制整備や、治療薬の更なる研究開発を進めてまいります。
帯状疱疹ワクチンの定期接種化についてお尋ねがありました。
帯状疱疹については、加齢に伴い罹患率が高くなるほか、合併症により苦しむ患者もおられると承知しており、高齢化が進む我が国において、対応することが必要な疾患であると認識しています。
ワクチンを定期接種に位置づけることについては、厚生労働省の審議会において、最新の科学的知見や費用対効果等の様々な論点について、専門的な見地から御議論いただいているところです。その結果を踏まえて必要な対応を検討してまいります。
SDGs達成に向けた我が国の取組についてお尋ねがありました。
本年はSDGs達成に向けた中間年ですが、地球規模課題が複雑化、深刻化するとともに、新型コロナによるパンデミックや、ロシアによるウクライナ侵略に端を発する食料危機等の影響などもあり、SDGs達成に向けた進捗には大幅な遅れが生じています。
こうした中で、今、改めて、誰一人取り残さないというSDGsの原点に立ち返り、人間の尊厳が守られる世界を実現するべく、我が国を含む国際社会全体でSDGs達成に向けた努力を加速していく必要があります。
本年九月に開催されたSDGサミットにおいても、私からこうした考えを強調するとともに、低所得国、脆弱国への支援を含め、我が国として、国際社会のSDGs達成に向けた取組を力強く牽引していくとの決意を述べたところであります。
本年末には、日本政府として、SDGs実施指針を新しい時代に合わせたものに改定する予定です。その中で、現状打開のために、新しい資本主義の下での人への投資や、地球規模の主要課題への取組の強化などの対策を盛り込むことを考えています。我が国として、引き続き、国際社会全体でSDGs達成に向けた取組を主導していく所存です。
北朝鮮の偵察衛星が与える影響及び北朝鮮への対応についてお尋ねがありました。
北朝鮮が核・ミサイル戦力の増強を継続する中、仮に偵察衛星を保有するに至った場合、北朝鮮の核、ミサイルの運用能力は更に向上し、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を一層脅かすおそれがあります。
このため、米国、韓国等と緊密に連携しつつ、北朝鮮に対し、挑発行動の中止と関連する国連安保理決議の遵守を求めるとともに、国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、我が国の防衛に万全を期してまいります。
防災・減災、国土強靱化についてお尋ねがありました。
激甚化、頻発化する災害に対応するため、防災・減災、国土強靱化に対応する対策を着実に進めてまいります。五か年加速化対策等の対策箇所では、全国各地で被害を抑制する効果が着実に積み上がる一方、対策が急がれる箇所も数多く残っています。
このため、今回の経済対策において、国土強靱化、防災・減災など国民の安全、安心の確保を柱とし、ハード、ソフト両面から事前防災対策に取り組みます。
さらに、さきの通常国会で改正された国土強靱化基本法によって、五か年加速化対策後も、切れ目なく、中長期的な対策と事業規模の見通しを持って取組を進めていく法的な枠組みが措置されたことを受けて、施策の実施状況の調査など、実施中期計画の策定に向けた作業を進めてまいります。
ALPS処理水関係の風評払拭と福島復興についてお尋ねがありました。
ALPS処理水の海洋放出に関する風評払拭に向けては、御指摘のとおり、透明性の高い情報発信が重要であり、モニタリング結果も含め、引き続き、国内外に積極的に情報発信をしてまいります。
また、一部の国による輸入規制強化を踏まえ、国内水産業を守るため、総額一千七億円の政策パッケージを取りまとめ、国内消費拡大や代替輸出先、販路拡大、国内加工の設備強化支援などに取り組んでおり、今後も、御指摘の施設整備支援なども含め、必要に応じて機動的に予算の確保を行ってまいります。
また、帰還困難区域において、帰還意向のある住民の方々全員が一日も早く帰還できるよう、特定帰還居住区域制度に基づき、除染やインフラ整備を始めとする避難指示解除の取組を進めてまいります。
将来的に帰還困難区域の全てについて避難指示を解除し、復興再生に責任を持って取り組むとの決意の下、政府一丸となって全力を尽くしてまいります。
マイナンバーの問題について、対策についてお尋ねがありました。
マイナンバー情報総点検については、個別データの点検により、原則、本年十一月末までをめどに終えるよう、点検実施機関を支援し、政府を挙げて対応してまいります。
あわせて、ヒューマンエラーによるひもづけ誤りの再発防止対策として登録事務に係る横断的なガイドラインを今月策定したほか、迅速なインシデント対応を行うため、デジタル庁を司令塔として、府省を横断した連携体制を構築しております。
デジタル社会における公的基盤であるマイナンバー制度に対する国民の信頼を回復し、全ての国民が安心してデジタル化の恩恵を享受できるよう、利用者起点のデジタル行財政改革に、政府、自治体、関係機関が一丸となって取り組んでまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇〕