泉健太の発言 (本会議)

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○泉健太君 立憲民主党の泉健太です。
 私は、立憲民主党・無所属を代表し、ただいま議題となりました岸田内閣不信任決議案の提案の趣旨を述べます。(拍手)
 まず、決議案文を朗読いたします。
  本院は、岸田内閣を信任せず。
   右決議する。
    〔拍手〕
以上です。
 自民党派閥の多額のパーティー券収入の収支報告書不記載問題、いわゆる派閥裏金問題は、現在、判明分だけでも、各派の収入と支出の不記載額を合わせ十億円を超えるという前代未聞の一大不祥事となり、東京地検特捜部が捜査を進めています。先ほどは、自民党の萩生田政調会長が辞意を表明したようであります。
 この自民党の不祥事は、政界に、そして社会全体に衝撃を与えています。議場の皆様、全国の皆様、政界は今こそ自浄作用を働かせなければなりません。裏金を今後なくせばいいということではないのです。この際、私たちは、政界から裏金議員を一掃せねばなりません。
 しかし、この一大不祥事の状況にあっても、自民党総裁である岸田総理からはほとんど危機感が感じられません。
 松野博一官房長官や西村康稔経産大臣に、説明責任を果たすよう総理から強く指示をするどころか、総理自身の答弁が、精査し適切に対応、捜査に影響と、はぐらかしの連続であります。総理自身が取った行動も、自身の派閥会長離脱、当面の派閥パーティー自粛、派閥忘年会、新年会の自粛という危機意識の低い内容でありました。
 裏金への関与が疑われる党所属議員にまで、なぜか一致結束を強調していますが、何に向けた一致結束なのでしょうか。余計なことを話さぬよう、情報を漏らさぬよう、口をつぐむための一致結束の呼びかけでしょうか。そして、党本部では、不信任案に対して粛々と否決との方針を固めたようであります。
 総理、自民党が、そして派閥が、前代未聞の一大不祥事を起こしたという自覚が欠けているのではないでしょうか。この危機意識の乏しさ、危機管理能力のなさは致命的ではないでしょうか。このような内閣に危機管理ができるとは到底思えません。
 今年九月に内閣改造を行った際の五十四名の副大臣、政務官に、女性は何とゼロでありました。その上、適材適所と断言をした政務三役から、教育をつかさどる山田文科政務官が女性問題で、法をつかさどる柿沢法務副大臣が選挙違反で、財政をつかさどる神田財務副大臣が税金の滞納で、続けて辞任いたしました。既に、適材適所も崩壊している。岸田内閣は、もはや機能不全ではないでしょうか。
 政策面でも、次々の失政、選択の失敗を続けています。
 以下、改めて岸田内閣不信任の理由を申し述べます。
 まず、経済政策です。
 岸田総理が政権運営してきたこの二年半、消費者物価は上昇を続けてきました。政府、日銀は、アベノミクスに縛られ、低金利を続けざるを得ず、結果、日米に大きな金利差が生じ、それが円安につながっています。この岸田政権下での円安政策によって、輸入物価は急騰。賃金が幾分伸びても、それ以上に食料品の物価上昇は激しく、国民生活を苦しめ続けています。
 しかし、総理が今般策定した経済対策は、デフレ完全脱却と銘打ったものでありました。国民が物価上昇に苦しんでいるにもかかわらず、いまだ現状をデフレと捉え、物価を更に上昇させようというのでは、国民の願いとは真っ向反するのではないでしょうか。国民の声を聞く力さえ失った総理に、政権を任せることはできません。
 そして、この昨年以上の物価上昇を踏まえ、総理は、本来であれば、今年夏の終わり頃には経済対策を策定すべきでした。しかし、待てど暮らせど経済対策の指示は出されず、結局、策定は、秋も深まる十一月二日にまで後ろ倒しとなりました。物価対策、経済対策の策定が遅くなり、その結果、国会審議も遅れ、例えば給付金は、年内の給付完了ができなくなってしまったのであります。
 食料品の値上げは昨年を上回り三万二千点以上、年を越すのが大変という世帯が相次ぐ現在の物価上昇、なのに給付金は年内に届けられません。これ自体、岸田内閣の大きな失政ではないでしょうか。この経済対策の失政も、岸田内閣を信任しない第一の理由であります。
 不信任の第二の理由は、岸田内閣において財政への考え方が崩壊し、財政民主主義が壊れるのを看過できないからであります。
 補正予算の本来の意味、原則が崩れています。財政法第二十九条では緊要性が規定されているのに、今回の補正予算には、次年度概算要求から横滑りした予算や、年度内執行に適さない基金の新たな造成、積み増しが四・三兆円に上るなど、明らかに緊要性を欠く内容が含まれました。
 予備費に至っては、賃上げ促進環境整備対応予備費という、総理自身が予算委員会でも全く説明できない項目が追加をされ、骨太方針で財政出動を平時に戻すと決めたにもかかわらず、言行不一致の補正予算となりました。このまま岸田内閣が続けば、財政民主主義が崩壊するのではないでしょうか。このように予備費を好き勝手に扱う政権は、岸田政権が最もひどい政権であると考えます。
 また、今年から、従来は補正予算の財源だった決算剰余金の半分が防衛財源に回されます。実は、その影響で、結局、赤字国債の発行も膨らんでおります。これこそ防衛費ロンダリングではないでしょうか。この仕組みも岸田政権が始めたものであります。
 立憲民主党は、このような岸田内閣のむちゃくちゃな補正予算の撤回を求め、我が党のまとめた真に必要な緊急経済対策の実行と追加の公債発行の取りやめなどを組み込んだ、予算の編成替え動議を提出いたしましたが、否決をされました。
 財政を破壊する岸田政権は退陣をすべきだと考えます。
 続いて、第三の理由は、この派閥裏金問題と並び国民の不評を買った、突然の所得税、住民税減税にあるのではないでしょうか。いわゆる還元、選挙目当て減税、人気取り減税を強引に進めたことであります。
 総理には、予算委員会などで、適切な政策の選択として、今年の物価対策としては来年六月以降の所得税、住民税減税は余りに遅過ぎる、このことを指摘してまいりました。給付の方がもっと早く可能で国民が助かる、給付の方が行政システムの構築や手続も簡単、さらには、経済効果でいえば、まだ消費税減税の方が確実、こう指摘をしてまいりました。しかし、総理は、一度選挙目的のために口にしてしまった所得税、住民税減税にこだわり続け、この国民のために選択すべきではない政策を進めてしまったのであります。
 総理は、既に冷静さを失い、正しい政策を選択する能力をも失っております。それが不信任の第三の理由です。
 第四の理由は、既に総理が聞く力を失い、当たり前の判断ができなくなっているからです。
 二つの事例を申し上げます。
 まず一つ目、現行の健康保険証の存続を認めず、来年秋の廃止を進めていることです。
 マイナ保険証は、他人の情報のひもづけや医療情報の漏えい、請求の誤りなど、トラブルが相次いでいます。国民は、このカードを持ち歩き、使用することに大きな不安を感じており、現在の利用率は国民全体のたった五%未満です。こうした状況で、来年秋の健康保険証の廃止方針の撤回、延期を望む声は七割を超えました。しかし、総理は、この声も聞こうとしません。
 立憲民主党は、来年秋の健康保険証廃止を延期し、一定条件が整うまで今の健康保険証を存続させるという法案を提出いたしましたが、岸田政権は審議入りすら認めませんでした。そして、昨日、再度総理は、今の健康保険証廃止の、来年秋廃止の方針を明言したのであります。国民の声を無視する岸田内閣は、全く信任できません。
 もう一つは、国民生活が物価高で苦しむ中で、岸田内閣が、今国会、まず先にと、総理や大臣など特別職の給与引上げ法案を提案してきたことであります。
 総理は、岸田内閣は、率先垂範の意味を間違っているんじゃないでしょうか。国民の声は、まず庶民の、生活者の給与を上げてほしいということであります。
 立憲民主党は、現在のこの物価高に鑑み、そして労働者の賃上げのために、自衛隊員の初任給など公務員一般の給与引上げについては必要だと考え、当然賛成をいたしましたが、特別職の給与引上げは不要と判断し、反対をいたしました。少なくとも、実質賃金がいまだマイナスという状況の中で、まず特別職の給与を引き上げるということは必要ありません。この国民感覚とかけ離れた岸田内閣の姿勢は大変問題であります。
 結局、総理や閣僚は自主返納ということになり、自民党も公明党も、この国会議員増額分についても受け取らずに、何らか寄附などの対応をすると言っているではありませんか。ならば、そもそも増額する必要はないじゃないですか。
 立憲民主党も、こうして与党が決めた増額に対しては、今年の増額分全額を社会福祉や困窮者支援、国際人道支援に寄附させていただきます。
 このような法案を平気で提出する政権、判断力が著しく低下をしている岸田政権は、当然、信任に値をいたしません。
 そして、改めて第五の理由、岸田内閣が正当性を失っている最大の問題、派閥パーティーの裏金問題です。
 総理、松野官房長官は、もはや答弁能力を失い、壊れたレコードのように同じ言葉を繰り返すだけになっています。ほかの仕事も進んでいないのではないでしょうか。一千万円以上の不記載と還流、何に使ったかも分からない、そんな疑惑を持たれている人物が内閣官房長官を続けています。日本の政治は、こんなにも低レベルであってよいはずはありません。
 昨日、官房長官不信任案に自民党、公明党議員が反対をし、否決となったのは驚くべきことであります。国民の皆様もあきれているんじゃないでしょうか。
 現在、閣内でも、分かっているだけで、松野博一官房長官一千万円以上、西村康稔経産大臣数十万円、そして党幹部では、これも分かっているだけでありますが、橋本聖子元オリンピック担当大臣約二千万円、高木毅国対委員長一千万円以上、塩谷立元文科大臣一千万円未満、萩生田光一政調会長一千万未満、さらに、幹部以外でも、大野泰正参議院議員五千万以上、谷川弥一衆議院議員四千万円以上、池田佳隆衆議院議員三千二百万円以上など、不記載と裏金化が疑われている議員が次々と現れております。
 この裏金疑惑、自民党の各派に拡大をしています。総理、これが事実ならば、完全に違法ではないでしょうか。不記載で懐に入れているならば、それは脱税ではないでしょうか。岸田総理、改めて、反省、そして、真相解明に向けた明確な意思を持っていただくべきだと思います。
 この数百万、数千万などという大規模な不記載、裏金化、還流。現在名前が挙がっている議員の皆さん、そして名前は挙がっていないが認識があるという皆さん、これは一線を越えた行為です。渡ってはいけない橋を渡ってしまっているんです。ほかの議員もやっていた、知らなかった、ミスだったでは済まされません。そのような言い訳は許されないのです。
 どうか、政治家としての最後の誇り、良心、矜持を持っているならば、保身と隠蔽、言い訳に走らず、役職だけではなく、自ら議員辞職をなされてはいかがでしょうか。そして、捜査に全面協力すべきです。
 それぞれ積み上げてきた政治キャリアもあるんでしょう。しかし、やってはいけないことをしてしまったならば、それは認めねばなりません。自覚がある方には、是非、自ら身を処していただきたい。そうした議員が出てくることを願ってやみません。
 連立を構成する公明党の皆さん、公明党の前身、公明政治連盟の第一回全国大会における当時の池田会長の挨拶には、偉くなったからといって、大衆から遊離して、孤立したり、また組織の上にあぐらをかいたりするような政治家には絶対になっていただきたくないのであります、大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に入り切って、大衆の中に死んでいっていただきたいという言葉があります。
 また、現在の公明党の綱領には、高い志と社会的正義感、モラル性、強い公的責任感、そして民衆への献身、これこそ公明党議員が身上とすべき特質と記されております。
 そのような公明党の皆様が、裏金疑惑のある自民党議員を、裏金の温床となっている派閥に属する自民党議員を、本当に選挙で応援してよいのでしょうか。支持者は、大衆は、本当にそのような自民党議員の応援を望んでいるのでしょうか。是非、立党の精神に照らし、お考えいただけないでしょうか。
 自民党は、今、法の規制を乗り越え裏金をつくるという体質を抱えています。このような体質を有する岸田内閣には、もはや正当性はありません。
 政治資金規正法は、政治活動を行う全ての者にとって共通のルールブックであります。その第二条、基本理念にはこう書いてあります。政治団体は、その責任を自覚し、その政治資金の収受に当たっては、いやしくも国民の疑念を招くことのないように、この法律に基づいて公明正大に行わなければならないと。裏金疑惑は、この政治資金規正法に真っ向から反する行為ではないでしょうか。
 今、岸田政権は、複数の党幹部を交代させ、内閣改造を行おうとしていますが、今後は裏金に一切関与していない議員のみで組閣をするのは当然のことであります。果たして、本当に新任の閣僚や党幹部は大丈夫なんでしょうか。本当は組閣不能、政権運営不能な状態なのではないでしょうか。
 ところで、閣内からの安倍派一掃、これまた意味不明なやり方ではないでしょうか。裏金疑惑を否定している政務三役までを一掃するというのであれば、それはどのような理由、どのような原則に基づくものなんでしょうか。
 総理は、今年三月八日、福島県で中学生から、なぜ総理を目指したのかと聞かれ、権限の一番大きい人ということでと答えました。また、二〇一九年には、総理になって一番に何をしたいのかとテレビ番組で問われ、人事と答えました。さすがにそれだけのことはあって、総理は、この危機的状況の中で、裏金議員の一掃よりも安倍派の一掃を画策しているようであります。
 このようなときに派閥抗争とはあきれるばかりですが、総理、パーティー収入の大規模不記載を理由に安倍派を閣内から一掃しようとしていたら、今度は、総理の出身派閥、宏池会からも、数千万円の派閥パーティー資金不記載の報道が出てきたというではないですか。総理、林芳正氏を新たに官房長官に任命するという報道もございますが、宏池会はなぜ入閣できるのでしょうか。宏池会の閣僚は、一掃しなくてよいのでしょうか。
 この際、派閥だけではない、その集合体の自民党そのものも解体、政権を野党に禅譲してはいかがでしょうか。そして自民党は、この際、下野するべきであります。
 もし自民党が下野をするということであれば、立憲民主党は、人へ、未来へ、真っ当な政治へ、各党のクリーンな議員とともに、公正かつオープンな新政権を発足させます。新政権では、企業・団体献金の廃止を実現いたします。いわゆる文書通信費の完全公開と残額返納を実現し、教育の無償化など、国民生活に寄り添った政策を強力に推進いたします。
 この本会議が始まる前、野党各党の国対委員長会談が開かれ、この不信任決議案に対して、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党、そして有志の会、れいわ新選組、各党各会派の皆様が、この内閣不信任決議案に賛同の意を表明してくださいました。心から感謝を申し上げます。
 裏金に一切関与していない自民党、公明党議員の皆さん、心あるならば、堂々と、この際、造反をし、この不信任案に賛成をしてください。
 今や岸田内閣は、行動も政策も、右往左往し、支離滅裂であります。自民党、岸田内閣の責任は極めて重大。一刻も早く内閣総辞職を求めます。そして、それをせぬというのなら、衆議院を解散し、国民に信を問うていただきたい。立憲民主党は堂々と解散・総選挙を受けて立つ、そのことを申し上げ、本決議案の趣旨弁明といたします。(拍手)
    ―――――――――――――

発言情報

speech_id: 121205254X01220231213_006

発言者: 泉健太

speaker_id: 34622

日付: 2023-12-13

院: 衆議院

会議名: 本会議