奥野総一郎の発言 (憲法審査会)
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○奥野(総)委員 立憲民主党、奥野総一郎でございます。
日本国憲法は、間もなく施行七十七年目を迎えます。これまでの運用を通じて、見直すべき点はないのか、例えば、統治機構が機能不全を起こしていないのか、想定されていなかった新しい人権にどう対処するのか、しっかりとした議論が必要だと考えています。
岸田総理は自分の総裁任期中に改正を実現したいと表明されていますが、そもそも何のために憲法改正を急ぐのか、総理の発言からは全く見えてきません。単に、安倍総理のときの改憲四項目をなぞっているだけのように見えます。改正自体が目的化していないでしょうか。
憲法記念日に毎年行われているNHKの世論調査では、改正が必要と答えた方が三五%、必要がないと答えた方が一九%、どちらとも言えないという方が四二%、これは昨年も一昨年も同じ割合であります。この数字を見る限りは、多くの国民はそれほど憲法改正の必要性を感じていないということだと思います。国民に具体的な憲法改正の必要性、立法事実が感じられていないからではないでしょうか。
例えば、九条改正については、当時の安倍総理は、自衛隊は憲法違反、この状況に終止符を打つことが私たちの責任だということをおっしゃっていましたが、自衛隊が憲法違反と考えている国民は、世論調査を見てもおおむね一割程度。立法事実はないと言ってよいのではないでしょうか。
参議院の合区解消についても、現在の自民党の案では定数増加をしなきゃいけない。各県、一割り振りますが、三倍以内の縛りが解けないので、定数増加という結論になってしまいます。
また、教育無償化も、憲法改正をしなくても可能な問題であります。
お試しで改憲をしても意味はありません。議論の結果、立法事実が認められるものについて、国民的な合意が得られるのであれば改正を考えるべきであります。それが、我々が言ってきた論憲というものであります。ここは時間をかけてじっくりと、国益にかなうよう、憲法の議論を進めてはいかがでしょうか。
これまでも、憲法審査会において、様々なテーマについて議論をしてまいりました。コロナ禍をきっかけとして、国会のオンライン審議についても議論をし、憲法を改正しなくてもオンライン出席が可能であるとの意見の取りまとめも、一昨年ですか、我々も賛成して行うことができました。
その後、ロシアのウクライナ侵略をきっかけとして、緊急時の国会機能の維持が議論の中心となりました。我が党も、ワーキングチームを設置して、現行憲法の考え方を尊重し、緊急事態条項には反対をしつつ、いかなる場合においても国会機能を維持するよう検討を加えてきました。
この検討結果の概要については、昨年、当審査会で私から述べましたが、再度趣旨だけを申し上げると、今ありましたけれども、災害等で選挙ができなくなる可能性については以下のとおりであります。
まず、平常時から、選挙に係るインターネット投票の導入及びインターネット選挙運動の規制緩和などの取組を前提として進めておきます。
しかし、これらの措置を講じたとしても、衆議院選挙時に大規模自然災害が発生し、広範な地域で長期間選挙が執行できないような事態、いわば選挙困難事態というものが発生した場合には、時の権力の濫用を防止するために、司法の認定、司法を絡めた形で認定をさせ、衆議院総選挙の延期を認め、そしてその間、参議院の緊急集会での対応を可能とするというものであります。
その際、参議院の緊急集会については、政府の活動に対して適切かつ実効的な監視、統制を行うことができるように、議員の側からですね、一定数の議員の要求に基づく集会決定や自律的集会を可能とした上で、さらに、従来限定的に解されてきた権限、案件を超える権限、案件を認めていくということになります。疑義のある通年の予算とかそういったものですね。ただし、緊急集会ですから、事後的な衆議院の同意が必要である点で、この権限はあくまで暫定的なものとなります。
なお、議員任期の延長については、任期延長された議員は選挙を経ておらず、その民主的正統性に疑義が残る中で、衆議院として暫定的な決定じゃなくてこれは正式な決定になってしまいますから、問題があるということであります。
緊急時の国会機能の維持に関しては、このほかにも、憲法五十三条に臨時国会の召集期限を定めるかどうか、きちんと期限を切って召集させるようにするかどうか、それから、解散権の制約ももちろん絡んできますし、有志の会もおっしゃっていましたかね、他の会派も提案されている憲法裁判所の関与も関係をしてきます。議論すべき論点は多岐にわたっており、現時点では条文の起草には至らないと考えています。
私は、緊急時の国会機能の維持だけではなく、憲法調査会以来の成果を踏まえて、数年単位の時間をかけて、憲法全般を見渡した議論が必要と考えています。
論ずべきテーマとしては、前国会で当方の階幹事が提案をした、自分に関する情報について適正な取扱いを求める自己情報コントロール権など新しい人権、ほかに新しい人権例としては、ここでは議論していませんが、環境権など様々ございます。
統治機構については、先ほどと重複しますが、欧州型の憲法裁判所を設けるかどうか、また、地方自治を充実させて一層の分権を進めるか否かなどが考えられます。
最後に、いわゆる附則四条について申し上げますが、毎回申し上げていますが、私は、提案者の意思として、この措置がなされるまでは憲法改正の発議はできないと答弁してきました。外国政府の干渉などを排除し、公正な投票結果が出る仕組みを整えておく必要があると考えたからであります。フェイクニュースとかいろいろなものもあります。こういったものをどう排除していくかということですね。
附則四条の定める施行後三年の期限は今年の九月であり、この国会期間中に、必要な法制上の措置その他の措置を講じなければならないということになります。憲法改正に真剣に取り組むのであれば、優先的に取り組むべき課題ですね。外国政府の干渉等によって原案が否決されるというようなことも想定しているわけでありますから、この辺はしっかりしておかなければいけないということであります。
以上のことから、改正のための改正を急ぐのではなくて、じっくり構えて、日本のあり得べき姿を考える憲法論議が必要と申し上げまして、私の発言とさせていただきます。
以上です。