稲田朋美の発言 (憲法審査会)
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○稲田委員 自由民主党の稲田朋美です。
一年半ぶりに憲法審査会に戻ってきて発言できますことを感謝申し上げます。
この間、本審査会においては、国権の最高機関である立法府として活発な議論が展開され、特に緊急事態条項については、昨年の臨時国会の討議の締めくくりとして、中谷元筆頭幹事から、今常会での具体的条文起草作業についての機関設置の提案がなされ、先週の審査会でも同様の発言がございました。
毎週、党派を超えて自由闊達、建設的な議論がなされてきた本審査会のありようが今後も継続し、更に深い建設的な憲法改正議論が加速され、早期に具体的条文起草作業に入ることを願っております。
本日は、衆議院における一票の格差について、投票価値の平等と民主主義の意義の観点から、改正の必要性について述べます。
最高裁は、投票価値の平等を憲法上の要請としつつも、それは、選挙制度の仕組みを決定する絶対の基準ではなく、国会が正当に考慮することのできる他の政策目的ないし理由との関連において調和的に実現されるものとしています。
しかしながら、長年にわたる累次の最高裁判決により、投票価値の平等に重きが置かれ、選挙制度も十増十減など人口に着目した改正が積み重ねられてきました。その結果、衆参共に地域の声が国政に届きにくくなっているのではないでしょうか。特に、都会と地方の経済格差が都会への人口集中をもたらし、その結果、課題が多く過疎が進む地方において、その実情を知り代弁できる議員が減少し続けております。
衆議院では小選挙区と比例代表並立制が取られていますが、惜敗率で選出された議員はブロック代表ではなく選挙区の代表として行動する実情にあり、選挙区と比例区を一体として投票価値を考えなければ、実質的には不平等とも言えます。もちろん、国会議員は全国民の代表ですから、一旦選出された以上、選挙区に限らず全国に目配りすべきであるのは当然です。
最高裁、平成二十三年三月二十三日大法廷判決も、この選挙制度によって選出される議員は、いずれの地域の選挙区から選出されたかを問わず、全国民を代表して国政に関与することが要請されているのであり、相対的に人口の少ない地域に対する配慮はそのような活動の中で全国的な視野から法律の制定等に当たって考慮されるべき事項であって、地域性に係る問題のために、殊更ある地域の選挙と他の地域の選挙人との間に投票価値の不平等を生じさせるだけの合理性があるとは言い難いとしています。
しかし、選挙区の地域の課題や利害、地域の意見を離れての国政はあり得ません。議員及び国民の認識として、選挙区と結びついていること、有権者と結びついていることは民主主義の大前提であり、具体的な地元の事情が分かっている議員たちが集まって議論することによってこそ全国のための政策を生み出すことができるとも言えます。国民の代表であるためには、国民が参加しているという実感が持てること、そのためにも議員と有権者のきずなが大切です。
新井誠広島大学教授は、議員と国民の近接性、すなわちきずなは、民主主義にとって重要な意味を持っていると指摘されています。まさに、議員と国民との結びつきは、有権者の意思を国政に反映するために欠くことのできないものです。
既に我が党が発表している条文イメージ、たたき台素案では、参議院の合区を解消すべく、参議院議員の選挙において、広域の地方公共団体のそれぞれの区域を選挙区とする場合には、改選ごとに各選挙区において少なくとも一人を選挙すべきものとしています。加えて、衆議院も含めた両議院の議員の選挙区について、人口のみならず、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案する旨を明記しています。
各選挙区から選出される議員と当該選挙区に居住する国民との結びつきに考慮するなど、近接性の要請を踏まえて、国会議員が公正かつ効果的な代表であるための改正を議論すべきと考えます。
以上です。