牧山ひろえの発言 (本会議)
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○牧山ひろえ君 立憲民主・社民の牧山ひろえです。
会派を代表して、ただいま議題となりました特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案に対し、賛成の立場から討論をいたします。
私たち立憲民主党は、日本維新の会と共同で、実効性のある被害者救済を図るため、解散命令請求などがなされた宗教法人による財産の隠匿や散逸のおそれに対処すべく、当該宗教法人の信教の自由にも十分配慮し、裁判所の手続を経た上で包括的な財産保全を行う特例を定める法律案を衆議院に提出いたしました。
これに対し、自民、公明及び国民の各会派からは、信教の自由への配慮、準用する会社法の規定に基づく財産保全の実例がないことなどの理由から御賛同をいただけませんでした。
もちろん、私どもも信教の自由や財産権の保護は非常に重要な原則として尊重しております。
この憲法との関係について、衆議院予算委員会で衆議院法制局長はこう述べています。宗教法人でも、世俗的側面を対象とし、精神的側面に介入する目的ではない限り、財産規制も憲法の許容するところであり、立憲、維新の案も十分説明可能な立論になっている。
それに加え、我々の提案は極めて限定された場面だけに適用されるよう要件を絞り込んでおり、極めて抑制的な規定ぶりになっていることも併せ、信教の自由に抵触するものではないというのが私たちの立場です。
与党案との立場の違いをもう一つ。与党案のスタンスは、特に財産関係を始めとする被害者救済の局面において、当事者はあくまでも被害者やその御家族自身であって、国はサブ的な位置付けからそれをサポートする立場という考え方です。
この与党案のスタンスに対して、被害者の思いはこうです。令和五年十一月二十三日付けの東京新聞から元宗教二世のコメントを引用します。
なぜ私たち被害者側が匿名でしか活動してこられなかったのか、個人で戦うには到底太刀打ちできない組織だからで、実名で抗議すれば、下手すれば命さえも危険にさらされる、国対統一教会という構図にしてもらわないと救われない。
立憲民主党の会議においても、被害当事者の方は口々に、旧統一教会が怖い、地獄に落ちる恐怖を植え付けられ、また、脱会しようとするだけで事前の連絡もなく自宅に押しかけられ、嫌がらせのチラシを近所に配られるなど、生活の安心を奪われてきた実態を証言しました。
このような団体を相手に個人で立ち向かえというのは余りに酷ではないでしょうか。確かに民事は当事者主義が原則ではありますが、社会的力関係にこれほど大きな差異があるケースにまで原則に固執するのはあしき当事者主義と言うべきです。
さて、衆議院での審議においては、自民、公明及び国民と、立憲及び維新の法案提出者との間で協議が重ねられ、附則第六条の検討条項の中に、施行後三年を目途として財産保全の在り方も含め検討を加える旨を定めるなどの修正が行われることで可決され、我が参議院に本法律案が送付されました。この後、本法律案は、法務委員会と文教科学委員会との連合審査会を含む審査を経て、全会一致で可決されました。
通常、施行後三年をめどとしては、三年が経過した頃を意味するため、これでは全く意味がない、三年後には財産は散逸していると主張し、委員会では、三年を待たずして検討するとの確約答弁をいただきました。
我が会派といたしましては、この附則における検討条項等に込められた精神が骨抜きにされず、また先延ばしされないように、今後も決して気を抜かずに、本法律案の成立後の執行、被害者の救済の状況などを見守り、救済の円滑な推進を目指して積極的に提案していかなければならないと思っております。
この点、全会派から御賛同をいただいた本法律案の附帯決議にも、具体的に検討すべき課題が生じた場合においては、三年を待たずに、信教の自由に十分配慮しつつ、解散命令の請求等に係る対象宗教法人に関する財産保全の在り方を含め検討を行うことという項目を入れました。
これらの答弁を尊重していただき、今回の財産上の被害の救済に当たり、現行の民事保全手続等によるのでは十分な救済が図られない事象が確認されたならば、私たちが提起している包括保全も含め、財産保全の方法について直ちに検討していただきたい。そして、解散命令請求に係る宗教法人の財産が保全されるようにすべきと考えます。
加えて、法テラスの特定被害者法律援助事業に係る予算確保、周知広報を十分に行うことや、指定宗教法人等の指定の迅速化なども重要な事項であり、これらについては、委員会において附帯決議に明記し、本法の施行が適切になされるようにいたしました。
このほか、与党案の修正や附帯決議では合意に至りませんでしたが、委員会で再三指摘があった被害の立証の困難さについては、そもそも高額な寄附などであっても領収書や明細が発行されることがほぼないことから、そういった習慣の見直しをすること、また、善良な宗教活動を阻害し、人々の人生を狂わせるカルト的行為に関する幅広い議論が必要であると考えます。
今後の霊感商法等の被害の拡大を防ぐためにも、今回の特例法の制定だけで終わりとならないよう、現下の宗教法人をめぐる状況を注視し、大局的な視点で宗教法人制度の在り方を検討していくべきと考えます。
いずれにいたしましても、私たちは、本法律案で言うところの対象宗教法人による被害の救済のためには包括的な財産保全が最も効果的であり、今後の宗教被害の救済のために必要不可欠な制度であるとの思いは変わりません。
本法律案の重要性は理解するものの、自公国提出の本法律案と私たちが提出した法律案は言わば車の両輪であり、排他的に対立するものではなく、むしろ救済の実効性を高めるものです。私たちは、被害者の救済のためにという視点で両案成立を働きかけましたが、受け入れられなかったことは極めて残念です。
本法律案は、被害者救済のゴールではなく、あくまでも被害者救済のための一歩前進であり、今後の取組のスタートにすぎません。今まで述べましたように、今後も取り組むべき課題は山積しております。これらに対して、我々国会及び政府が立場の違いを超えてしっかりと向き合い、被害者の方々の救済に取り組んでいくことが重要であると思います。少なくとも私どもはその覚悟があることを最後に申し上げ、私の討論といたします。(拍手)