逢坂誠二の発言 (憲法審査会)
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○逢坂委員 皆さん、おはようございます。逢坂誠二でございます。よろしくお願いいたします。
日本国憲法といえども、決してすり減ることのない不磨の大典ではないと考えております。したがいまして、一字一句変えてはならないというものではありません。社会の変化に応じて不断の見直しを行うことが求められていると考えております。ただ、その見直しを行う主体、これは憲法で命令される側の国会ではなく、主権者である国民自身です。ここに立憲政治の核心があると考えています。ところが、最近の憲法議論を見ていると、この立憲政治の核心が揺らいでいると感じております。
一月三十日、岸田総理は施政方針演説で次のように述べました。総裁任期中に改正を実現したいとの思いに変わりはなく、議論を前進させるべく最大限努力をしたいと考えています。今年は、条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速してまいります。
本来まないたの上のコイである公権力の側の総理自身が、期限を区切った上で条文案の具体化と議論を加速することに言及したことに、私は大変驚きました。
三月二日の衆議院予算委員会で、この総理発言に対する私の質問に、岸田総理は次のように答弁しました。昨年十二月、自民党総裁として、衆参の憲法審査会の幹事など関係者に対して、国会の発議に向けて、各党と共有できるようなたたき台、案について是非議論を進めてもらいたい、党総裁としてはそういった要請をした。国会において条文案の具体化を加速していくためにも、我々自民党として、そういった議論をリードするべく、まずは自らの考え方を整理し、その議論に臨んでいかなければならない。
私は、岸田総理のこうした姿勢や答弁に触れ、憲法を変えること自体が目的化していると危惧しております。これは極めて危ういことであり、こんなことをすれば憲法の価値を毀損させてしまいます。
立憲主義を深化させる観点から憲法議論を真面目にひたむきに行うことは、憲法の役割、その意義を常に確認する観点からも極めて大切なことです。しかし、とにかく憲法を変えたい、どこか変えやすいところから取りあえず変える、こうしたことが目的化する議論は不見識です。特に、数の力でその議論を押し切る姿勢は慎まねばなりません。
さて、自民党の裏金問題、そのお金の使い道も含め、全容は全く明らかになっておりません。法律を犯しているかもしれない議員を多く抱える自民党及びその総裁が、国会議員を縛るともいうべき憲法改正を声高に叫ぶ節度のなさに驚きを禁じ得ません。裏金問題の解決もできず、自浄作用のない自民党が憲法改正を論ずることに正当性があるのでしょうか。一刻も早く裏金問題にけりをつけていただくことを強く要請します。
私は、本来の当事者である国民自身の議論を喚起することこそが重要であり、そのための素材を提供するという謙虚な姿勢で憲法議論に臨みたいと思っています。
次に、立憲民主党の綱領の話をさせていただきます。
「私たちは、立憲主義を深化させる観点から未来志向の憲法議論を真摯に行います。」。これは立憲民主党の綱領の一文です。綱領の素案は私が書きましたが、この一文も私が書いたものです。
立憲主義とは、権力者、国会議員、公務員、裁判官などの権力濫用を抑えるために憲法を制定するという考え方です。立憲主義を深化させるとは、権力者の権力の濫用を抑制する方向で考えを深めることです。
次に、未来志向。この言葉は難しいのですが、幾つかの思いを込めています。未来志向といえば、過去を一切不問に付すかのように聞こえるかもしれませんが、もちろんそうではありません。日本国憲法の国民主権、基本的人権、平和主義、この三大原則を守ることは当然です。日本国憲法の平和主義は、さきの戦争への反省に基づいて基本原則として採用されたものです。三大原則を守るということは、過去への反省を前提にした未来志向であることは言うまでもありません。
また、日本国憲法の成り立ちについていろいろな御意見があることは十分承知しております。一方、今の日本国憲法は、施行後七十年以上が経過し、この憲法の下で日本の様々な営みが行われてきたのは厳然たる事実です。その事実を消し去ることはできません。したがって、成り立ち云々に言及してはならないとは考えておりませんが、殊更強調するのは意味を成さないとも言えます。
未来は過去の積み重ねと今の延長線上にあり、時代や社会は動いています。過去を踏まえた上で、時代の変化などに合わせて憲法をよりよくするために、変えるべきところがあれば積極的に対応する、これが私の思う未来志向の憲法議論です。
私は、立法事実の存在と国民の納得があれば、いずれかの日には憲法改正をすべき時期を迎えると思っています。しかし、その際には、多くの国民が納得する結果となるように私たちは努める必要があると考えます。よもや、国民の対立をあおり、国民が分断されるようなことはしてはなりません。憲法に関する議論を落ち着いて進めたいと思います。
なお、先ほど中谷幹事から発言のありました議論の到達点については、到達点とは何かも含め、今後、その内容を丁寧に点検させていただきたいと思います。
以上です。