伊藤孝恵の発言 (本会議)

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○伊藤孝恵君 国民民主党・新緑風会の伊藤孝恵です。
 私は、会派を代表し、令和五年度補正予算案について質問いたします。
 やはり消費と投資が振るいません。
 今年七月から九月までのGDP、国内総生産は、前の三か月と比べて実質〇・五%のマイナス、年率換算二・一%の減少で、三四半期ぶりのマイナス成長となりました。ガソリンや食料品を中心に物価高が続いている影響で、GDPの六割近くを占める個人消費が落ち込んだことに加え、企業の設備投資が減少したことが主たる要因です。
 総理に伺います。近頃はGDPギャップは解消されたとの論調が見られますが、総理の御認識をお聞かせください。
 今必要とされているのは、消費と投資を下支えし、持続的賃上げを確実にするための生活減税です。国民民主党が先月二十三日に提案した所得税減税、ガソリン減税、インボイス廃止を含む消費税減税、法人税における投資減税の生活減税四本柱についての総理の御評価を伺います。
 今月一日、所得税減税法案を参議院に提出いたしました。私たちが提案するのは、一言で言えば所得税のインフレ調整です。
 物価高に加え、賃金上昇を上回る所得増税が家計の著しい負担になっている事実に着目し、物価上昇率及び名目賃金上昇率などを鑑み、基礎控除や給与所得控除を引き上げて減税効果をまみえるという立て付けです。
 基礎控除は、そもそも必要最低限の生活を送るために必要な所得には課税しないという理念に基づく制度であり、インフレによって生きていくためのコストが上がっている今こそ基礎控除の引上げによる家計負担の軽減が必要です。
 日本では、三十年間に及ぶ長いデフレを背景に、一九九五年以降、基礎控除プラス給与所得控除の水準は据え置かれています。これがいわゆる百三万円の壁です。
 基礎控除とは何たるかについての総理の御認識とともに、二十八年間変わらない壁に対する今後の対応策を伺います。
 一部報道によれば、政府は、十六歳から十八歳の扶養控除の縮小を決定し、調整に入ったそうです。総理に伺います。事実でしょうか。
 縮小どころか、十六歳未満に対する年少扶養控除を復活の上、児童手当を拡充する、これが時代の要請です。総理の御見解を伺います。
 現在、レギュラーガソリン一リットル当たりの小売価格は平均百七十円から百八十円台で推移し、日常的に自動車を使う地方を中心に悲鳴が上がっています。また、物流コストの上昇に直結することから、企業の利益をそぎ、賃上げの原資を奪っています。
 財政演説の中にあった地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げには、適正な価格転嫁対策とともにガソリン減税がどうしても必要です。
 国民民主党は、二年前から、トリガー条項凍結解除による旧暫定税率分、リッター二十五・一円の減税を指摘して、主張してきました。今国会でも、暫定税率と二重課税を廃止するための法案を、二〇二一年に続き、再度参議院に提出いたしました。
 政府は、燃料油価格激変緩和対策事業を来年四月末まで延長する方針を示し、今回、所要の経費として一千五百三十二億円を計上しています。総理、まだ石油元売事業者や輸入事業者に対する補助金スキームを続けられるおつもりですか。
 先般、会計検査院が指摘したのは、資源エネルギー庁が六十二億円を掛けて全国二万か所のガソリンスタンドに週一回電話又は訪問し、本当にガソリン価格って下がっていますとモニタリングするという壮大な無駄事業です。六十二億円掛けて、補助金はちゃんとユーザーに還元されているのか聞き回るほど心配なのであれば、速やかに減税を御決断ください。総理の答弁を求めます。
 加えて巨額の調査事業です。結果は公表の上、価格抑制効果分析を行うのが当然だと考えますが、会計検査院の指摘に対する政府の対応、調査結果及び分析結果の公表時期について総理に伺います。
 国の根幹である税法に手を付ける以上は明確な理念と理屈が必要です。岸田総理があらゆるしがらみを乗り越えて打ち出された所得減税に共感が広がらないのは、幾らにするのか、いつになるのか、時限にするのか、そんな話に終始して、減税の目的や期待される効果、なぜ今それを岸田政権でやるのか、総理御自身の言葉でまだお話しになっていないからではないでしょうか。
 三十年ぶりのインフレなのだから岸田政権ではデフレ時代の税制を改めるとか、政治家はいつも名目賃金や実質賃金で語るが私は可処分所得にこだわる、なぜなら家計のお財布の中に残っているお金、つまり可処分所得こそが暮らしそのものだからなど、所得減税にこだわった総理の哲学が必ずあるはずで、それを聞かせていただきたい。
 デフレからインフレに経済が移行する中での経済政策として所得減税は決して間違っておりません。何のための減税なのか、防衛増税との矛盾や財政健全化との整合も併せて国民の皆様に説明し、所得税改革を断行していただきたいと思います。
 次に、予備費について伺います。
 政府は、今年度当初予算に計上した四兆円のコロナ対策及び原油・物価高騰対策予備費が全額残っているのでコロナを賃上げに書き換えて活用すると言います。
 予備費は予見し難い予算の不足に充てるため財政法で認められた事前議決原則の例外的制度であり、なし崩し的に使途を拡大する手法は財政民主主義を有名無実化したとのそしりを免れません。国会審議を経ずに政府が使える予備費の昨今の肥大化及び用途変更の在り方について、総理の御所見を伺います。
 予備費ではもはや必要なしとされたコロナ対策が、補正では病床の確保等に必要だとして六千百四十三億円が計上されているのは不可解です。一方、人手不足による介護難民、介護離職、介護虐待や事故がこれほど深刻化しているにもかかわらず、介護職員等の処遇改善には僅か五百八十一億円、病床確保の十分の一以下とは、これもまた不可解です。さらには、項目上で確認できない予算があります。
 総理に伺います。大阪・関西万博の会場建設費が当初予想の倍に膨れ上がっているとの報道があります。事実関係及び政府の対応を伺います。また、国の増額負担分がある場合、その積算根拠と金額、どの項目に含まれているのか、教えてください。万博の文字が当初いただいた資料の中にありませんでしたので、確認です。
 執行が不透明な基金についても課題があります。コロナ禍以降、単年度主義の弊害是正を大義に予算措置が横行していますが、昨年度末時点における基金は百八十、残高は一般会計における財政規模の一割を優に超える十六・六兆円に達しています。このうち、人件費や事務費といった管理費のみを支出するいわゆる休眠基金は全体の一五%、二十九基金にも及び、一・四兆円を滞留していると指摘する、滞留しているとする指摘もあるなど、効果効率的な運用がなされているとは言い難い状況です。
 先般、河野行政改革担当大臣は、各府省の全基金を見直す方針を示されました。国会の監視が行き届かない基金の課題を認識しながら、今回、四・三兆円を計上し、新たな基金の造成や積み増しを行う道理を、河野大臣、お答えください。
 この際、基金については網羅的かつ徹底した見直しを直ちに行い、国会に報告すべきと考えますが、総理の答弁を求めます。あわせて、基金に今直ちに支出が必要な理由を財政法第二十九条における緊要性の評価と併せて教えてください。
 最後に、少子化対策について伺います。
 十三・二兆円の予算総額の中で目ぼしいものは、こども誰でも通園制度の試行的事業、九十一億円のみです。異次元の少子化対策はどこへ行ってしまったのでしょうか。
 少子化が我が国最大の病なのではありません。ほかにもっと深刻な病があって、少子化はその合併症です。大本の病を無視したまま進んでも、事態は改善しないと断言できます。
 これまでの自民党政治は、女性に家庭内の家事、育児、介護の一切を任せ、自助、共助を利かせることによって公助である国の福祉予算を軽減する政策を行ってきました。
 少子化は、固定化された性別役割分担意識や実質賃金の低下、長時間労働や非正規雇用、多様な家族の形を認めてこなかった我が国の大本の病による合併症だと理解し、政策的手当てをしなければ社会は到底変わりません。総理の御認識を伺います。
 少子化対策とは、子育て現役世代と次世代が私も産み育てられると思える環境をつくることであり、政府がすべきことは、家計の収入を上げ、税負担を下げ、社会保険料負担を下げ、控除や給付、無償化などの公的支援を増やす、この四点に尽きます。ターゲットを理解していたら、現役層の社保負担を更に増やす支援金制度や扶養控除縮小などといった愚策は出てきません。現役世代の中で、子供の有無を分断要素としてしまう懸念すら残る支援金の導入は再考してください。
 また、企業にとっても、社保負担は総人件費であり、雇用抑制と非正規化を進める原因にもなります。雇用や賃上げに対する支援金の影響をどのように分析されているのか、総理の答弁を求めます。
 賃金の低下と出生数の低下の相関係数は〇・九三、著しく相関しています。政府におかれましては、今この瞬間が三十年ぶりの持続的賃上げを実現できるか否かの、ひいては少子化対策の正念場であることを肝に銘じていただきたい。殊更強くお願いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 伊藤孝恵

speaker_id: 17711

日付: 2023-11-20

院: 参議院

会議名: 本会議