熊谷裕人の発言 (本会議)

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○熊谷裕人君 立憲民主党の熊谷裕人です。
 立憲民主・社民の会派を代表して、ただいま議題となりました鈴木財務大臣の財政演説に対する質疑を行います。
 大変残念ながら、最初に、岸田内閣の政務三役が本当に適材適所だったのかということを問わなければなりません。
 二か月前に岸田改造内閣が発足して以降、山田文科政務官、柿沢法務副大臣、神田財務副大臣がいずれも不祥事により相次いで辞任しています。さらに、総理がハラスメントを根絶するとして厳しく対応することを表明した防衛省において、防衛政務官のセクハラ報道がされています。一体この不祥事の連鎖はどこまで続くのでしょうか。
 そしてまた、自民党の派閥のパーティー収入の不記載疑惑や、東京オリンピック・パラリンピック誘致の際の官房機密費を流用したとの県知事の暴露発言など、不透明な政治と金の問題がまたぞろ浮上してきています。
 このままでは、岸田内閣だけの問題ではなく、政治全体に対する国民の信頼が大きく損なわれることになるのではないかと心配になります。
 この臨時国会に当たり、総理は、経済、経済、経済と宣言していましたが、蓋を開ければ、辞任、辞任、辞任でありました。このような状況を、私は、残念、残念、残念でなりません。
 総理、岸田内閣の政務三役は本当に適材適所で人事を行ったと胸を張れますか。総理の認識をお尋ねいたします。
 次に、今般の経済対策の目玉と言われている所得税と個人住民税の定額減税について数点伺います。
 今般の総合経済対策によれば、定額減税は、賃金上昇が物価高に追い付いていない国民の負担を緩和するために実施するとされています。しかし、その実施時期は来年の六月からで、今から半年以上も先となっています。その理由を、総理は、ボーナス月である六月であれば、賃上げと定額減税、双方の効果を給与明細において目に見える形で実感することができるなどと説明しています。しかし、国民は今、目の前の物価高に苦しんでいるのです。物価高に対する支援策がこんなにも先の実施で問題ないと、総理は本気でお考えなのでしょうか。総理の認識を改めて伺います。
 この定額減税をめぐっては、知事会が所得減税による地方交付税の減収分を国において補填することを要望するなど、地方の不安は高まっています。総理はさきの予算委員会で地方財政への支障は留意する旨を答弁していますが、個人住民税の減収額と同様に、地方交付税の減収分も全額国費で補填すると明言すべきだと思いますが、総理の見解をお答えください。
 また、総理は同じく、過度な事務負担にも留意する旨を答弁しましたが、実施時期がずれていることもあり、減税と給付だけでも長期にわたって膨大な事務負担が発生しかねません。しかも、住民税非課税世帯には該当しないが、所得が低く定額減税の恩恵を十分受けられない世帯など、減税と給付を組み合わせるケースについては、どのような制度設計にするか、いまだに不明確です。結局、総理が減税にこだわったがために制度は相当複雑化する見通しで、人件費や事務費、システム改修費など、地方自治体が負う実務上のコストが多大となることは想像に難くありません。
 コロナ禍で定額給付金を実施した際には、地方自治体による非常勤職員の取り合いも生じ、現場は相当苦労したと聞いています。これらのコストについても国が責任を持って手当てし、現場の自治体職員のケアも万全にできるようにすべきではないかと考えますが、総理の明確な答弁を求めます。
 我々立憲民主党の緊急経済対策では、家計への直接支援として、中間層を含む全世帯の約六割の世帯を対象とした三万円のインフレ手当の直接給付を掲げています。このように、給付一本で行った方が、行政側の事務負担も少なく、国民にその恩恵が迅速に行き届き、国民にとっても分かりやすいのではないでしょうか。政府の総合経済対策で掲げられているような煩雑で複雑な仕組みにしてまで、なぜ定額減税にこだわっているのでしょうか。その理由について総理からの説明を求めます。
 定額減税をめぐっては、財政に対する政府の無責任な姿勢も際立っています。総理は、定額減税について、過去二年間の税収増を国民に税の形で直接還元すると説明していますが、その減税のための財源はどのように確保するのでしょうか。鈴木財務大臣は、税収増分について、主として政策的経費や国債の償還に既に充てられてきており、仮に減税をしなかった場合と比べた場合には国債の発行額が増加することになると答弁しています。さらに、税収増の還元について、財源論ではなく、税金を御負担いただいている国民にどのような配慮を行うかという観点で講じるものとも発言しています。
 つまり、税収増の還元というのは減税を実施するための理屈にすぎず、実際のところは、単に借金をしてばらまきをしているだけにほかならないのです。財源を確保せずに安易にばらまきを行えば、将来世代の負担は増すばかりです。我が国の国債残高はただでさえ累増し続けているのに、今回の減税分も国債発行で賄うとすれば、いずれ増税という形で負担が返ってくるのではないかと国民は不安に感じるでしょう。そして、国民の心にその不安がある限り、一時的な減税がなされても、減税分の多くは消費ではなく貯蓄に回り、政府が思い描くようなデフレ脱却につながらないのではないでしょうか。
 我々立憲民主党の掲げる緊急経済対策では、その恒久的な財源として、所得税、金融所得課税の累進性強化、日本銀行保有のETFの分配金収入の活用等を、そして、単発の経済対策の財源として、予備費やマイナポイント事業費などの既定経費の減額、基金の余剰金の国庫返納等を挙げ、財源を確保することにしております。
 総理が定額減税にこだわり続けるなら、新たな借金に頼らない財源を確保した上で実施すべきです。この点について、総理の見解を伺います。
 政府は、経済対策において、低賃金などのコストカット経済から三十年ぶりの変革を果たすまたとないチャンスを迎えており、賃金と物価が好循環する新たなステージへの光が差しつつあるとしていますが、本当にそう認識しているのでしょうか。
 ネット上では、増税眼鏡というワードがトレンド入りし、減税うそ眼鏡なるワードも出てきています。私も眼鏡を掛けていますが、私の眼鏡越しには、新たなステージへのかすかな光ではなく、物価高に苦しむ国民の姿がくっきりと見えてきています。総理には眼鏡越しにどんな国民生活が見えているのでしょうか。
 また、今年の春闘では三・五八%の賃上げが実現するなど、確かに賃上げの動きは広がっているようにも思われますが、足下で実質賃金は十八か月連続の対前年同月比減少で、生活は苦しくなる一方であるのが事実です。しかも、所得税は累進構造のため、賃金が上がると一段階高い税率が適用されることになり、賃上げ率も、賃上げ率ほど可処分所得は増加しないケースも間々あります。
 そんな中で、四万円の定額減税を実施しても、可処分所得が増えたという実感が湧かない労働者は相当数に上るのではないかと思われます。しかも、源泉徴収を担う企業側にもシステム改修等の負担が発生し、賃上げの原資を奪ってしまう可能性すらあるのではないでしょうか。結局、この定額減税は、物価高から国民生活を守るためではなく、増税イメージを払拭して総理自らを守るためではないのかと勘ぐりたくもなります。総理の明快な答弁を求めます。
 次に、補正予算の規模及び緊要性について伺います。
 政府は、骨太方針二〇二三において、歳出構造を平時に戻していくとともに、緊急時の財政支出を必要以上に長期化、恒常化させないように取り組むとしました。至極真っ当なことです。ようやく、コロナ禍以降、巨額の補正予算を編成し続けるという、この異常な状態から脱却できるのかと思いました。
 ところが、蓋を開けてみると、結局、経済対策は十七兆円規模で、補正予算は十三兆円規模、そのうち国債の増発額は九兆円近くに上っています。もちろん、現在の物価高に早急に対応する必要があることはそのとおりです。我々立憲民主党の緊急経済対策でも、総額七・六兆円規模の対策が必要としています。
 しかし、今般の補正予算には、マイナンバーカードの取得環境の整備など、緊要性について疑問を覚える項目が幾つも入っています。改めて言うまでもありませんが、補正予算は、財政法第二十九条に規定されているとおり、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出などのために作成できるとされています。本補正予算に計上されたもののうち、当初予算の編成時に予期されず、そして来年度の予算では間に合わないもの、それがどのくらいあるのか疑問です。緊要性の要件はあってもないようなもので、政府の言い訳次第で何とでもなってしまっているのが実態ではないでしょうか。歳出構造を平時に戻していくとしていた骨太方針との記述との整合性について、総理の見解を伺います。
 また、緊要性の疑わしいものが含まれ、規模が膨らんでしまっているのは、財務省の査定にも問題があるのではないでしょうか。例えば、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に係る経費が本補正予算では一兆五千百八十八億円計上されていますが、同経費は長期的計画に基づいて毎年必要となるもので、本来は当初予算で計上すべきものです。
 また、令和六年度当初予算に計上するべきものを補正予算に前倒しして計上したと見られる施策もあります。例えば、馬毛島への空母艦載機移駐等のための事業二千六百八十四億円や国産スタンドオフミサイル及び関連機材の早期整備一千五百二十三億円など、防衛省の六年度概算要求に盛り込まれていた施策であり、当初予算の規模を抑えるための、いわゆる補正回しと認識されます。
 かかる経費の補正予算への計上は、緊要性を補正予算の要件に定めた財政法第二十九条の趣旨を没却するものであり、補正予算への計上は緊要性のある施策に限るべきと考えますが、財務大臣の見解を伺います。
 本補正予算の規模を必要以上に膨らませている大きな要因に、基金もあります。具体的には、次世代半導体に関する基金や特定半導体基金、宇宙戦略基金など、三十一の基金に計四・三兆円に上る基金が造成、積み増しされていますが、こうした中長期的な事業に充てる経費は、本来、当初予算で計上するべきです。
 また、政府自らが行政事業レビューで全ての基金を対象に点検を行う意向を表明しているにもかかわらず、その見直しがなされる前に、更に基金を上積みするのは言語道断です。
 我々も、複数年度にわたり機動的に予算を執行できる基金制度自体の必要性、有効性は理解していますが、基金の新設や積み増しにより補正予算の全体の規模を膨らます手法はやめ、本補正予算で基金に支出される約四・三兆円は今現在の物価高に苦しむ国民の支援のために使用すべきです。総理の答弁を求めます。
 次に、予備費について伺います。
 令和五年度当初予算においては、新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費四兆円、ウクライナ情勢経済緊急対応予備費一兆円の合計五兆円が計上されていました。この二つの予備費については結局一円も使用されず、本補正予算で合わせて二・五兆円が減額され、補正予算の財源とされています。
 振り返ってみると、昨年の令和四年度第二次補正予算では、八・九兆円規模の基金の計上に加え、コロナ予備費及びウクライナ予備費、計四兆七千四百億円の積み増しが行われました。
 この点を、私は、昨年十二月二日の予算委員会において、総理に対し、補正予算で多額の基金や予備費を措置したのは、概算要求に計上した事業を補正予算に前倒しする、いわゆる補正回しにより当初予算に余裕を持たせることや、予備費の使い残しを翌年度に回すことで次年度の当初予算において防衛費増額のための予算を確保するためではないかとただしました。
 総理は否定しましたが、実際は、令和四年度における予備費の不用額は三・八兆円に上り、これが本補正予算で防衛費増額分に充てられる決算剰余金の増加に寄与したことなどを踏まえると、防衛費増額のために予備費等を過剰に計上した疑念は拭えません。
 今回も大規模な補正予算を計上したのは、同様の手法で来年度の当初予算における防衛予算を確保するためなのではないですか。政府には、恣意的に補正予算を膨張させることは直ちにやめるべきと申し上げます。総理の明確な答弁を求めます。
 政府の賃上げ促進税制は、赤字法人が多い中小企業には効果が薄いとの指摘がかねてからありました。なぜなら、法人税を納めていない赤字法人は、資本金一億円以下の中小企業の六一・九%に上り、日本の企業数のほとんどを占める中小企業に恩恵が及ばないため、賃金の底上げにつながらないのでは当然であるとの指摘です。
 本経済対策では、令和六年度税制改正で赤字の繰越控除制度を創設することが盛り込まれましたが、恒常的に赤字決算となっている体力の弱い企業への効果はないのではないでしょうか。
 賃上げを促進するという政策目的には賛同しますが、税による対応ではなく、赤字企業を含めて幅広く賃上げのインセンティブとなるような別な仕組みが必要ではないかと思いますが、総理の見解はいかがでしょうか。
 二〇二三年一月から十月の人手不足関連倒産は百二十八件で、前年同期の二・四倍に急増しています。その要因別では、人件費高騰が前年同期の八倍に急増し、人材確保のために賃上げが避けられない一方、資金余力のない中小零細企業では賃上げが行えず、人材確保はおろか人材流出を止めることができず、今後も人材不足倒産は増加することが懸念されています。
 政府は、こうした人手不足の問題に対し、リスキリング支援を通じ、労働移動を円滑化させ、賃上げにつなげる考えですが、こうした考えだけでは資金余力のある大企業への労働移動を加速させるのみで、中小零細企業の倒産をますます増加させてしまうのではないかと懸念します。
 つまり、政府のリスキリング支援には、個々の企業や一人一人の労働者を守るという視点が欠けており、成長産業への労働移動を促すことにより経済全体の効率を上げることにとらわれ過ぎているのではないでしょうか。
 一人一人の労働者が自らの働く能力を高めて仕事を通じた自己実現を図り、結果として体力の弱い中小零細企業も含めて経営基盤が強化されることが重要であり、こうしたセーフティーネットとしてのリスキリング支援に関する総理の所見をお尋ねいたします。
 次に、子供たちの食の安全が脅かされています。食材費の高騰によって、学校給食の内容、質の低下が懸念されています。
 学校給食の質の低下を防ぎ、子供たちの食の安全を守るための支援をいかに考えているのか、総理の所見をお尋ねいたします。
 立憲民主党は、学校給食無償化法案を国会へ提出済みで、我が党の緊急経済対策案にもその前倒し実施を盛り込んでいます。総理は、学校給食無償化についてはどのようにお考えなのか、御見解をお聞かせください。
 最後に、以前にも本議場において時の総理にこの言葉を投げかけさせていただいておりますが、岸田総理にも同じ言葉を贈ります。
 総理には、国民のかまどの煙がちゃんと見えているのでしょうか。岸田総理の御所見を伺います。
 私はこの週末、定例としている青空対話活動で街頭に立ち、通行する皆さん方から直接お話を伺いましたが、その中で多かったのは、意見は、物価高対策と特別職国家公務員の給与改定でした。国民はちゃんと我々を見ています。
 本補正予算をしっかり国会で議論し、国民の理解を得なければ、失いつつある岸田内閣への信任は決して得られないと改めて申し上げ、会派を代表しての私の質問とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 121215254X00620231120_005

発言者: 熊谷裕人

speaker_id: 3116

日付: 2023-11-20

院: 参議院

会議名: 本会議