石垣のりこの発言 (本会議)

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○石垣のりこ君 立憲民主・社民の石垣のりこです。
 会派を代表しまして、国家公務員一般職の給与法改正案に賛成、特別職の給与法改正案には反対の立場から討論をいたします。
 憲法第十五条第二項は、全ての公務員は全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではないと定めています。使命感と倫理観及び職務にふさわしい能力をもって国民、日本に住む全ての人々のために職務に当たるべき基本的責務を有する公務員が、生活の不安なく職務を遂行できるに十分な給与が保障されることは、国民生活の維持安定、また質の向上にとっても必要不可欠です。
 しかしながら、特に小泉政権以降の行政改革によって、自治体や省庁では人員削減が著しく、近年はコロナ禍も追い打ちを掛け、現場は非常に疲弊しています。実際、およそ二十年前、小泉改革以降の二〇〇二年度と二〇二二年度を比較しますと、地方公務員の数は三百二十二万人から二百八十万六千人と、およそ一三%の減少、国家公務員に至っては、百十一万四千人から五十八万九千人と、およそ五三%、およそ半数まで大幅に減少しています。
 人口千人当たりの公的部門における職員数の国際比較では、フランスが九十人、イギリスは六十八人、アメリカ六十四人、ドイツが六十人であるのに対し、日本は三十七人です。どのような仕事であれ、作業効率を上げ、生産性を高めることは必要ですが、公務員の仕事は必ずしも生産性や効率性を最優先にできないからこそ、公、行政が担う業務であるはずです。
 岸田総理は所信表明演説で、コストカット経済からの歴史的転換を図ると述べられましたが、行き過ぎたコストカット経済を推し進め、行政の現場を疲弊させてきたのは、まさに岸田総理を生んだ自民党政権であり、まずはその反省から始めるべきではないでしょうか。
 また、政府は声高にデジタル化による行政の効率化を叫びます。しかし、マイナ保険証の混乱に象徴されるように、現場を顧みないデジタル化を推し進めた結果、業務量は減るどころか、むしろ現場に余計な負担を強いているのが実情です。デジタル化が悪いのではありません。一部の業者や関係者だけが過剰な利益を得るような制度設計で進められるデジタル化によって、政府が一部の奉仕者に成り下がり、全体の奉仕者でなくなってしまっているのが問題なのです。
 今後、行政需要はより一層高度化、多様化、複雑化すると予想されており、社会情勢の変化に対応できる優秀で多様な人材の確保がますます必要になります。しかしながら、かつては人気の職業のトップクラスだった公務員は、少子化の影響を考慮しても、公務員受験者数の減少に歯止めが掛かっていません。
 国家公務員総合職において、二〇一二年度に二万五千百十人だった受験者数は二〇二一年度に過去最低の一万七千四百十一人に、コロナ禍の影響から昨年度は一旦増加に転じたものの、今年度は一万八千三百八十六人と低い水準が続いています。
 また、総務省、地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要等によれば、地方公共団体における受験者数は、二〇一一年度のおよそ六十一万九千人から二〇一九年度には四十四万人とおよそ三割減少し、二〇二〇年度に四十六万九千人とやや回復傾向が見られたものの、受験者数の下げ止まりの傾向は、中途採用試験の増加など採用形態の変化によるところが大きいと分析されています。実際、翌二〇二一年度には四十六万五千人と再び減少に転じてしまいました。
 さらに、公務員は、民間企業に比べ離職率こそ低いものの、民間の離職率の変遷が横ばいであるのに対し、公務員は増加傾向にあります。それもそうでしょう。行政文書を捏造したと自らの責任を部下に押し付けるような大臣の下では、真面目な職員であればあるほど職務を継続することが難しくなってしまうことは想像に難くありません。
 こうした逆境ともいうべき現状にあっても、全体の奉仕者として使命感をもって行政を支える自治体や省庁の現場で働く職員の皆さんの給与を民間と同じように引き上げることは当然のことであり、賛成です。そして、本来であるならば、特別職も公務員として全体の奉仕者たることに違いはなく、特別職の給与も同様に上げてしかるべきでありましょう。
 しかしながら、今回、総理大臣を始め政務三役が該当する特別職に関しては異議を申し立てないわけにはまいりません。
 目下の経済状況を鑑みれば、物価の上昇率は第二次オイルショック以来の伸び率を記録、物価高という言葉を耳にしない日はなく、食品を始め生活必需品から電気、ガス、ガソリン代と、今生きるために必要なものがどんどん値上がりしています。
 ところが、物価高対策として政府がようやく示した四万円減税はいつ届くのでしょうか。来年ですか、それとも再来年ですか。そもそも、税増収分を還元するとした減税政策は、財務大臣に増収分は既に支出していると否定される始末です。
 さきの通常国会で数の力任せにさっさと決めた防衛増税は先送り、待ったなしと言っていた少子化対策予算の倍増はおよそ十年後まで先延ばしという無責任ぶりには驚き、あきれます。
 無責任といえば、第二次岸田内閣の政務官一人、副大臣二人が任命から僅か三か月足らずで辞任に追い込まれました。それも、文科大臣政務官は女性問題で、法務副大臣は公選法の問題で、さらに、財務副大臣は税金の滞納です。岸田総理が言い訳がましく繰り返す適材適所は、まるでブラックジョークのようではありませんか。
 本来ならば、大臣であろうとなかろうと、他人の給料が上がることに対して文句を付けるようなことはしたくはございません。しかしながら、他の先進国はおおむね賃金の上昇傾向が続いているにもかかわらず、日本は過去三十年間にわたり一人当たりの賃金はおおむね横ばいで推移するという異常事態が続いています。
 大幅な円安が追い打ちを掛け、若い世代を中心に、海外で仕事をした方が日本の何倍もの収入が得られるということで、こぞって海外に出始めています。こうしたゆゆしき事態を招いてきた現在の最大の責任者は、岸田内閣にほかなりません。
 また、特別職には、二千二十五年日本国際博覧会政府代表、すなわち大阪万博の政府代表も該当します。大阪の万博の予算は、当初の千二百五十億円から一・五倍の千八百五十億円に、そして現在は何と一・九倍の二千三百五十億円まで膨れ上がっています。驚くべきことに、今後更に予算が増える可能性について、政府は否定していません。
 ずさんな見積りで多額の税金を無責任に投入し、国民の身を削りに削る万博の実施に対し、見直しの声は日に日に大きくなっています。このような状況にあって、万博開催の責任者たる政府代表の給与の増額を素直に認めることは難しいと言わざるを得ません。
 ちなみに、とある大阪の自治体では、公務員に無償労働を半ば強要し、ボランティアと称する劣悪な行政慣行がまかり通っています。立憲民主党は、そのような民間では通用しない非常識な労働環境を断じて許容しません。立憲民主党は、徹頭徹尾、働く人の味方です。
 このようなていたらくな行政運営を続けている現岸田内閣を、全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではないと認めることは困難です。真面目に職務に専念している一般の公務員と同等の処遇を受けることに対して、もろ手を挙げて賛成することはできません。
 そして、私たち行政監視の役割を担う野党の国会議員は、このていたらくな現政権を厳しくただしつつ、その政治の責任の一端を担う立場にある者として、今回の議員期末手当の引上げを肯定することもまた控えるべきであると考えます。
 以上の理由から、国家公務員一般職の給与法改正案に賛成、特別職の給与法改正案には反対する次第です。
 他人の給与を上げるなではなく、自分の給与をもっと上げよと声を上げて団結し、互いに賃金アップを実現していく、そうした健全な資本主義社会を実現するために、私たち立憲民主党は今後も働く人の立場に立って仕事をしていくことをお誓い申し上げて、討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 121215254X00520231117_013

発言者: 石垣のりこ

speaker_id: 10953

日付: 2023-11-17

院: 参議院

会議名: 本会議