金村龍那の発言 (本会議)
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○金村龍那君 日本維新の会の金村龍那です。
会派を代表し、今回の国立大学法人法の改正案を通じて、日本の高等教育の未来をどう描いていくのか、議論させていただきたいと思います。(拍手)
二〇〇〇年代、英国の教育専門誌にて世界大学ランキング十位前後を推移していた東京大学も、近年は四十位前後と評価が低迷。九月二十七日に発表されたランキングでは二十九位に盛り返したようですが、欧米の大学の背中が遠い、そして、中国やシンガポールの大学にも引き離される状況が続いています。
今回の法改正で加わる運営方針会議は、低迷する日本の大学に潤沢な研究費を供給するために設けられた十兆円ファンドから資金を受け取る大学が必ず設置すべき会議体とのことですが、まずは、国立大学を世界の中でどのような存在にしていきたいのか、大臣の見解を求めます。
次に、運営方針会議ですが、この会議を設けたところで、果たして本当に機能するのでしょうか。
国立大学には、これまでの逐次の改革で、半数以上の学外者で構成される経営協議会や、教育研究評議会のほか、理事会、役員会や学長選考・監察会議の設置も義務づけられています。ガバナンス強化のために運営方針会議を新設するようですが、屋上屋を重ねる行為であり、かえって大学のガバナンスを混乱させるのではないかと危惧します。運営方針会議を構成する外部人材よりも、内部人材がガバナンスに関与することの方がよほど重要だと思います。
また、今回の法改正では運営方針会議の設置大学を特定国立大学と区分するようですが、既に指定国立大学という区分もあり、名称もあやふやなため、とても分かりにくい。果たしてこれでよいのでしょうか。
もう一点、ネーミングについてです。
東京医科歯科大学と東京工業大学が合併してできる大学は、東京科学大学という名称になるようです。この名称を否定するものではありませんが、どうしてこの名称になったのか、経緯を教えてください。英語ではインスティテュート・オブ・サイエンス・トーキョー、略称はISTになるかと思います。科学大学の科学は化学ともかぶります。この名称の大学でまさか医学や土木工学が学べると、高校生が思いつくのでしょうか。
こちらも十兆円ファンドの候補校ですが、国際的にも印象強い、分かりやすい、また忘れられない名称にするという観点からは、英語のインスティテュート・オブ・サイエンス・トーキョーを校名にすることはできないでしょうか。私が高校生であれば、大学名に興味を持って検索し、こんな大学があるのかと強く印象に残ります。新規ブランド立ち上げの際に用いられる手法ですが、英語表記を公式名称とする案について、大臣の見解を求めます。
自分たちにとって都合のよい名づけをするのは内向き思考に感じてしまいます。名は体を表すといいますが、組織のありように目を向け、戦略的なネーミングをお願いしたいと思います。
先ほど、経営協議会や教育研究評議会といった既存の会議が既に多くある点について触れました。
世界に伍する大学をつくるためには、学長がリーダーシップを発揮できる体制にする一方で、権限集中による混乱が生じないように、チェック体制を設けることが必要です。
今回の法改正で加わる運営方針会議は、果たして既存の会議と役割分担ができるのでしょうか。特に、経営協議会は半数以上が既に外部人材であり、運営方針会議と役割がかぶってしまうように思います。DXによる省力化に取り組む中、新たな会議体を増やすことは、手順やコストを増やし、負担増とガバナンスの混乱につながりかねません。既存の経営協議会等でも運営方針会議の役割を担えると思いますが、大臣の見解をお聞かせください。
次に、運営方針会議の構成メンバーについてですが、メンバーには、中期目標の企画管理に関わったグローバルな社会変革に対応できる人材、海外大学で運営計画に関わったことがある人材が求められると聞きました。非常に高度な人材を求める一方で、それに見合った報酬が支払えるのか、果たしてそのような高度人材を集めることが可能なのか、お答えください。
次に、採択の際の評価基準に関連してお伺いしますが、今回は、東大や京大など十大学が申し込み、東北大学がガバナンス面でも評価されて認定候補となりましたが、そのほかは不採択となりました。特に京大は、ガバナンス体制に問題ありと指摘されましたが、これまでの逐次の改革にかかわらずガバナンスが不十分とは、一体何のための改革だったのか、具体的にどの点に問題があると判断されたのか、お答えください。
繰り返し強調になりますが、屋上屋につくられた会議体が口出しするよりも、現場に近い内部人材が活躍できる環境づくりの方がより重要ではないでしょうか。新たな会議体の設置は、DXで省力化を目指している昨今の動きに逆行するものであり、むしろ手続を煩雑にし、現場の仕事を増やすものと考えます。日本維新の会は、シンプルで分かりやすい社会を目指しています。手続を簡素化し、そして効率的な運営となることを期待します。
さて、初めて十兆円ファンドを受け取る東北大学の企画書を拝見しました。とても細かく、かつ具体的に目標を記載しており、重点成果指数というKPIについて、論文数やスタートアップ数を十年、二十五年といったスパンで何本以上、何社以上にするという具体的な数値が掲げられています。十五項目ほどありましたが、東北大学が世界と戦う上で最も優先すべき指数は何だとお考えでしょうか。
また、新設されたKPIの下、東北大学は具体的にどのような大学になるのか、その上で、世界大学ランキングでは何位を目指しているのか、お聞かせください。
一番身近で世間の注目度も高いのは世界大学ランキングであると考え、先ほどの質問をさせていただきましたが、ノーベル賞受賞者を出す、年収数億円のグローバル企業を何社創設するという目標も考えられます。税金を納めている国民が、何をもって成長し、国際競争力が強化されたと判断するのか。大臣、国民に分かりやすく、特に高校生にも分かるようにお答えください。
高校生にも分かるようにとお願いしたのは、今、高校生にとって大学の選択肢が多過ぎるからです。大学のKPIに触れましたが、大学の分かりやすい人気数値は入試の倍率です。公立高校では、倍率が定員八割を切ると統廃合の対象となっています。大学においては現在そのような基準はありませんが、少子化の世の中でこんなに大学は必要でしょうか。入学希望者数値を基準としたKPIを設け、一定数を割る大学は統廃合の対象として大学数の適正化を図ることはいかがでしょうか。
大学の成長には各大学の課題に合わせた柔軟な組織運営の実現が重要で、検討課題でも、自主裁量を発揮できるよう環境を整備するため規制緩和案が示されたと聞きました。自ら考え、PDCAサイクルを回し、トライ・アンド・エラーの精神でチャレンジを重ねることで成長が促進される。そのためにも、規制緩和は非常に重要であると考えます。
五項目あった提案のうち、今回の法改正では二項目の採用にとどまりましたが、不採用案には、資産運用を主目的とする子会社設置を可能とする案がありました。つまり、大学が会社を通じて、事業投資に限らず、有価証券等の運用で収益を上げることを可能にする案ですが、私は、この案こそ一番大切だと思います。ハーバード大やイエール大は四兆円、三兆円といった規模の基金を有し、運用することで巨額の研究資金を獲得しています。
今回の十兆円ファンドは、海外の大学がやっていることを国レベルで実施しようというものですが、現行法では、余裕金の運用は、株式を除く債券といった安全なものに限られています。これを見直し、大学単位でより積極的な資産運用を可能とするべきであると思いますが、大臣の見解をお聞かせください。また、今後進める予定があるのならば、具体的な時期についてお聞かせください。
規制緩和による大学の収益力強化について触れましたが、関連して、寄附制度についてお聞きします。
今回、大学が集中的に資金を集めることを検討するに当たり、寄附による増収化という案も出ているかと思います。大学卒業後に事業が成功し、資金的な余裕ができたOB、OGが、その収益の一部を大学に還元することで後輩たちの研究環境を充実させる。ハーバード大などもOB、OGから多額の寄附が集まっているようです。しかし、日本ではなかなか集まらない。寄附文化が盛んなアメリカでは、寄附の規模がGDPの二・三%にも上るそうですが、特に高齢者は自分のお金を有効に使ってほしいと考える人も多く、寄附文化が醸成されているようです。
日本も高齢社会を迎える中で、大切な資産を若い世代に有効活用してほしいと考える高齢者が増え、我が国においても寄附文化醸成の機運が高まるのではないかと思うのですが、大臣の見解をお聞かせください。
昨今は宗教法人への多額の寄附が問題になっていますが、教育機関への寄附が促進され、子供や若者が自分の夢を実現できる社会になってほしいと強く願います。
そのためには、環境づくりが必要です。人気のふるさと納税と大学に単に寄附すること、この二つを比べたら、圧倒的にふるさと納税が選ばれると思います。これは、寄附金の税控除の割合が低過ぎることに起因するものです。これでは大学にお金が集まりません。こうした中、出身大学、出身高校への寄附を、ふるさと納税程度まで控除割合を高め、寄附しやすい環境をつくることが考えられます。
大臣、寄附税制の見直しを通じて、大学に寄附しやすい環境をつくるお考えはないか、お答えください。
大学で働く教員や学ぶ学生を社会全体で支え、日本の未来をよりよいものに変えていく、そんな未来にするべく、日本維新の会も積極的に提案をしていきたいと思います。
最後に、十兆円ファンドの可能性についてお伺いします。
このファンドの計画は、十兆円を元手に運用益三%以上を目指し、毎年生まれる利益を二十年単位で大学法人に拠出するとともに、元金のうち財政投融資資金約八・九兆円を二十年かけて国庫に返済し、四十年後には全額返済するものであると認識しています。
一方で、公的年金の積立金を運用するGPIFは、前年度には一・五%、今年度上半期は九%超えの運用益を出していると聞いています。この点、十兆円ファンドはいかがでしょうか。GPIFと同程度の運用は可能でしょうか。また、可能と考えるなら、その根拠をお聞かせください。
今後、十兆円を三十兆円、五十兆円、百兆円と増やしたら、今の十倍の資金が提供可能となり、研究費増と学生の負担軽減が可能になると考えます。ファンドの規模を拡大し、より多くの資金が教育に回れば、日本維新の会が目指す教育の無償化も実現できるのではないかと考えます。
今後、十兆円ファンドの規模を拡大していくお考えはあるのか、お聞かせください。
大阪では、国に先駆けて、令和六年度より高校授業料の完全無償化が実現します。子供たちが希望だけを抱き、進学先を選択できる社会、これは何も特別ではなく、政治が決断すれば実行できることを私たちは示しました。
子供たちが将来に思いをはせたとき、未来はもっと明るいんだ、自分たちで未来を切り開いていくんだと強く自らを信じるためには、教育の充実なくして実現はいたしません。
私たち日本維新の会は、国の礎は教育にありを体現するためにも、教育の無償化の実現を強く求め、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣盛山正仁君登壇〕