岸田文雄の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 世耕弘成議員の御質問にお答えいたします。
 政権の置かれている状況についてお尋ねがありました。
 政権発足から二年、ロシアによるウクライナ侵略、新型コロナとの闘いなど、何十年に一度と言われる事案に次々と直面する中で、防衛力の抜本的強化、エネルギー政策の転換、次元の異なる子ども・子育て政策を始め、先送りできない課題に一つ一つ挑戦をし、結果をお示ししてきました。
 しかし、課題は山積しています。足下で最も先送りできない課題は、何といっても経済です。長年染み付いたデフレの悪循環による停滞に苦しんできた日本経済。この二年間、新しい資本主義の下で、賃金と投資に官民で重点的、重点を置いて様々な政策を進め、ようやく明るい兆しも見えてきました。そこに、世界的なエネルギー・食料危機や為替の影響も受けて、国民の皆さんにおかれては、賃金が十分上がらない、物価が高い、このことに苦しんでいます。
 これにしっかり対応しなければならない、これが今、岸田政権の使命と思い定め、今回の所信表明演説において、経済、経済、経済と、繰り返し何度も経済に重点を置いていくことを訴えさせていただきました。物価高を始め国民が直面する課題に、先送りせず、必ず答えを出す、この覚悟を持って取り組んでまいります。
 そして、リーダーの在り方についてお尋ねがありました。
 経済、社会、外交、安全保障、いずれの分野においても大きな変化の時代を迎える中、リーダーには、変化の足音、これをしっかりと伝え、目指すべき将来像に向けて強い意思を持って政策を実現していく姿勢を示していくことが重要だと私も考えます。自らがそのように振る舞えているか、これ常に省みつつ、変化の流れを酌み取り、明日は今日より良くなると信じられる時代を実現する、このことを明確にお誓いし、有言実行を貫いてまいりたいと考えます。
 そして、言葉の重みと、この発信の在り方についてお尋ねがありました。
 国民への還元との言葉が分かりにくいとの御指摘については、今後その内容を具体化させる段階で、デフレからの脱却を実現できる三十年ぶりの千載一遇のチャンスを逃さない、そのためにも、デフレ脱却を確実なものにする一時的な措置として、国民の可処分所得を直接的に下支えし、物価高による国民の負担を緩和するといった私の考え方をしっかり伝えてまいります。変化の流れをつかむため、また変化の足音を国民の皆さんにお伝えするため、これまでも、自ら決断し、国民の皆さんに直接発信することを心掛けてきましたが、本国会でも経済政策や物価対策を中心にしっかりと議論を重ね、国民の皆さんに丁寧に説明してまいりたいと考えます。
 そして、GDPギャップを踏まえた経済財政運営についてお尋ねがありました。
 我が国の経済状況は、三十年来続いてきたデフレを脱却できる千載一遇のチャンスを迎えているとはいえ、需要面では、賃金上昇が物価に追い付いておらず、放置すれば再びデフレに戻りかねない。また、供給面では、潜在成長率が三十年来のコストカット型経済の下での低成長の結果、ゼロ%台半ばの低い水準にとどまるということ、これらに留意する必要があります。
 このような認識の下、今回の総合経済対策では、デフレ脱却のための供給力の強化と、物価高によりデフレに後戻りしないための一時的な措置としての国民への還元、この二つを車の両輪として取りまとめます。
 私の経済財政運営の基本は、経済あっての財政です。デフレを脱却し、新たな経済ステージに移っていけるかが財政にとっても重要であり、経済の立て直し、そして財政健全化に取り組んでまいります。
 そして、潜在成長率に向け、潜在成長率を引き上げるための民間設備投資についてお尋ねがありました。
 潜在成長率に影響を与える要因は様々であり、民間設備投資額の影響を一概に申し上げることは困難ですが、G7諸国と比較しても、我が国では資本ストックが伸び悩み、老朽化が進んでいます。この背景には、バブル崩壊後、我が国の企業がコストカット最優先の対応を続け、投資を抑制したことが挙げられます。このことが、資本と生産性の両面で潜在成長率の伸び悩みの一因になってきたものと考えられます。そのため、新規の投資や既存設備の更新等を通じて質、量共に資本ストックのレベルを引き上げていくこと、これが重要だと考えます。
 今般の経済対策でも、半導体や脱炭素のような安全保障に関係する大型投資を始め、特に二年から三年以内に供給力強化に資する施策に支援措置を集中させ、変革期間の呼び水といたします。
 さらに、戦略物資について、初期投資だけでなく投資全体の予見可能性を向上させる過去に例のない投資減税、人手不足に苦しむ中堅・中小企業の省力化投資に対する補助制度を始め抜本的な供給力強化のための措置を講じてまいります。
 そして、経済対策の規模についてお尋ねがありました。
 我が国の経済状況は、三十年来続いてきたデフレを脱却できる千載一遇のチャンスを迎えているとはいえ、先ほど申し上げました需給面、あっ、需要面、そして供給面、それぞれで留意する点があります。
 このような認識の下、今回の総合経済対策は、デフレ脱却のための供給力強化と物価高によりデフレに後戻りしないための一時的な措置としての国民への還元、これを車の両輪として取りまとめてまいります。
 そして、規模については、規模はこうした政策の積み上げの結果であり、我が国経済がデフレから脱却し、新しい経済ステージに確実に移行するため、効果的な政策をしっかり積み上げて規模を決定してまいります。
 そして、日本が強みを持つ産業分野の中長期的戦略等についてお尋ねがありました。
 成長型経済への変革に向けて思い切った供給力の強化を進めるに当たって、御指摘のとおり、自動車や半導体製造装置、水素関連技術など、我が国の強みを踏まえた対応が重要です。
 今般の経済対策において、こうした分野での大型投資を始め供給力強化に資する施策に戦略的に支援措置を集中させてまいります。
 そして、サプライチェーン強靱化に向けた産業政策についてお尋ねがありました。
 高い環境負荷などによるサプライチェーンは、高い環境負荷などによるサプライチェーンは公正ではなく、信頼性のある形でサプライチェーンの強靱化を進めること、これが重要です。
 具体的には、国内外において信頼性の高いサプライチェーンで生産された物資を優先的に取り扱うことを促進するなど、公正な市場、事業環境の整備に取り組んでまいりたいと考えます。
 そして、セキュリティークリアランス及びライドシェアについてお尋ねがありました。
 岸田政権では、防衛力の抜本的強化、エネルギー政策の転換を始め、この先送りできない課題に一つ一つ挑戦をしてまいりました。
 そして、御指摘のセキュリティークリアランスについては、経済安全保障分野の情報保全強化の観点から非常に重要であると考え、本年二月には有識者会議を設置し、制度設計に必要な議論をしていただいており、同会議での議論を踏まえ、次期通常国会における法案提出に向けて準備を進めてまいります。
 そして、ライドシェアについては、デジタル行財政改革会議の下での議論が開始されたところであり、地域交通の担い手不足、移動の足の不足といった深刻な社会課題に対応しつつライドシェアの課題に取り組み、早急に方向性、出してまいります。
 今後とも、国民が直面する課題に先送りせず答えを出す、この覚悟を持って政策に取り組んでまいります。
 そして、現下の中東情勢の事態鎮静化に向けた我が国の外交努力についてお尋ねがありました。
 我が国は、ハマス等のテロ攻撃を断固として非難した上で、一つは人質の即時解放、一般市民の安全確保、二つ目として全ての当事者が国際法を踏まえて行動すること、三つ目として事態の早期鎮静化、これらを一貫して求めてきています。
 私自身、周辺各国や欧州首脳との電話会談等において、このような日本の立場を説明するとともに、ガザ地区の人道状況改善や事態鎮静化に向けた協力を確認してきており、先般開催されたカイロ平和サミットにおいては、出席した上川外務大臣からも我が国の立場を発信をいたしました。
 また、昨日、ガザ地区の人道支援のため、日本政府として一千万ドルの緊急無償資金協力、これを実施することを決定をいたしました。
 中東の平和と安定は、日本を含む国際社会の平和と繁栄に必要不可欠です。世耕議員御指摘のとおり、日本はこれまで独自の取組を通じて中東各国と良好な関係を築いてきました。そうした我が国外交資産の土台の上で、刻々と動く現地情勢を踏まえつつ、関係国との間で緊密な意思疎通を図り、在留邦人の安全確保に万全を期しながら、事態の早期鎮静化や人道状況の改善に向けた外交努力、積極的に続けてまいりたいと考えています。
 そして、ウクライナ復興支援についてお尋ねがありました。
 ウクライナ復興支援については、ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であり、G7を始めとする国際社会と緊密に連携をしながらウクライナ支援を強力に推し進めていく必要があります。
 私自身、今年三月にウクライナを訪問し、また、五月にはゼレンスキー大統領が訪日をされました。こうした機会を通じて、私自身、現地ニーズを的確に把握しながら、これまでの知見や経験を生かし、日本ならではの支援を実施していく決意を新たにいたしました。
 震災復興のノウハウや、産業や技術の分厚い基盤を有する日本の官民が連携をし、金融力も生かしてウクライナの復旧復興に貢献をしてまいります。そのために、スタートアップを含む日本企業がリスクを取って独自の技術やサービスを活用し、復旧復興事業に参加できるよう、一〇〇%補助での実証事業の創設など、御指摘のように、政府としてこれまでにない大胆な支援を行っていきたいと考えています。こうした支援を通じて、来年初めに開催予定の日ウクライナ経済復興推進会議においてしっかりと成果を示してまいります。
 そして、最後に世耕議員から、吉田松陰の天下後世を以て己が任と為すべしという言葉を忘れずに職務に当たるよう御指摘をいただきました。吉田松陰は、あわせて、よろしくまず一事より、そして一日より始むるべし、このようにも言っておられます。
 大局観を持って、引き続き国民のために政治に邁進してまいります。(拍手)

発言情報

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発言者: 岸田文雄

speaker_id: 6324

日付: 2023-10-25

院: 参議院

会議名: 本会議