伊藤信太郎の発言 (環境委員会)

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○国務大臣(伊藤信太郎君) 環境大臣及び原子力防災を担当する内閣府特命担当大臣の伊藤信太郎でございます。
 第二百十二回国会における参議院環境委員会の御審議に先立ち、環境政策及び原子力防災に関する私の考えを申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願いいたします。
 まず、東日本大震災、原発事故からの復興再生の推進について申し上げます。
 私は、これまでも東日本大震災復興特別委員長等の立場で被災地を何度も訪問してまいりました。そして、環境大臣に就任後に最優先で福島県及び各町村を訪問し、内堀知事や各町村長の皆様と面会しました。福島県の現状や復興に向けた課題を直接お伺いし、環境大臣として、福島の復興再生に全力で取り組んでいく決意を新たにしました。
 本年は、富岡町、浪江町、飯舘村の特定復興再生拠点の区域において避難指示が解除され、福島の復興に向けてまた一歩前進した年となりました。環境省として、ふるさとに戻りたいという御意向のある住民の方々の帰還に向けて、さきの国会で成立した改正福島特措法に基づき、特定帰還居住区域における除染や家屋等の解体を着実に実施してまいります。
 また、国としての約束かつ責務である福島県内除去土壌等の県外最終処分についても、技術的な検討や全国での理解醸成等の取組を着実に進めてまいります。
 さらに、住民の不安解消や風評払拭を図るため、放射線健康管理やALPS処理水に係る海域環境モニタリング等を実施するとともに、福島の産業、町、暮らしの創生に向けた福島再生・未来志向プロジェクトにより、脱炭素を基軸とした事業創出等を推進してまいります。
 次に、ネイチャーポジティブの達成に向けた取組について申し上げます。
 生物多様性を基礎として成り立つ自然資本は、水や食料を始めとする資源の供給源であり、二〇三〇年までに生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せるというネイチャーポジティブ、自然再興の達成は、我が国の経済社会の基盤となる最も重要な課題の一つです。
 環境省は、生物多様性国家戦略に基づき、二〇三〇年までに陸、海の三〇%以上を保全する目標、いわゆるサーティー・バイ・サーティー目標の実現を目指し、国立・国定公園の新規指定等の推進とともに、民間の自主的な取組によって生物多様性が保全されている場所を自然共生サイトに認定する取組を推進します。先月には、森林や里地里山、都市の緑地、沿岸域など、百二十二か所を自然共生サイトに認定することを決定し、今年中に百か所認定という目標も早々に達成いたしました。非常に多くの企業等から強い関心が示されており、このようなネイチャーポジティブ元年とも言える状況も追い風にして、民間活動を促進する法制度の検討、ネイチャーポジティブを実現する経済に移行するための戦略策定等を進めてまいります。また、国立公園における滞在体験の魅力向上の取組などを進めることにより、地域が活性化され、自然環境の保全へ再投資される保護と利用の好循環を実現します。
 ネットゼロの実現に向けた取組について申し上げます。
 我が国は、二〇五〇年温室効果ガス排出実質ゼロ、いわゆるネットゼロに向け、二〇三〇年度四六%削減、さらに五〇%の高みに向けた挑戦の継続を表明しています。この目標の実現に向け、環境省は、地域、暮らしの脱炭素化を実現するべく、地域と共生する再生可能エネルギーの普及を加速するとともに、脱炭素先行地域や脱炭素の基盤となる重点対策の全国実施を通じて地域課題の解決に貢献します。加えて、株式会社脱炭素化支援機構による資金供給を通じた民間投資の拡大等により、GX社会実装を後押ししてまいります。
 また、新たな国民運動、デコ活を通じた行動変容、ライフスタイル転換の促進により、脱炭素型の製品等の需要を喚起するとともに、ZEH、ZEB化の支援や窓の断熱改修等による住宅、建築物の脱炭素化の推進、商用車の電動化等により、豊かな暮らしづくりを強力に進めてまいります。
 サーキュラーエコノミーへの移行に向けた取組について申し上げます。
 資源循環と成長の好循環を目指す循環経済、いわゆるサーキュラーエコノミーへの移行は、資源の採掘から加工、廃棄に至るライフサイクル全体の脱炭素化にもつながるものであり、ネットゼロの実現においても要となるとともに、産業競争力の強化や経済安全保障にも資するものです。現在検討を進めている次期循環型社会形成推進基本計画においては、地方創生の観点も踏まえ、サーキュラーエコノミー政策を中長期的に重要な柱として位置付けてまいります。
 また、製造業などの動脈産業と廃棄物処理などの静脈産業の連携による資源循環市場の創出を支援する制度を検討してまいります。さらに、プラスチックや金属の資源循環の推進等により、サーキュラーエコノミー関連ビジネスの市場規模を現在の約五十兆円から二〇三〇年までに八十兆円以上に拡大することを目指します。加えて、新たな国民運動、デコ活とも連携しながら、食品ロス削減やサステナブルファッションの推進、紙おむつの再生利用等の普及を促進するとともに、太陽光パネルの廃棄増加に備えた対応の検討を進めます。あわせて、持続可能で強靱な廃棄物処理体制を構築すべく、災害廃棄物対策の体制整備、一般廃棄物処理施設や浄化槽の整備等を進めてまいります。
 環境外交について申し上げます。
 本年四月に開催されたG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合においては、二〇四〇年までに追加的なプラスチック汚染をゼロにする野心や、G7ネイチャーポジティブ経済アライアンスの立ち上げ、循環経済及び資源効率性の原則等が合意されるなど、多くの成果が得られました。私は、このレガシーを受け継ぐとともに、外務副大臣としての経験やこれまで培った人脈も生かしながら、今月末から開催される国連気候変動枠組条約のCOP28やプラスチック汚染に関する条約交渉等において主導的な役割を果たしてまいります。
 世界全体のネットゼロにも大きく貢献してまいります。
 二国間クレジット制度、いわゆるJCMについては、二〇三〇年度までの累積一億トン程度の国際的な排出削減、吸収量の確保を目指し、実施体制を強化します。あわせて、本年四月に立ち上げたパリ協定六条実施パートナーシップセンターを通じ、市場メカニズムに関する各国の体制整備や知見の共有等を支援することで、質の高い炭素市場の構築に貢献してまいります。特に、地球規模でのネットゼロの鍵を握るのがアジア諸国です。アジア・ゼロエミッション共同体構想の下、多様なニーズを踏まえた実効的な協力を推進します。
 次に、環境省の原点である人の命と健康を守る基盤的な取組について申し上げます。
 水俣病を始めとする公害健康被害対策や石綿健康被害者の救済、子供の健康に影響を与える環境要因を解明するエコチル調査に引き続き真摯に取り組みます。また、さきの通常国会で改正された気候変動適応法に基づく熱中症対策や、関係閣僚会議の下で政府が一体となって取り組む花粉症対策、河川や地下水から検出され関係自治体や地元住民から不安の声が上がっている有機フッ素化合物、いわゆるPFAS対策を推進するほか、来年度から環境省に移管される水道の水質、衛生の管理に取り組むことで、国民の安全、安心を確保してまいります。加えて、ヒアリ等の外来種対策や鳥獣保護管理の着実な実施、希少種保全や動物愛護管理等にも取り組んでまいります。
 以上申し述べました我が国が直面する数々の社会課題に対しては、課題ごとの個別対応ではなく、政府の多様な政策と環境政策の統合や、ネイチャーポジティブ、ネットゼロ、サーキュラーエコノミーという環境政策間の統合による統合的アプローチが有効です。この考え方の下、地域循環共生圏の構築やデコ活を通じ、社会の仕組みやライフスタイルの変革を目指すとともに、今後の政府全体の環境政策に関するグランドデザインを示すものとなる新たな環境基本計画の策定に取り組みます。
 原子力防災等について申し上げます。
 万が一の原子力発電所の事故に対応するための備えに終わりや完璧はありません。東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓をしっかり胸に刻み、今後も安全神話にとらわれることなく、内閣府特命担当大臣として、関係自治体等と一体となり、各地域での防災訓練等を通じて、地域防災計画、避難計画の継続的な充実強化等を図り、原子力災害対応の実効性向上に取り組んでまいります。
 また、原子力規制委員会が独立性の高い三条委員会として科学的、技術的見地から公正中立な立場で規制を進められるよう、環境大臣として予算及び体制面でサポートします。
 環境問題は、個人、地域、国、地球が同心円の問題であり、個人の行動変容の集積が地球全体の未来につながるものだと考えています。国民一人一人のより良い暮らしの実現、地域の活性化、そして地球全体の未来を守ること、これらの同時達成に全力を挙げて取り組んでまいります。
 以上、環境大臣及び原子力防災担当の内閣府特命大臣として、当面の取組の一端を申し上げました。
 三原委員長を始め、理事、委員の各位におかれましては、今後とも、環境行政及び原子力防災の一層の推進のため、御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 五ページ目の挨拶の部分で環境と申し上げるところを健康と申し上げましたので、訂正させていただきます。申し訳ありませんでした。

発言情報

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発言者: 伊藤信太郎

speaker_id: 3302

日付: 2023-11-07

院: 参議院

会議名: 環境委員会