金子道仁の発言 (本会議)

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○金子道仁君 日本維新の会、金子道仁です。
 私は、ただいま議題となりました令和五年度一般会計補正予算(第1号)、令和五年度特別会計補正予算(特第1号)の両案について、会派を代表して、賛成の立場から討論いたします。
 まず初めに、今般の補正予算案について、財政法上の緊要性の判断、多額の基金の積み増し、多額の予備費の流用、国民負担率の上昇懸念等、懸念すべき点が複数あることをあらかじめ指摘させていただきます。
 コロナ禍以降の補正予算における急激な歳出の増加は、需要を牽引しGDPギャップを埋め合わせるという理由で合理化できますが、現在のようにGDPギャップが解消した景気回復期には、応急的な災害復旧等を除けば、原則的には厳に抑制的に措置すべきだと考えます。補正予算には緊要性の要件がありますが、この緊要性が要件として機能していないと見受けられる事業が多くあります。緊要性の拡大解釈が横行している補正予算計上プロセスに強く懸念するとともに、例えば半年先の予算措置では間に合わない緊要性の証明など、補正予算全体において緊要性をより詳細で明確な要件設定をすることを政府に要望いたします。
 基金の積み増しについても懸念をお伝えいたします。今次補正予算の歳出総額約十三・二兆円のうち約四・三兆円、約三三%が基金への投入に充てられています。昨年度末の基金残高も十六・六兆円に上り、想定された資金需要がなく資金が活用されず死蔵される、そのような基金の弊害を疑わせる不透明な状況が続いていることを憂慮します。
 本補正予算で多額の予備費を減額したことについても同様です。今次補正予算の歳出総額は約十三・二兆円。当初予算に計上された経費の減額分を含めなければ、その規模は十六・七兆円に上ります。今般減額した予備費計二・五兆円は、そのうちの約一五%に上ります。当初予算で多額の予備費を計上し、年度途中でコロナ・物価高予備費とウクライナ予備費を半減して補正予算の財源とすることは、予備費総額の算定に大きな疑義があると言わざるを得ず、政府には強く指摘しておきます。
 他方で、今はデフレの後退懸念を解消すべきときであるという点は理解します。そのためには知恵を出し合うことが必要です。財政の平時への回帰という政府の方針からは考えられない規模の財政支出ですが、今をデフレ脱却の転換点とするために、資金の逐次投入ではなく、カンフル剤としての大規模な財政支出をするという説明は一定程度理解できます。しかし、こうした財政支出がインフレ加速剤とはならずに真のカンフル剤となるために、補助金のばらまきではなく、真の供給力強化措置として執行されることを強く要望いたします。
 また、総理は二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化という財政健全化目標を繰り返し述べられており、この発言を重く受け止めます。二〇二五年からのプライマリーバランス黒字化に向けて、供給力強化の傾向が確かなものになるためには、抜本的な構造改革が不可欠です。
 今次補正予算がデフレ脱却からのカンフル剤であり、日本経済が補助金に依存するドーピング経済とならないように、体質改善、すなわち抜本的な構造改革、行財政改革が急務です。今般の経済対策では、三位一体の労働市場改革、医療DXの推進、外国人材の活用など、従前の経済対策より構造改革に重きを置いた記載が見られたことを評価します。
 我が党は、社会保障・医療制度改革など、改革提言を政府に提示し、政府とは改革内容を競い合いつつ、抜本的な構造改革のために切磋琢磨していく所存です。その成果としての歳出削減を実現し、国民負担率の更なる上昇を防ぎ、将来世代への投資、子ども・子育て世代の負担軽減を図ってまいります。
 基金に関しては、先般の質疑で総理から、基金終了期限の設定が重要であるとの河野行革担当大臣の発言を受けて、基金の点検、見直しを進めるとの答弁をいただきました。二十二日のデジタル行財政改革会議では、基金の期間設定、長期、短期の目標設定と検証など具体的な基金の見直しを、横断的な方針、これを年内にまとめるように指示が出されたと承知しております。これらの取組を評価し、今後の基金の見直しを厳しく見守っていきます。
 最後に、万博についてお話しします。
 資材や労務費高騰等による物価上昇の影響で、万博の会場建設費が五百億円増加しました。現下の厳しい経済状況の中で国民の負担が増加することについてはじくじたる思いです。しかし、万博開催にはコストを上回る大きなメリットがあると考えており、中止や延期すべきではないと考えます。
 以下、その理由を述べさせていただきます。
 第一の理由は、定量的な要素、特に経済波及効果です。
 政府答弁にもあるように、二〇一六年の経産省試算では約二兆円の経済効果が見込まれています。この試算には今般の物価上昇は反映されていませんが、物価高騰による会場建設費の上昇と並行して経済効果も上昇していると考えられます。会場建設費というコストの上振れだけは議論して、経済波及効果というリターンの上振れを議論しないというのは、バランスが取れていないのではないでしょうか。
 今次国会の衆議院経産委員会では、経産省は我が党の議員の質疑に対し、今後、支出費増加に伴って万博の経済効果は増加するという見通しを示されました。ある民間機関では、四千億円から五千億円の上振れが見込まれるとの試算も公表されています。経産省の試算は七年前のものであるため、政府からは最新の試算を出していただきたいと思います。
 第二の理由は、定性的な要素です。
 その一つとして、私はこの時代に万博が発信するテーマの重要性に触れたいと思います。
 今から九十年前、一九三三年のシカゴ万博は、出展者、参加者に共通のテーマが設けられた最初の万博で、「進歩の世紀」というテーマが掲げられました。国際協調の時代と言われた一九二〇年代末、一九二九年アメリカでは大恐慌が始まり、一九三〇年世界に広がり、一九三〇年代は分断と対立の時代と言われています。日本でも一九三一年満州事変があり、一九三三年国連の脱退がありました。このような分断と対立の暗い影の中で、万博は未来への希望を発信しました。暗い時代だからこそ、こうしたメッセージを発信する意義があったと考えます。
 二〇二五年の大阪・関西万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」です。このテーマは、人間一人一人が自らの望む考えを、生き方を考え、それぞれ可能性を最大に発揮できるようにするとともに、こうした生き方を支える持続的な社会を国際社会が共創していくことを目指しています。言い換えれば、格差や対立の拡大、AIやバイオテクノロジーなどの科学技術の発展といった新たな社会課題、変化に直面する中で、参加者一人一人に幸福な生き方とは何かを正面から問う初めての万博です。
 私は、一九八五年、筑波万博に行った思い出があります。当時十五歳、二日間会場を朝から友達と走り回り、可能な限り多くパビリオンを見て回った思い出があります。
 今は高度経済成長期とは異なる時代で、いわゆる箱物とされる大型イベントが以前より重要性がなくなったとの指摘もあります。
 しかし、ただし、高度経済成長期のような楽観的な世相でない今だからこそ、未来への希望のメッセージが重要なのではないでしょうか。ポストコロナの最初の万博として、また、ウクライナ侵攻後の最初の万博として、平和の土台となる幸福な生き方とは何かを考え、ウエルビーイングを追求し、命を生み出し育む家庭や社会の大切さを再考する機会として、「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマの万博を次世代に提供することが重要です。
 今回の万博がそのテーマをしっかり体験、共有できることとなることを望み、オールジャパンでの取組を支持し、私の討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 金子道仁

speaker_id: 6561

日付: 2023-11-29

院: 参議院

会議名: 本会議