寺田稔の発言 (憲法審査会)
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○寺田(稔)委員 自由民主党の寺田稔でございます。
緊急事態におけます国会機能の維持については、多くの議員から、条文化作業を開始すべきとの意見が示されました。
しかし、およそ憲法改正の発議が行われる場合には、それまでにクリアすべき重要な課題として、両院の議長が協議をして定める国民投票広報協議会規程の制定ということがあります。これなくして国民投票を実施することはできません。
そこで、国民投票広報協議会に期待される役割、また検討すべき論点について俯瞰的に述べたいと思います。
まず、憲法改正が発議をされれば、その条文案が改正条文あるいは新設の条文、場合によっては条文の削除という形で発議として示されることになりますが、国民が発議をされた内容を理解するためには、その条文そのもののみならず、憲法改正の議論の経緯、憲法改正案の趣旨、論点の要旨、賛成意見、反対意見の内容を知る必要があります。こうした憲法改正案の内容面に関する広報の一切を担いますのが、国会に設置されます広報協議会であります。
なお、国民投票法十九条によりまして、総務大臣、中央、地方の選管は、投票期日、国民投票の方法の手続面に関する周知のみを行うという役割分担、デマーケーションとなっております。
それでは、広報協議会は、実際発議があったときに設置をされるわけですが、その具体的な権能については、国民投票法十四条におきまして、憲法改正案の内容や賛成意見、反対意見を紹介する国民投票公報の作成、投票所内におけます、投票所内に掲示をする憲法改正案の要旨の作成、また、憲法改正案の広報のための放送、新聞広告に関する事務、その他憲法改正案の広報に関する事務が規定をされています。
ここで言うその他憲法改正案の広報に関する事務につきましては、平成十九年に成立をいたしました国民投票法制定時には余り想定をされていなかったインターネット、SNS等による広報、あるいはタウンミーティング、いわゆる説明会の開催などが考えられます。
国民投票法十七条等によりまして、広報協議会規程には、その運営の細目を定める細則、事務局の組織、広報活動の詳細などのいわゆる細則的事項を定めることと規定をされています。しかし、この協議会規程は、昨年の十一月二十一日の当憲法審査会幹事懇談会において、事務方よりその内容の報告を聴取をしたところでありますが、まだ制定に至っておりません。
その他、この幹事懇では、これに関連する重要な課題も提起をされています。主要な三つの論点について申し上げたいと思います。
まず第一番目は、国民投票運動の資金上限規制、CM規制についてであります。
資金量の多さあるいは多寡がCMの量に影響し、一方的な情報のみが流されるとの懸念から、国民投票運動の資金の上限の設定やあるいは放送CM等に関する規制強化を求める意見が出されました。また他方、国民投票運動については、公職選挙法の適用がないことから、基本的に自由にすべきとの意見も出されたところであります。
私といたしましては、国民投票運動は原則自由という国民投票法制定当時の議論を十分尊重し、資金上限は設けず、基本的に、CMについても、その出し手、受け手の自主的規制、いわゆる自主的取組によって解決すべきであると考えております。
次に、フェイクニュース対策であります。
フェイクニュースに対する有力な対策の一つとして挙げられておりますファクトチェックに関し、当憲法審査会では、広報協議会の機能としてファクトチェックを行うべきであるとの意見も出されましたが、他方、このファクトチェックについては、公権力の表現の自由への介入という面もあることから、ファクトチェック自体は民間団体に任せるべき、したがって、広報協議会自体がファクトチェックを行うことに否定的な意見も出されました。
私としては、ファクトチェックについては、基本的に民間事業者に任せるべきであると考えております。
そして、第三の論点が、広報協議会における広報、予算、人材面の充実強化であります。
広報協議会による正確で中立性の高い広報をより一層充実させることにより、国民に届く情報が賛否平等に近づき、一方的な情報流布に基づいて投票することを抑止をすることができ、また、いわゆる偽情報対策、フェイクニュース対策にもつながる。そこで、広報協議会の広報の充実強化を図りますために、一体どのような手段を一体どの程度行っていくべきかが論点となるわけであります。
この点に関しましては、例えばインターネット、SNS等を利用した広報の具体的な方法等についても十分検討する必要があります。また、広報協議会の広報活動を下支えする事務局の組織、規模、また広報に関する予算規模についても十分な議論が必要となってまいります。
いずれにしても、これらの論点は国民投票が行われる前に決着を見ておく必要があり、今国会会期中にも十分議論をしておく必要がございます。広報協議会規程の条文化作業など、広報協議会の権限や役割についての議論を加速をさせるべきであると考えております。
終わりに、憲法改正の議論の在り方についてでありますが、私は、保岡興治会長時代の平成二十七年、憲法九条をめぐる諸問題につき当憲法審査会で発言の機会をいただきましたが、それ以外にも憲法には多くの論点が存在をしていることは御承知のとおりであります。
大事なことは、優先順位をつけて十分な議論を行い、合意が得られやすい事項から憲法改正に向けて積極的に取り組むことであると思います。そして、広報協議会規程の制定など、国民投票の実施のために必要な手続上の規定の整備についても積極的に取り組んでいくべきであると考えます。
以上でございます。