北神圭朗の発言 (憲法審査会)
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○北神委員 有志の会の北神圭朗です。
先週の本審査会では、私から、緊急事態における議員の任期延長について、多数の会派との間で議論が煮詰まりつつある中、反対をされている立憲民主党さんからもそれなりにお考えを取り入れている旨発言をしました。こうしたことを受けて、いよいよ起草委員会を立ち上げて具体的な条文案の作成に入るべきだと申し上げました。ほかの会派よりも同様の意見が表明されたと受け止めております。
また、公明党の北側幹事より、一つは、衆議院議員の任期満了時に総選挙が行われる場合においても、国に緊急の必要があるときは、内閣は参議院の緊急集会を求めることができると憲法に明記すること。二つ目には、オンライン国会について、例えば毒性の極めて強い感染症の到来などにより国会議員が議場に参集できない場合には、情報通信技術を利用する方法等で会議に出席することができると明記すること。この二つについて御提案がございました。また、同党の大口委員より、その詳細についての御説明もありました。
まずは、以上の二点に関して、有志の会としての考え方を申し述べます。
一点目については、既に我々三会派の条文案に盛り込んでいます。現行憲法の第五十四条二項において、明示的には、解散された場合にのみ、「内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。」と規定しています。確かに、最近の憲法学の多数説は、解散の場合も任期満了時の場合も衆議院議員が不在となる点では同じであるので、解釈によって任期満了時にも認めるべきだとしています。しかし、他方、これまでの通説によれば、明文の根拠がないことや、衆議院議員の任期満了の期日は明らかであるため、内閣は必要な措置はその期日の前に講じることができるだろうということから、任期満了時に類推適用することに対しては否定的でした。
この点、阪口正二郎一橋大学名誉教授は、「憲法改正をよく考える」という本の第三章「改憲論と「生ける憲法」」という章の中で、憲法の条文には、文理上、明確で解釈の余地が余りないものと、曖昧で解釈の余地を残すものがあるとの見方を示しております。第五十四条二項は前者に属しているものであり、私は、やはり安易に解釈することは避けるべきだというふうに考えております。
第九条二項に、今も話題になったので触れますと、戦力をめぐる解釈もそうですけれども、条文の明示的な言葉や論理を余り軽んじることは法治主義にも関わる我が国の憲法論の悪い癖だと、有志の会としてこれまでも訴えてまいりました。
こうしたことから、我々三会派の条文案においても、条文上、明示的に、任期満了時でも緊急集会を求めることができるように改正をすることとしております。
二点目のオンライン国会についてでありますが、本件は一昨年の本審査会で議論され、森会長から当時の細田議長に報告がなされています。条文改正案の改正の議論に入る前に、まずは、その検討状況について早急に本幹事会に報告をしていただくのが順序だというふうに思います。
第五十六条一項は、「両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。」となっていますが、この場合の「出席」という言葉は、例えば民間会社など一般の組織においては、会議などに物理的に参加する場合でもオンラインで参加する場合でも、一様に出席することであると既に社会通念上認められております。したがって、国民の傍聴する権利や危機管理上の条件さえ整えれば、私は例外的に解釈で読むことができるというふうに考えております。
先ほどの緊急集会の条文と異なるのは、五十四条二項では、解散時と明示しながらも、任期満了という本質的に異なる事象については全く触れていないので、後者を安易に読み込むことはできるだけ避けるべきだという考えです。いわんや、九条における、自衛隊は戦力でないとか、そういう想像力豊かな解釈論とも異なり、文理上、五十六条一項における「出席」という言葉に最近のオンライン技術における参加を読み込むことは十分可能だと思います。ただし、解釈で対応することが事実上難しいのであれば、改正によって明確にすることについてはやぶさかではありません。
そのほか、前回の審査会においては、自民党の中谷幹事よりは、先ほどの話、憲法への自衛隊の明記が必要だという御発言がありました。これは、余り詳しくは申し上げませんが、今まで申し上げてきたとおり、九条二項の戦力に自衛隊は当てはまらないという疑義、疑いを根本から払拭するに足りないというふうに考えています。また、地政学的に大きく世の中が変動している中、こうした政府解釈から生じる自衛権の範囲という本質的な問題について、いま一度検討すべきだというふうに考えます。
また、自民党の小林委員より、緊急政令制度を設ける必要性について発言がありました。これは、これまで議論を積み重ねてきた国会機能の維持でも国が対応できない、そういう事態を想定するものであります。危機管理上、こういう想定は必要かもしれませんが、おのずと議論の次元が異なってまいりますので、これももう少し検討を深める必要があるというふうに考えております。
もっと言えば、九条も緊急政令も、公明党さんを始め反対する会派がある中で、今回、果たして条文作成を目指すのが審査会の運営上賢明なのか。今国会、我々に残された時間も僅かであり、論点を拡散すれば、果たして岸田総理の約束どおり、憲法改正を任期中に実現することができるのか、首をかしげざるを得ません。
こうしたことを考慮すれば、やはり国会機能の維持に論点を絞って、起草委員会を早急に立ち上げ具体的な条文案作りを進めることを要請して、私の発言を終わります。