古賀千景の発言 (本会議)

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○古賀千景君 立憲民主・社民の古賀千景です。
 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました国立大学法人法の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論いたします。
 まず冒頭、一言申し上げます。
 政治と金、自民党の派閥パーティー裏金疑惑が止まりません。松野官房長官、西村経産大臣、高木衆議院国対委員長、萩生田自民党政調会長、世耕参議院幹事長と、政府・与党の幹部がそろって裏金疑惑が報じられ、本人は国会や会見において何も語っていない中、岸田総理大臣は内閣改造と党人事を行う方針です。説明責任を果たさない松野官房長官の不信任決議案が昨日午後、衆議院に提出されましたが、残念ながら、疑惑の自民党に加え、公明党の反対で否決されました。しかし、疑いが持たれている以上、金の使い道などを自ら国民に明らかにすべきであり、何らやましいことがないのであれば、正々堂々と説明責任を果たし、事実をしっかりと述べた上で自ら責任を取るのが筋ではないでしょうか。
 それでは、本法案についての反対討論に戻ります。
 本法案は、法案作成プロセスが不透明な上、改正内容も、学問の自由や大学の自治を揺るがしかねない非常に問題の多いものとなっています。
 昨日、文教科学委員会の高橋克法委員長は、与野党の筆頭理事の合意なしに委員会開催を職権で決め、採決も強行しました。一方的かつ強引な委員会運営は大変遺憾であり、強く抗議をいたします。また、本法案の審議時間の確保についても、与野党共に十分な質疑時間に達しておらず、自民、公明両党の強引で拙速な委員会運営にも強く抗議をします。本法律案をこのまま成立させることは到底容認できません。
 以下、その理由を御説明いたします。
 まず、不透明な法案作成プロセスについてです。
 本法案について新設される合議体の運営方針会議について、これまで政府は繰り返し、国際卓越研究大学となる大学に合議体を設置すると説明していました。令和四年の国際卓越研究大学法案における審議でも、政府は明確に、国際卓越研究大学以外の大学には同様のガバナンスを求めるものではないと答弁していました。
 しかし、蓋を開けてみれば、本法案は、特に規模の大きな国立大学法人として政令で定め、指定するものは合議体である運営方針会議を必ず置くこととされ、そのほかの国立大学法人も運営方針会議を置くことが可能とされました。国際卓越研究大学の認定候補となった大学以外にも対象が拡大されており、これまで繰り返されてきた政府側の説明とは大きく異なる方針転換がなされています。
 本来、全ての国立大学法人に関わるような方針転換をするのであれば、それに先立って、中央教育審議会などの公開の場で、現場の教職員を含む幅広い関係者の意見を聞きながら審議し直すべきでした。しかし、文部科学省は、こうした丁寧な手続を取ることをしませんでした。
 しかも、盛山文部科学大臣は、今月一日の本会議において、法制上の検討を進める中で、本年七月から八月にかけて、国立大学協会や国際卓越研究大学に申請中だった学長とも意見交換を実施し、方針転換を行ったと説明してきました。しかし、その後、五月二十四日には、高等教育局として方針転換の原案を固め、六月一日には、国際卓越研究大学に申請中の大学に対して、方針転換の方向性を内々に説明していたことが明らかに判明しました。
 この一連の経過は、文部科学省が公文書を適時適切に作成していなかったこと、情報の公表に消極的であったことが原因で、これまで闇に閉ざされており、参議院文教科学委員会での質疑などを通してようやく明らかにされました。
 我が会派は、再三再四、特定国立大学法人に運営方針会議を設けることを法案に盛り込む際の決定プロセスについて文科省に対して資料請求をしたにもかかわらず、決定に至るまでの公文書が存在しないとの回答に終始しました。立法の際の目的や合理性、正当性が欠いていると言わざるを得ません。まさに立法事実が崩れており、法的な適格性も欠けているのではないでしょうか。
 方針転換した過程は後から公文書を作成するつもりだった、詳しくは明かせないけれど法案は成立させてほしいなどというのは余りにも立法府を軽んじています。法案作成プロセスが不透明な本法案を成立させることは断じて認められません。
 また、本法律案の方向性が広く公表されたのは、本年九月七日に開催された総合科学技術・イノベーション会議の有識者議員懇談会においてです。大学政策に詳しい専門家を始め、多くの大学関係者にとっては、まさに不意打ち、寝耳に水でした。そこから僅か二か月もたたない十月末に本法案が国会に提出され、十分な審議が行われることなく、今この場で、参議院で採決されようとしています。多くの大学関係者や国民が本法案の抱える問題点に気付き、反対の声がより一層高くなる前に成立を急いでいるようにしか私には見えません。
 文部科学省と一部の関係者だけが内輪で決定した内容の法案を、多くの大学関係者や国民が十分にその内容や問題点を把握できないスピードで成立させようとする政府・与党の姿勢は、民主主義を尊重するものとは到底言えません。拙速な法案成立には断固反対です。
 次に、本法案における改正内容の問題点を二点指摘します。
 一点目は、運営方針委員の任命における文部科学大臣の承認についてです。
 本法案では、運営方針委員は、学長による任命に当たり文部科学大臣の承認が必要とされました。現場の教職員や学生を含む多くの大学関係者や国民からは、学問の自由や大学の自治を揺るがしかねないとの懸念が数多く示されています。
 文部科学大臣は、承認は法人側の申出に基づいて行うものである、申出に明白な形式的違反性や違法性がある場合を除き承認を拒否できないなどと答弁していましたが、政府には日本学術会議の会員任命拒否問題というあしき前例があります。運営方針委員の承認に当たり、時の政権にとって都合の悪い人間が文部科学大臣により恣意的に排除されるのではないかとの懸念を払拭する答弁は最後までありませんでした。
 学問の自由や大学の自治は、私たちの民主主義を支える重要な基盤です。そうした民主主義の基盤を切り崩しかねない文部科学大臣による運営方針委員の承認は必要ありません。
 改正内容の問題点の二点目として、国立大学法人の意思決定プロセスにおいて、教職員や学生の意見を反映させる仕組みが盛り込まれていないことが挙げられます。
 近年、国立大学はトップダウン型の経営が求められるようになりました。こうした流れの中で、本法案により、重要事項を決定する運営方針会議が新設されようとしています。
 政府は、運営方針会議を置く理由として、様々なステークホルダーの期待に応えつつ大学の活動を充実させるためには、多様な専門性を有する者も大学の運営に参加する必要があることなどを挙げています。
 確かに、学外のステークホルダーとしての関係も重要です。しかし、学外者の意見を聞く仕組みは、現行の国立大学法人法において既に規定されています。運営方針会議を新たに設置することは、屋上屋を架すことにほかなりません。
 むしろ、大学にとって最も重要なステークホルダーは現場の教職員や学生です。誰よりも大学の教育研究活動の充実を真剣に考えている現場の教職員や学生の意見を大学の意思決定に反映させるボトムアップの仕組みこそ、真に必要なものではないでしょうか。
 法案作成プロセスが不透明である、多くの大学関係者から懸念と非難の声が上がっているなど、内容でも多くの問題を抱えている本法案が拙速に成立させようとされています。現在、そして将来において、大学で教育研究活動に励む学生や教職員に胸を張れる法案とは到底言えません。
 私たちには、現在と将来の世代に対する責任があります。将来に対して学問の自由や大学の自治を尊重していくためにも、本法案を廃案にすることを強く申し上げて、反対討論といたします。(拍手)

発言情報

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発言者: 古賀千景

speaker_id: 6522

日付: 2023-12-13

院: 参議院

会議名: 本会議