太組一朗の発言 (厚生労働委員会)

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○参考人(太組一朗君) ありがとうございます。一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会の太組一朗でございます。
 本日は、このような意見陳述の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 カンナビノイドとは、大麻草に含まれる化学物質の総称であります。私どもは、カンナビノイドに関する臨床的及び基礎的研究の促進、発展に寄与するとともに、この分野の教育と普及に努め、国民の健康と福祉の向上に貢献することを目的といたします学術団体であります。
 私は、現在、聖マリアンナ医科大学で脳神経外科医として外科治療等を必要とする難治てんかん患者さんと大変数多くお付き合いいただいておりまして、神奈川県におけるてんかん診療拠点病院の運営にも長く携わっております。この一方で、令和二年度には、大麻由来医薬品治験の厚生労働科学研究の研究班長として分担研究者らとともに研究報告書を作成いたしました。
 本日は、大麻由来医薬品の国内開発を一貫して推進してまいりました医学界の立場から、本改正法案につきましての賛成の立場で若干の意見を申し述べさせていただきたいと思います。
 私どもの最新研究成果によれば、我が国のてんかん有病率は〇・六%であります。我が国には、そういたしますと、八十万人ないし百万人のてんかん患者さんがおられることになります。大変よくお薬が効く方もおられますし、私が専門とする外科医療を御提供することで幸せな生活を取り戻しておられる患者さんも数多くおられる。しかしながら、依然として、その一方で、てんかん患者さんの三〇%程度は治療抵抗性てんかんであります。私たち医学者は何としても新しい治療法を開発したいと日々努力をいたしながらも、どうしても発作抑制を御提供できない方がおられた、そういった現状でございます。
 このような薬剤治療、外科治療等を組み合わせた、標準治療と申しますが、標準治療によっても対抗できない難しいてんかんの一部において、大麻草から製造された医薬品が大変よく効く患者さんがあります。
 最近の流れにおきましては、二〇一四年の症例報告に引き続きまして、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、結節性硬化症などの疾患において、複数の二重盲検下ランダム比較試験及びオープンラベル試験が発表されました。その結果、当該医薬品が米国FDAで二〇一八年に認可された、これ本当に、ちょうど五年前でございます、大変大きな衝撃でありました。
 一方、当該医薬品におきましては、現在に至るまで、国内では大麻取締法により施用できない、このような状況が続いております。お薬ですので、もちろん万能なお薬など世の中には存在いたしません。しかしながら、大麻由来医薬品も例外ではありませんが、このお薬を必要とする方が国の中におられるならば、法律の壁によってお薬をお届けできないという状況を何とか是正していただきたいと、このように考えました。
 二〇一九年三月には、本委員会の理事でもいらっしゃる秋野公造参議院議員に対して、大麻由来医薬品の開発要望を書面で提出いたしました。秋野議員により、二〇一九年三月、通常国会の中で質疑をいただき、厚生労働省から治験は可能である、このような御答弁をいただいたところであります。ここが大麻取締法を改正に導く重要な転換点の始まりであるというふうに考えております。
 今回の法改正のきっかけは、お薬の開発に道を開いていただきたいという私どもの原初の要望を国会で丁寧に御議論いただいたところが始まりであるというふうに思います。医療を、そして医薬品を開拓せねばならないということが出発点である、このことを強調させていただきたいと思います。
 あわせまして、私ども学会といたしましては、カンナビノイドの医療や健康増進を強力に推進しております。その一方で、健康被害につながる娯楽用途での使用や乱用は推進していないということを明確に申し上げておきたいと思います。医療、健康での普及とは全く相入れない考えでございます。
 その後、随分議論が進んだ後に、部位規制から成分規制とし、大麻を麻薬成分に位置付けるということで、大麻取締法による規制の枠組みを麻薬及び向精神薬取締法に移すということがだんだん分かってまいりました。この進化は医薬品開発を見据えたものであり、依存症の方に必要な医療を講ずることに法的根拠を持たせるということからも、この枠組み変更についても全面的に賛成でございます。
 大麻由来医薬品の治験は現在順調に進んでおります。治験終了いたしますと、法改正が整っているならば、お薬として直ちに使うことができるようになります。お薬の開発議論の中では、これまでは反対意見というのは一度も聞いたこともございませんので、恐らく皆様、御賛同くださっていると信じております。
 ここで、少し違う視点でのお話をさせていただきます。
 本年七月にオーストラリアのてんかん患者会から、日本てんかん学会を経由して、オーストラリアの在住の患者さんが、オーストラリアで医師から処方を受けている大麻由来医薬品、これを正規の手続により携帯訪日したいという情報が私どもの元に寄せられました。これ、厚生労働省の先生方に、皆様に大変一緒に丁寧に対応いただきまして、そして皆様と一緒に精査をしてみると、オーストラリアの処方箋医薬品である当該医薬品は我が国における法律上の大麻には該当しないというようなことが判明いたしまして、この方の携帯入国が無事実現いたしました。オーストラリアのてんかん患者会からは感謝状を寄せていただいたところであります。
 この事案からも分かりますように、他国で大麻由来医薬品として処方されているものであっても、我が国では法律上の大麻に該当しないものがあります。現在、日本では、法律上の大麻に該当せず食品衛生法で規定されているカンナビノイド製品がございます。いわゆるCBD製品というものでございます。そして、このカンナビノイド製品により正しくQOLの向上を目指し、生活に役立てておられる方々が数多くおられます。
 私ども研究グループでも、国内で入手なカンナビノイド製品により難治てんかん患者が上手にQOLの向上につなげ、発作なく幸せな生活を獲得された症例を英文誌に報告いたしました。これ、お手元の資料七番でございます。
 たくさんの患者さんがカンナビノイド製品による優れたQOL向上を教えに来てくれました。大田原症候群でいらっしゃるあんちゃん、のんちゃん、えいちゃん、カンナビノイド製品を上手に役立てて、今や発作がない生活を送っているということを教えてくださいました。ウエスト症候群のかれんちゃん、脳梁離断という手術を受けながら発作残存しておられたところを、カンナビノイド製品を上手に使って、発作なく健康的に毎年成長している姿を見せに来てくださいます。先ほど御案内のオーストラリアから来日されたカイアちゃん、彼女は部分てんかんでいらっしゃいます。
 こういった皆様は、現在治験中のお薬の対象疾患ではございません。しかしながら、私どもは、このような方々も含めて、難しい病気に悩んでおられる皆様をこれからも大切にしたいというふうに考えております。
 国は、本年八月三十一日、一部のカンナビノイドを薬機法上の規制物質に指定いたしました。その一方で、先ほどのあんちゃんは、規制物質によるTHCVを微量に含んだ製品によらなければ優れた効果が出ないという、こういった状態でありました。患者さんたちからは、私ども学会にこれからどうすればいいのかと御相談をいただきました。
 そこで、本年九月の二十七日、秋野議員の御案内の下に、浜地雅一厚生労働副大臣にお願いに参りました。そういたしましたところ、浜地副大臣からは、これを患者が使えなくなることがあってはならないと大変力強い御見識をいただきました。大変有り難く存じました。薬機法上の規制物質であっても正規の用途が認められるならば、国は個人使用を認め得ると御判断いただいたものであります。
 この件につきましては、私ども学会においても、カンナビノイド医療適正使用判定委員会を、内部委員八名、外部委員七名の先生方に参画いただいて構成し、これからの方策を厚生労働省とともに検討している段階であります。カンナビノイドの成分別の正規用途をこれからも研究いたしてまいります。
 そして、浜地副大臣の御判断から分かる国の考え方がもう一つあります。それは、QOL向上を目的としたカンナビノイド製品使用の事実を是認していることでありまして、この点を是非皆様に御承知いただきたいと思います。
 私ども専門家は、全ての患者さんを俯瞰し得る立場にあります。私ども学会としましては、大麻由来医薬品を必要とする患者さん方とカンナビノイド製品をお使いになる方々の両方が、正規の用途に基づいてそれぞれを正しく使い、誰も不当な差別を受けず、自ら差別をつくり出すこともなく、安心して両者を使用できることを願い、正しい知識の普及と啓発活動をいたしてまいります。
 白血病で亡くなられたゆうと君、病院でカンナビノイド製品の使用を禁止され、入院治療が継続できなかったんだそうです。いつか、カンナビノイドが僕を助けてくれることを分かってもらえる活動をしたいとおっしゃっていたんだそうです。ゆうと君のお父さんは、お怒りになることもなく、ただただ涙ながらにそのことを教えてくださいました。
 ゆうと君の御遺志を踏まえて、学会ではこれからも、学術的研究成果を背景に、患者さんたちを支えているお医者さんに対する教育啓発活動をいたしてまいります。
 不正な使用を行わないとの啓発も重要であります。我が国では、初等中等教育で培ってきた一次予防の普及政策を行った結果、薬物の生涯経験率を格段に低く抑えてきたこと、これは大変高く評価いたすべき世界に誇る大変重要な事実であります。日本の一次予防政策は間違っていないと思います。私どもの学会でも丁寧な議論がなされたところです。抑止を備えた一次予防を二次予防、三次予防につなぎ、我が国独自の背景を基に、一層の力を入れることが極めて大切だと思います。
 薬物依存症対策というのは、何も大麻、麻薬に限ったものではございませんで、御存じのとおり、市販薬から覚醒剤までを含めた全ての薬物問題に共通する問題であります。本法改正後には、薬物依存症全体を見据えた現代的な治療、そして社会復帰プログラムへの充実に向けた包括的な御支援と未来志向の議論の場を設けていただくことを政府にお願いをしたいと思います。
 私は、学会理事長として、どのような立場の議論も徹底的に行うべしとしております。大麻の不正使用に罰則を設けることに賛成できないという考えがありました。しかしながら、今回の大麻の規制が部位規制から成分規制に移行することにより、これから天然THCと合成THCを同等に規制する中において、仮に法律上の罰則規定をちゅうちょするならば、我が国では、大麻は、ひいては麻薬は不正に使っても罰せられないということになり、これは何としても回避しなければならないというふうに考えています。
 今回の改正法案で大麻を麻薬に位置付けることにより、大麻には医療用途という正規の用途が認められ、麻薬の正規用途に一本化をされます。麻薬の一つとして、その乱用の抑止を期待して正規の用途以外の大麻の不正な所持、使用を禁止することは、医薬品開発の上では必須のプロセスです。何より、麻薬として明確に位置付けることで、大麻の医療目的での使用が可能になり、国民の皆様のための新しい治療法開発への道が開かれるというふうに考えております。
 正しい普及啓発が必要であると申し上げたところでございますが、受け止めていただく側も、正しく御理解をいただけるようにお心掛けいただきたいというふうにお願いをしたいと存じます。立法府に身を置かれる国会議員の皆様におかれましては、資料もございますけれども、本改正法案の立法の趣旨並びに過程を正しく御理解いただきたく、専門家として強くお願いをいたすものでございます。
 我が国における大麻由来医薬品開発はまさに始まったばかりであります。治験が無事終了し保険収載に至るまで、無事故で進んでくれることを願っております。
 今回の法改正がなされましたら、その次の段階としては、医療の中でこのお薬を必要とする、より多くの患者さんの元に一日も早くお薬をお届けできますよう、適応拡大に次ぐ適応拡大を目指した治験開拓に全力を傾ける所存でございます。
 これと同時に、大麻由来医薬品開発が整うまでの間、カンナビノイド製品を使っている皆様を御支援申し上げ、決して差別を行わないような教育啓発活動に邁進したいというふうに思います。
 皆様には、大麻由来医薬品を必要とする患者さん方と、カンナビノイド製品を必要とする方々の両方を大切にお考えいただきたいと思います。我が国でカンナビノイド製品を賢く使っている方々に教えていただく、そういったことの中から、新しい日本独自の創薬、お薬を作ることに道が開かれてまいります。国産のお薬の創薬も是非やっていただきたいと思います。このお薬の持つ高い可能性が、より多くのてんかん患者さん、そしててんかん以外の疾患に適応が広がっていき、一人でも多くの方を助けてくれるようになることを願っております。
 国民の皆様には、この現状を知ろうとすることを努力いただくことにより、熱い応援をいただきたいと思います。
 政府におかれましては、今回の法律改正を行い、お薬を必要とする患者さんに一日も早く届けていただきたいと思います。そして、しっかりと、そして慎重かつ丁寧に運用いただきたいと思います。
 私の意見陳述は以上です。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 太組一朗

speaker_id: 8566

日付: 2023-11-30

院: 参議院

会議名: 厚生労働委員会