玉木雄一郎の発言 (憲法審査会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。
 先ほど、維新の馬場代表から中山太郎先生と中野寛成先生のお話がありましたけれども、ずっと同じような議論になっていて、もう少し与野党を超えた建設的な議論はできないものかなと思います。
 その観点から今から申し上げますけれども、皆さん、前回この憲法審査会が開かれたのはいつか覚えていらっしゃいますか。去年の十二月七日です。あれから四か月たっていますが、憲法改正の具体的な議論は一ミリも進んでいません。
 前回、最終回だったと思いますが、中谷元筆頭幹事から起草に向けた機関を創設する旨の発言がありましたけれども、発言があっただけですね。衆議院の憲法審査会規程第八条では閉会中にも開かれるという規定がありますが、開かれませんでした。
 でも一方で、岸田総理は、総裁は、施政方針演説や自民党の党大会で威勢のいいかけ声だけは続けています。残念ながら、私にはパフォーマンスにしか見えません。
 そこで、まず中谷筆頭幹事に確認したいのは、岸田総裁として、三月十七日の党大会で、総裁任期中に実現するとの思いの下、今年は条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速してまいりますと述べられましたけれども、これはどういう意味なんでしょうか。九月までの現在の総裁任期中の憲法改正はもう諦めて、総裁選で再選されることを前提に、年内、つまり秋の臨時国会で条文案の具体化を進める、そういう趣旨を宣言されたのか、それとも、あくまで九月までの今の任期中の憲法改正を考えておられるのか、この発言の意味が分からないので、真意を教えていただきたいと思います。
 もし今の任期中に憲法改正を目指すのであれば、今国会はあと十回の審査会しかありません。既に先ほどの幹事会で次の審査会も自由討論と決まりましたので、間に合わないと思います。憲法改正のテーマを絞り込み条文案を作り上げるということが果たしてできるのか。正直、絶望的だと言わざるを得ないと思います。明確なスケジュールや戦略もなくだらだらと時間を浪費するべきではないと思いますので、具体的なスケジュールと戦略を与党筆頭幹事として明確にお示しをいただきたいと思います。
 九月までの任期中に改憲したいならば、もう選択肢は一つしかないと思います。これはもう既にいろいろな方々から意見が出ていますが、これまで丁寧な議論を重ねて五会派でおおむね意見の集約が図られてきた、緊急事態における議員任期の特例延長規定を中心とした憲法改正だと思います。日本維新の会、有志の会、そして我が党国民民主党の二党一会派による共通条文案はもう既にありますので、会長にもお願いしたいのは、中谷筆頭幹事がおっしゃった起草に向けた機関を具体的に動かしてもらいたいと思います。
 もう一つ自民党に申し上げたいのは、今から余りテーマを広げないでほしいということです。テーマを広げても、本年九月にはますます間に合わなくなります。特に、九条の二を創設して自衛隊を明記する、いわゆる自衛隊明記論については、これは何度も申し上げていますが、違憲論を解消することのできない、法律的にはほとんど意味のないものであって、労多くして益なしの改憲案です。個人的な意見を申し上げれば、まだ二〇一二年の自民党改憲案の国防軍の創設の方が、法律的には筋が通っています。
 自民党の自衛隊明記案の最大の課題は、仮に自衛隊という組織名が明記されたとしても、その自衛隊の行使する自衛権の範囲については、これまで同様に、解釈に委ねるとしています。条文の改正案を議論するときに、その条文を解釈に委ねるという条文改正案は意味が分かりません。もしその解釈があるとすれば、その解釈を明示すべきではないでしょうか。
 条文上、戦力不保持を定めた九条二項との関係で違憲論争が、特に、共産党さんからの違憲の指摘に対して答えられないような改正案ほど私は意味のないものはないと思っていますので、そこは自民党も一度、安倍総理のときのいろいろな背景があったと思います、まさにゴールデンウィークを迎える中で読売新聞に発表したあの四項目案は一つの妥協点だったと思いますが、一旦、原点に返って、本来やるべき九条改正案、自衛隊の、組織として、あるいは行使する自衛権についてどうするのかという議論を党内でもしっかりやっていただきたいと思います。それが責任与党としての私は役割だと思います。
 我が党は、自衛隊の行使できる自衛権を戦力不保持を定めた九条二項の例外として明確に位置づけるなど本質的な議論が必要だと考えておりますが、繰り返しになりますが、この議論は九月までには間に合いません。粗い議論もすべきではないと思っていますので、この点については改めて申し上げたい。
 その上で、中谷筆頭幹事に質問なのは、自民党として、改憲テーマの範囲、スコープ、これはつまり、最初の憲法発議というのは一つの項目では駄目なのか、複数項目を必ず提示しなければならないのか、そのことについてどう考えているのかも併せて教えていただきたいと思います。
 次に、野党第一党の立憲民主党さんにもこれはお願いです。先ほど逢坂さんから大きな方針が示されましたけれども、是非、憲法改正絶対反対ではなくて、前向きに議論に参加をしていただきたい。特に、有事における権力統治の在り方については、イデオロギーを超えて、国会中心主義の観点から合意が得られるテーマだと考えます。
 能登半島地震が本年一月一日に発災しました。あれから実はもう百日以上たっています。先日、珠洲市、七尾市、各地域を私も訪問しましたが、現時点において、倒壊家屋はそのままです。敦賀に北陸新幹線が延伸して、金沢はもうまるで震災がなかったかのようなにぎわいを取り戻していますが、逆に、県内での格差をすごく感じました。
 今、仮に発災直後に任期満了を衆議院が迎えたとして、私は、今の石川三区では円滑に選挙ができない可能性が高いと思います。水も通っていません。やはり、七十日を超えて選挙ができない事態に備えた議員任期の特例延長規定が必要だと改めて思います。もし今、近藤和也さんや西田昭二さんが国会にいなかったとしたら、被災地の実態を踏まえた議論はできたでしょうか。金沢では先ほど申し上げたように震災の痕跡もないので、全県の参議院議員だけでは私は不十分だと思います。
 立憲民主党は、長期間選挙ができない場合には参議院の緊急集会を活用すればよくて、議員任期の延長規定は必要ないという立場だと承知していますけれども、奥野さんはちょっと違うと思いますが、その対応をやるときには、これはやはり違憲の可能性は否定できないと思います。これは北側幹事がおっしゃったとおり。
 特に、これは何度も私申し上げていますが、二つです。暫定予算だけではなくて、本予算の審議も緊急集会に担わすことができるのか、あと、相手国のある条約の承認、これもできるのか。この点については、具体的にどう考えるのか、立憲民主党の考えを知りたいと思います。
 仮に本予算の議決や条約の承認を参議院の緊急集会に認めることになれば、それは、少なくとも現行憲法下では、一時的、暫定的、限定的である緊急集会の本来の権限を変えることになります。予算と条約には衆議院の優越が認められていますし、現行憲法にも、例えば衆参同時活動の原則もあります。七十日を大きく超えて、しかも本予算や条約といった範囲まで権限を広げるのであれば、その場合には、我々とは違った憲法改正案が必要ではないでしょうか。立憲民主党の考えを伺いたいと思います。
 なお、立憲民主党さんは憲法改正の条文作りよりも国民投票法の議論を先にやるべきと主張されているとも承知しておりますが、これは両方並行してやればいいと思います。私たちも、立憲民主党さんがおっしゃっているような広報協議会の強化やネット対策などには賛同できる部分も多いので、我が党としても、国民投票法の改正案には協力していきたいと思います。
 いずれにせよ、憲法改正をやるやると言ってやらない与党自民党と憲法を変えてはならないとこだわる野党との間の奇妙な共闘関係の続くネオ五五年体制が続く限り、憲法改正をめぐって、これは実は、野党側が割れ続け、結果、政権交代が実現しないのではないでしょうか。逆説的に聞こえるかもしれませんが、今の硬直した状況を打破するためには、野党第一党である立憲民主党が、幅広く合意が得られるテーマ、具体的には議員任期の特例延長規定の創設で改憲議論をリードする必要があるのではないでしょうか。
 立憲民主党には、野党第一党として建設的な憲法改正議論をリードされることを期待すると同時に、自民党には、スケジュールと改正項目の対象を明確にする審査会運営をお願いしたいと思います。
 最後に、会長には本審査会のNHK中継を是非導入することを求めて、発言を終わりたいと思います。

発言情報

speech_id: 121304183X00220240411_012

発言者: 玉木雄一郎

speaker_id: 29596

日付: 2024-04-11

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会