岸田文雄の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 志位和夫議員の御質問にお答えいたします。
 現下のイスラエル・パレスチナ情勢における我が国の対応についてお尋ねがありました。
 我が国は、ハマス等のテロ攻撃を断固として非難した上で、人質の即時解放、一般市民の安全確保、全ての当事者が国際法を踏まえて行動すること、また、事態の早期鎮静化、これらを一貫して求めてきています。
 イスラエルに対しても、上川外務大臣からコーヘン・イスラエル外相に対し事態の早期鎮静化を働きかけたほか、辻外務副大臣から駐日イスラエル大使に対し、一般市民の保護の重要性、国際人道法に則した対応、人道支援活動を可能とする環境の確保等の協力を要請いたしました。
 また、パレスチナとの間でも、上川外務大臣がマーリキー外務・移民庁長官と電話会談を行い、カイロにおけるアッバース大統領との意見交換も行い、引き続き事態の早期鎮静化に向けて取り組んでいくことを確認するなど、様々なやり取りを行ってきております。
 日本としては、こうした関係を生かし、引き続き、刻々と動く現地情勢に応じつつ、イスラエル及びパレスチナを含む関係国や関係者等との間で意思疎通を行い、在留邦人の安全確保に万全を期しながら、事態の早期鎮静化や人道状況の改善に向けた外交努力を積極的に続けてまいります。
 経済政策の切替えの必要性についてお尋ねがありました。
 我が国では、一九九〇年代のバブル崩壊以降、長引くデフレ等を背景に、他国に比べて低い経済成長が続き、企業は賃金を抑制し、消費者も将来不安などから消費を抑制した結果、需要が低迷し、デフレが継続する、こうした悪循環にあったと承知しており、こうした中で賃金が伸び悩んだと考えております。
 しっかりと成長を実現した上で、成長の果実を国民に分配することで所得の向上につなげていく。こうした令和版所得倍増を始めとする新しい資本主義の官民連携による二年間の取組が、三十年ぶりの三・五八%の賃上げ、過去最大規模の名目百兆円の設備投資、五十兆円ものGDPギャップの解消など、前向きな兆しにつながったものであると認識をしています。
 こうして、三十年ぶりに新たな経済ステージに移行できる大きなチャンスが巡ってきました。このチャンスをつかみ取り、低物価、低賃金、低成長のコストカット型経済から、持続的な賃上げや活発な投資が牽引する成長型経済への変革を実現してまいります。
 このため、今回の総合経済対策は、デフレ脱却のための供給力の強化と、物価高によりデフレに後戻りしない一時的な措置としての国民への還元、これを車の両輪として取りまとめてまいります。
 最低賃金についてお尋ねがありました。
 最低賃金については、我が国と諸外国では最低賃金の適用対象となる労働者の範囲などが異なり、その水準を単純に比較することはできませんが、最低賃金法で定める、労働者の生計費等を考慮し、公労使三者構成の最低賃金審議会での議論を踏まえて決定されています。
 今後も着実に引上げを行っていくため、引き続き、最低賃金審議会で毎年の賃上げ額についてしっかりと議論をいただき、その積み上げによって、二〇三〇年代半ばまでに全国加重平均が千五百円となることを目指していきます。
 内部留保への課税については、二重課税に当たるとの指摘があることから、慎重な検討が必要であると考えておりますが、中小企業における賃上げ実現に向けては、省力化投資など生産性を引き上げる構造的な改革や、賃上げ費用の価格転嫁対策等を進めてまいります。
 非正規雇用労働者の処遇や包括的な保護立法についてお尋ねがありました。
 特に女性に多い非正規雇用労働者について、所得の向上や男女間格差の是正を図っていくことは重要な課題であると考えています。このため、非正規雇用労働者の正社員化に取り組む事業主への支援を講ずるとともに、同一労働同一賃金の遵守徹底を図ってまいります。
 また、不合理な待遇差の解消、男女の均等な待遇の確保など、非正規雇用労働者の雇用安定を確保するための措置については、パート・有期雇用労働法、男女雇用機会均等法など、それぞれの法律において規定しているところであり、引き続き、これらの法律の趣旨、目的に沿って、適正な運用、これを図ってまいります。
 消費税減税についてお尋ねがありました。
 物価高対策としては、エネルギー、食料品といった分野に重点を置きながらきめ細やかな対応を行ってきており、特に、家計への影響が大きい低所得世帯に対し、重層的な支援策を切れ目なく講じてきました。さらに、今般、過去二年のコロナ禍における税収の増収分の一部を国民に還元し、物価高による国民の負担を緩和することとしており、こうした対策によって物価高から国民生活を守り抜きます。
 その上で、消費税については、急速な高齢化等に伴い社会保障給付費が大きく増加する中で、全ての世代が広く公平に分かち合う観点から、社会保障の財源として位置づけられており、その税率を引き下げることは考えておりません。
 また、インボイス制度は、複数税率の下で課税の適正性を確保するために必要な制度であり、これを廃止することも考えておりません。
 年金制度についてお尋ねがありました。
 年金制度については、前年の物価等の変動に応じて年金額を改定することを基本としながら、将来世代の負担が過重にならないように、マクロ経済スライド等により、長期的な給付と負担のバランスを確保することで、将来にわたって持続可能な仕組みとしており、今後とも、この仕組みの下で年金を着実に支給してまいります。
 高等教育費の負担軽減について、幾つかの御提案をいただきました。
 高等教育の無償化については、低所得世帯を対象に、授業料等の減免と給付型奨学金の支給を併せて実施してきたところであり、さらに、令和六年度から、多子世帯や理工農系の学生等の中間層へ対象を拡大いたします。
 これに加えて、多子世帯の学生等に対する授業料等の減免について、執行状況や財源等を踏まえつつ、対象年収の拡大も含め更なる支援拡充を検討し、年末までに具体化を進めてまいります。
 また、貸与型奨学金の返還については、返還の猶予や毎月の返還額を減額する制度などにより支援を行ってきたところであり、令和六年度から、この減額返還制度の年収要件を緩和し、更なる負担軽減を図ってまいります。
 常設の統合司令部と日米の指揮関係についてお尋ねがありました。
 国家防衛戦略等において、自衛隊の統合運用の実効性を強化するため、陸海空自衛隊の一元的な指揮を行う常設の統合司令部を速やかに創設することとしております。
 その上で、自衛隊と米軍の関係については、自衛隊による全ての活動は、我が国の主体的な判断の下、日本国憲法、国内法令等に従って行われており、自衛隊及び米軍はそれぞれ独立した指揮系統に従って行動することから、自衛隊が米軍の指揮下に入るということはありません。
 日米同盟の抑止力の強化と東アジア外交についてお尋ねがありました。
 日本を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、いかなる事態においても日本国民の生命財産を守り抜くためには、我が国防衛力の強化と併せ、日米同盟の抑止力、対処力を高めることが必要不可欠です。
 さらに、日米同盟は、現在、インド太平洋地域と国際社会の平和と安定の礎の役割を果たすに至っており、日米両国は、自由で開かれたインド太平洋、FOIPというビジョンを踏まえつつ、望ましい安全保障環境の創出に共に取り組んでいます。
 その上で、我が国は、ASEANが提唱するインド太平洋に関するASEANアウトルック、AOIPを一貫して強く支持しているほか、御指摘の東アジア首脳会議については、米中も含む各国首脳が率直な対話を行う重要なフォーラムであると認識をしております。
 日米同盟など抑止力、対処力の向上と、地域における包摂的な対話の枠組みは、互いに矛盾するものではなく、日米同盟の抑止力、対処力を強化することで、厳しさを増す地域の安全保障上の課題に的確に対応し、自由で開かれたインド太平洋地域を擁護していくとともに、AOIPに示されているような、地域の平和と繁栄の確保と増進に向けた取組を推進してまいります。
 普天間飛行場の辺野古移設についてお尋ねがありました。
 世界で最も危険と言われる普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは、絶対に避けなければなりません。これは、地元の皆様との共通認識であると思っております。
 辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づき着実に工事を進めていくことが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながると考えております。
 引き続き、地元の皆様への丁寧な説明を行いながら、全力で取り組んでまいります。(拍手)

発言情報

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発言者: 岸田文雄

speaker_id: 6324

日付: 2023-10-25

院: 衆議院

会議名: 本会議