水野素子の発言 (本会議)

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○水野素子君 立憲民主・社民の水野素子です。
 会派を代表して、ただいま議題となりました政府提出の令和五年度補正予算案について、反対の立場から討論を行います。
 本題に入る前に、国民の間で日に日に高まっている岸田政権の政治姿勢に対する疑問、疑念、疑惑の声を代弁させていただきます。
 岸田政権の支持率が記録的に下落しています。総合経済対策や今回の補正予算案も全く評価されていません。総理、一体なぜだとお考えですか。
 岸田総理は言っていることとやっていることが違うと、国民の信用を失っています。本当は防衛増税をやりたいのに、一時的な減税を提案。子育て支援策は異次元どころか低次元、防衛費よりも後回しで財源もない。こどもまんなかとうたうこども家庭庁は教育を担当しない、真ん中が抜けている。新設した感染症統括庁も、五類となったコロナは対象外で、今統括する感染症はない。ポーズだけで、国民を欺く政治です。
 聞く耳と言いながら聞いていない。あるいは、ただ聞くだけで、国民のためになる政治をやらない。最たる例が、政務三役の連続辞任の不適材不適所です。もはや、任命責任のある岸田総理御自身が、本当に総理として適材適所なのか、自ら問うべきではないでしょうか。
 その上で、主に三点に絞り、令和五年度補正予算案に反対の理由を申し述べます。
 第一に、緊要性が全く欠如していることです。
 補正予算は本来、財政法第二十九条が規定する、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出です。しかし、物価高対策などの一部を除き緊要性が乏しく、次年度予算でよいものが多く含まれています。例えば、今回の補正予算では、基金の見直しが行われようとする中で、計三十一基金の新設や積み増しのために約四兆三千億円が計上されていますが、今年度中に執行しないものも含まれており、緊要性が乏しいと断ぜざるを得ません。
 第二に、国債への依存です。
 約十三兆一千億円にも上る巨額な補正予算案、このうち約八兆九千億円をも国債に丸投げし、将来世代に負担を先送りするのは問題です。今だけ、自分だけ、仲間だけの利己的な姿勢の莫大な無駄遣いはやめるべきです。
 第三に、今回の補正予算の内容が大幅に国民のニーズから懸け離れていることです。
 特に問題だと思われる三点を指摘します。
 まずは、防衛費に係る問題です。
 政府は、国際危機の高まりを強調し、国会で十分な議論もなく、政府・与党内の検討と閣議で、五年で約四十三兆円もの防衛費倍増を決定しました。国民の暮らしを守る予算とのバランスが悪過ぎます。
 本補正予算では、防衛力強化資金を含め一兆八千億円余りの関連予算が計上されましたが、精査が必要です。トマホークのような古い武器の大量輸入は本当に必要でしょうか。武器ではなく、人工衛星などの先端技術をもっと磨き、情報力で専守防衛力をもっと高めるよう考えるべきではないでしょうか。また、防衛財源確保法に基づき、決算剰余金から一兆三百九十億円が防衛力強化資金に積み立てられますが、その分国債を増発することは、財源ロンダリングにほかなりません。
 なお、中東及びロシア、ウクライナの痛ましい紛争に国民は胸を痛めています。戦争では、どの国でも市民が被害者です。平和憲法を持つ日本は、徹底した人道主義に立ち、即時停戦に尽力すべきです。また、安保理改革のみならず、国際司法裁判所、ICJの受諾宣言を促進し、法の支配による国際秩序の強化を進めるべきです。
 二点目は、人、教育への投資が全く欠如している問題です。
 コロナ禍で非正規雇用の多い母子家庭を始め貧困層が拡大し、不登校も急増し、子供食堂が社会現象となりました。立憲民主党が以前から提案している小中学校の給食無償化は、年間約四千億円で実現可能です。つまり、今年度末まで約一千億円で無償化できます。補正予算で取り組むべきではないですか。
 教育の現場は、コロナ禍によって不登校も急増し、人材が不足しています。しかし、人件費そのものは増やされず、教師人材確保強化推進事業のための五億円程度しか計上されていません。盛山大臣が教員のなり手不足に名案がないと発言し撤回しましたが、政府の教育への関心の低さがこの補正予算にも表れています。
 三点目は、公共サービスを守るための予算が全く不足している問題です。
 消費が冷え込むのは、安心できる社会ではないためです。公共サービスは、たとえ収益性が低くても、国民のために維持すべきものです。政府のコストカット推進で公共サービスは崩壊寸前です。そもそも、少子高齢化と言われて久しい日本で、ほとんどの国民が育児環境、教育費、介護に悩んでいる状態は、政治の失敗です。
 バスやタクシーなどの地域交通網もコロナ禍で危機に瀕しています。今論争になっているライドシェアは、運転手の離職や低賃金化、企業収益の悪化に拍車を掛け、かえって地域公共交通網を破壊するおそれがあります。極めて慎重な検討が必要です。
 どうしてこんなに政府の方針が国民の期待からずれるのか、改めて考えてみました。
 まず、政府が経済を、しかも一握りの大企業や富裕層が豊かになる経済を優先し、国民生活を軽視しているからです。
 岸田総理は、今臨時国会の所信表明で声高に経済、経済、経済と叫びましたが、今最も大切にしなければならないのは、人、人、人です。
 失われた三十年、産業は競争力を失い、先進国唯一賃金が上がらない日本。氷河期世代など賃金が低く不安定な非正規雇用の割合が増え、派遣労働者は言わば中抜きもあり、働いても暮らしは楽になりません。分厚い中間層は消滅し、自殺者も増えています。
 トリクルダウンは幻想で、結局は大企業、株主、天下りなど、利権のある一部企業が得をする。庶民に恩恵はなく、格差社会が広がりました。コロナ禍や物価高で国民が苦しみ、中小企業の資金繰りが悪化、負債が増加しても、大企業の株価は上がり続ける。株の売買や内部留保への課税強化など、格差を是正する公平な税制度に改善すべきです。
 こんなにも国民の声が響かないのは、岸田総理が世襲で、お金持ちで、男性で、暮らしの実態を知らないからでしょうか。私は通勤しながら二人の子供を育ててきたシングルマザーです。今朝も子供の忘れ物を小学校に届けてから国会に駆け付けました。
 この補正予算は、政府のデフレ脱却政策を受けて作成されましたが、デフレは物価の継続的下落です。私たち国民は、今、急激な物価高、インフレに苦しんでいるんです。この物価高の大きな原因は、いまだに続いている異次元の金融緩和による金利差、それによる大幅な円安です。食料やエネルギーなど生活必需品の海外依存度が高いため、物価高が家計を直撃しています。全てが高くて手が出ない。これほどの物価高に及んでも、まだ経済、輸出企業を優先して円安を放置、国民生活を犠牲にする政府の姿勢が問題です。
 企業も、円安を誘導して安いから買ってもらうのでは買いたたかれるだけです。高くても世界から選ばれる技術やサービスを長期的な視点で育てる骨太な産業政策に転換すべきです。
 岸田総理はコストカット型経済が問題と言いましたが、それを進めたのは今の政権与党ではありませんか。バブル経済後の失われた三十年、国際競争力が低下してもコストカットで経済大国を競い続け、格差が広がり、国民は疲弊しました。その結果、総理が目指すゴールが、明日は今日より良くなると国民が信じることができる社会の実現という大変寂しい日本になりました。
 資源の乏しい日本においては、人こそが最大の財産です。人を守り育てることこそが、経済、産業の復活にもつながります。経済至上主義ではなく、一人一人の国民の幸福度を軸とした国家へと転換し、安心で働きやすい社会へと国家予算の優先度を変えるべきです。
 以上、令和五年度補正予算に反対する理由を申し述べました。不要不急の無駄が多く、多額の国債に依存するこの補正予算が採択されるようでは、日本と子供たちの未来が危ないと言わざるを得ません。
 私たち立憲民主党は、国民の暮らしに真正面に向き合い、人と未来へ投資し、安心できる社会のために政治改革を進めることをお誓いして、私の反対討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 水野素子

speaker_id: 34869

日付: 2023-11-29

院: 参議院

会議名: 本会議