上川陽子の発言 (安全保障委員会)

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○上川国務大臣 所信を申し述べるに先立ち、令和六年能登半島地震の犠牲者の方々に心からの哀悼の誠をささげるとともに、御遺族に謹んでお悔やみを申し上げ、負傷された方々及び被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。海外からも多くのお見舞いと支援のお申出をいただいており、これらの国、地域及び国際機関等に謝意を表します。
 安全保障委員会の開催に当たり、小泉委員長を始め、理事、委員各位に御挨拶申し上げるとともに、我が国の安全保障政策について所信を申し述べます。
 国際社会の分断や対立が深まり、我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれる中、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化することの重要性がより一層高まっています。
 我が国の長年にわたる国際社会の平和と安定、繁栄のための外交活動や経済活動の実績を糧に、大幅に強化される外交の実施体制の下、危機を未然に防ぎ、平和で安定した国際環境を能動的に創出するために、外交と防衛を連携させながら、総合的に外交、安全保障政策を進めていきます。
 既に二年以上も続いているロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙です。ウクライナ各地における民間人や民間施設へのミサイル攻撃を含め、ロシアによる一連の行為は深刻な国際法違反であり、決して認められません。
 また、我が国は、唯一の戦争被爆国として、ロシアによる核兵器による威嚇、ましてや使用はあってはならないと考えています。一日も早くロシアによる侵略を止め、ウクライナに公正かつ永続的な平和を実現するため、対ロ制裁及び先般東京で開催した日・ウクライナ経済復興推進会議の結果も踏まえつつ、対ウクライナ支援を引き続き強力に推進していきます。
 ウクライナ情勢を始めとする国際社会の喫緊の課題に対応するため、G7外相間の連携はかつてなく緊密になっています。昨年の議長国として、引き続きG7外相間の議論に貢献していきます。
 我が国の外交政策の推進に当たり、同盟国、同志国との連携は不可欠です。
 まずは、日米同盟を更に深化させていきます。
 一月に訪米した際に、ブリンケン国務長官等と会談し、四月に予定される岸田総理大臣の米国公式訪問の成功に向けて踏み込んだ議論を行いました。その際に確認したとおり、日米同盟の一層の深化のため、引き続き日米で緊密に連携していく考えです。また、国家安全保障戦略等三文書や昨年一月の日米2プラス2で確認した方向性に従って、日米にとって戦略的に最も重要なインド太平洋地域のポテンシャルを安定と繁栄につなげていくため、日米同盟の抑止力、対処力の更なる強化に日米で共に取り組んでいきます。
 その際、同盟調整メカニズムを通じた二国間調整の更なる強化、平時における同盟の取組、日本の反撃能力の効果的な運用に向けた日米間の協力の深化、宇宙、サイバー、情報保全分野での協力、同盟の技術的優位性の確保のための技術協力や、新興技術への共同投資などを重点的に進めていきます。また、米国による拡大抑止が信頼でき、強靱なものであり続けることを確保するための努力も続けていきます。さらに、日本における米軍の態勢の一層の最適化に向けた取組を進めていきます。それとともに、普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し辺野古移設を進めるなど、地元の負担軽減と在日米軍の安定的駐留に全力を尽くします。
 また、経済版2プラス2を通じて、外交、安全保障と経済を一体として議論し、経済安全保障、ルールに基づく経済秩序の維持強化といった日米共通の課題について、一層連携を強化していきます。
 重要な隣国である韓国とは、パートナーとして力を合わせて新しい時代を切り開いていくため、様々なレベルでの緊密な意思疎通を重ね、グローバルな課題についても連携を一層強化していきます。
 ASEAN諸国、豪州、インド、欧州諸国を始め、基本的価値を共有する国々、パートナーとの協力関係を更に強化し、そのネットワーク化も進めていく考えです。
 英国及びイタリアとの間では、次期戦闘機の共同開発を円滑に進める必要があります。我が国の安全保障環境にふさわしい戦闘機を実現し、我が国防衛に支障を来さないようにするために、第三国への直接移転を行い得る仕組みを持ち、英伊と同等に貢献し得る立場を確保することが我が国の国益にかなうものと考えています。
 インド太平洋地域における法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化により、地域全体、ひいては世界全体の平和と繁栄を確保していくことが重要です。今後も、日米豪印、日米韓を始め、このような考え方を共有する国々とも連携しながら、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を強化していきます。
 近隣諸国等との間の懸案の解決も重要な課題です。
 日本と中国の間には、様々な可能性とともに、尖閣諸島情勢を含む東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試みや、中ロの連携を含む我が国周辺での一連の軍事活動を含め、数多くの課題や懸案が存在しています。また、台湾海峡の平和と安定も重要です。
 特に、尖閣諸島周辺の我が国領海で独自の主張をする海警船の活動は、国際法違反であり、断じて認められません。我が国の平和と安定、尖閣諸島を含む我が国の領土、領海、領空を、日米同盟を基軸としつつ、断固として守り抜くとの決意の下、中国に対しては、主張すべきは主張しつつ、冷静かつ毅然と対応していきます。
 南シナ海をめぐる問題についても、地域における力による一方的な現状変更の試みや緊張を高めるいかなる行為にも強く反対します。そして、力や威圧によらず、国際法に基づき紛争を平和的に解決することが重要であると改めて強調していきます。今後も、中国の不透明かつ急速な軍事力の増強や活発化する活動を注視しつつ、その透明性の向上を働きかけていきます。
 竹島については、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も日本固有の領土であるとの基本的な立場に基づき、毅然と対応していきます。
 日ロ関係は引き続き厳しい状況にありますが、政府として、北方領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持していきます。また、海洋における安全に係る問題等、日ロが隣国として対処する必要のある事項については、我が国の国益を踏まえ、ロシア側への働きかけを含め、引き続き適切に対応していきます。
 北朝鮮との間では、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化の実現を目指します。とりわけ、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題です。全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現すべく、全力で取り組みます。
 北朝鮮による核・ミサイル活動も推し進められています。一連の北朝鮮の行動は、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できません。米国、韓国を始めとする国際社会とも協力しながら、関連する国連安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画の完全な廃棄を求めていきます。
 地域、国際社会が抱える諸課題への対応にも全力で取り組みます。
 中東情勢は引き続き予断を許しません。ハマス等によるテロ攻撃を断固非難すると同時に、ガザ地区の人道状況を深刻に懸念しています。人道状況の改善、事態の早期鎮静化、周辺地域への波及防止といった課題に対処すべく、私自身、現地への訪問やG7外相声明の発出、安保理決議の採択に向けた働きかけ等、精力的に対応に当たってきました。
 我が国は、引き続き、国際機関への支援等を通じ、ガザ地区の人道状況の改善に取り組みます。また、現在のような悲劇を繰り返さないため、国際社会が支持してきた二国家解決の実現に向け、米国を始めとする関係国と連携しながら、積極的に貢献していきます。
 また、中東地域に原油輸入の九割以上を依存する我が国を含め、世界経済の安定と成長にとり不可欠であるエネルギーの安定供給、そして、これを支える中東地域における航行の安全の確保に万全を期してまいります。
 核軍縮・不拡散については、ヒロシマ・アクション・プランの下での取組を一つ一つ実行していくことで、現実的で実践的な取組を継続、強化していきます。十八日にニューヨークにて、核兵器のない世界の実現に向け、核兵器国と非核兵器国の間の議論の促進のため、核軍縮・不拡散に関する安保理閣僚級公開会合を開催する予定です。
 経済安全保障について、国家安全保障戦略では、日本の自律性の向上や、技術等に関する日本の優位性、不可欠性の確保に向けて措置を講じていくことを確認しています。その中で、外国からの経済的な威圧に対する効果的な取組を進めることも確認したところです。
 さらに、昨年のG7広島サミットでは、経済的強靱性及び経済安全保障に関する包括的かつ具体的なメッセージを初めて独立声明として発出しました。
 外務省として、安全保障政策や対外経済関係、国際法を所管する立場から、今後の情勢の変化を見据えた更なる課題について不断に検討を進めていきます。また、G7を始め、同盟国、同志国等との連携強化や新たな課題に対応する規範の形成等、引き続き積極的に取り組んでまいります。また、サイバー安全保障の推進にも取り組んでいきます。
 最後に、分野横断的に、国際社会の平和と安定、繁栄に貢献するアジェンダとして、女性・平和・安全保障、いわゆるWPSが重要です。
 WPSは、人間の安全保障など日本が掲げる人間中心の外交を支えるものであり、様々な課題に対処する上で不可欠です。今後も、あらゆる局面でWPSに関する国際的な協力を進めてまいります。
 小泉委員長を始め、理事、委員各位の御指導と御理解を心よりお願い申し上げます。

発言情報

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発言者: 上川陽子

speaker_id: 1920

日付: 2024-03-08

院: 衆議院

会議名: 安全保障委員会